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巨大!タランチュラ星雲

(現在までの観測上)宇宙最大の星雲はタランチュラ星雲である。

タランチュラ星雲

 その大きさは半径931光年、オリオン座のベテルギウスまでの距離が600光年だから、いかに巨大かが分かるだろうか。ちなみに我らが天の川銀河の直径は10万光年、太陽系の大きさは太陽から冥王星の軌道半径とすると(地球ー太陽の距離1AUとすると40AU)、光年で表すと1/1576光年だから、太陽系の146万倍の大きさ。
 場所は南半球のカジキ座の方向にあり、距離は16万光年。先ほど申し上げた通り、天の川銀河の半径の3倍先にある、つまりこの銀河内には無いんだけど、宇宙に無数ある銀河に比べると超近い、そう、我々の銀河の子分、大マゼラン雲の中にあります。

 それが我らがWikipedia先生によると、

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「もし地球からオリオン大星雲ほどの距離に来たならば、影を生じるほどである(ただしタランチュラ星雲は巨大なため視直径は約90°に達し、空の一点に光源があるような光景にはならない)」

 ほへー、どんな光景だろう。ちょっと計算してみよう。

 タランチュラ星雲:半径931光年、距離160000光年、絶対等級-11.7。
 オリオン大星雲:距離1300光年。では見た目の大きさは(上記は90°とあるが)

 視直径(角度) = 直径/距離 (ラジアンだから、そのx180/π)

 = 931/1300 * 180/3.141592.. ≒ 82.065

 全天視野の 82度を占める。人間の視野が180度だとすると、夜空を観たときに、その半分近くを占める。広い!ちなみに太陽・月はどちらも0.5度程度(大きく見えるけど、よく見れば分かるけど視界の180分の1の半分)。

 では明るさは。絶対等級(「10パーセク」の距離にあった時の明るさ)は-11.7なので、絶対等級の式はこうで、

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 距離1パーセクは3.26156光年だから

 視等級 = -11.7 - 5 + 5log10(1300/3.26156) = -3.6974101

 明るい!金星は-4.87等級、の次に明るい。それが視野の半分を占める!

 冬の夜空に浮かべたらこのぐらいの迫力。

タランチュラ冬の空

オリオン座よりはるかに大きい赤い蜘蛛が浮かび上がる。
まあ、想像ですが…。

大マゼラン雲

 大マゼラン雲は「雲」というけど小さい銀河、天の川銀河の伴銀河つまり月みたいなもので、そういうのは大マゼラン雲・小マゼラン雲と二つあります。どちらも南半球。近年、その質量を再計算したところ、結構高速で移動していて、10〜20億年後には我らが銀河に衝突するかもしれないと。

 まあ銀河が衝突すると言っても星と星がぶつかるかというと、意外と銀河の中の星の距離ってスカスカなのでそれはまず無いけど、運が悪いと太陽系ごと銀河系からはじき飛ばされたりする可能性があるらしい。すると地球と太陽の関係も終わり、人類絶滅。

 その前に夜空では銀河同士がぶつかるという壮大な天体ショーが見えることでしょう。

あーそれまで生きていたいなー(棒読み)。


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