都立中受検 適性検査I対策 実践編①

前回の都立中適性検査I対策を読まれた前提で実際の過去問を使いながらどう勉強していくか、またどう合格答案を作成していくかについて書いていきたいと思います。ここでは特に作文対策について実践編として書いていきたいと思います。

なお前回も書きましたとおり、こちらは管理人の経験(n=1)に基づいております。実際の作文の指導はやはりプロに習った方が良いです。当noteの管理人はその意味では経験から書いているアマチュアです。あくまでご参考までということでお願いいたします。

前回記載のとおりですが当日の受検までに作文のネタ帳を準備していることは必達です。実際は当日まででなく6年生の春までには作成したいところです。それを使って問題文で課されている条件で作文を作成します。前回の内容からするとまあ勉強方法の理屈は分かった、というところだと思いますが具体的に過去問からどのように考えていくかを検討したいと思います。

今回の目標はこれは親御さんがお子さまの作文を家庭内で添削してあげる際に役立つことです。これはお子さまが塾に通っているか、はたまたそれが●naのような都立受検塾か私立塾かにかかわらずご家庭での添削力が合格に導くために必要なスキルだと思うからです。もちろんこの部分を塾や別で通う個別指導塾にそのまま投げるというのも手です。ただ作文はよりきめ細やかな指導が必要な面も多く、ちょっとした時にいつでも見られるようにすることでより効率的に学力を上げていけるチャンスを得られるものと考えています。我が家も子供が受検の時には夫婦で手分けして家で作文の内容を見ていました。

ここでは2022年の共通適性検査Iの問題を利用して検討してみたいと思います。

■2022年共通適性検査Ⅰ
<問題文分析>
再びこちらの試験問題を取り扱いたいと思います。以前使用した小石川と同じ手共通適性Ⅰの問題ですが今回は都立大泉のサイトにリンクします(R04cyu-tekiseikensa-1mon.pdf (metro.tokyo.jp))。

【問3】あなたは、これからの六年間をどのように過ごしたいですか。筆者の研究や学問へ、文章1・文章2のいずれかの、筆者の学問や研究への向き合い方をふまえ、どちらをふまえたかを明らかにして自分の考えを書きなさい。なお 内容のまとまりやつながりを考えて段落を分け、四百字以上四百四十字以内で述べなさい。ただし下のきまりにしたがうこと(作文のルールです)。

この前問である問2の解答例で記載されてますが、両方の文章の共通されている事項は、「大人になる前に興味や関心をもったことを研究の対象にし、 大人になってもなお疑問を持ち続け、問い直している点」になります。

文章1の筆者は
「なぜ貝殻を拾うのか。貝殻を拾うことによって何が見えてくるのか。」というなぜを持ちながら研究をしている過程が記載されています。その中で異なった視点を持つことで異世界、思わぬ世界が見えると述べています。「なぜそこに貝が落ちているのか」だけでなく「なぜ貝が落ちていないのか」といった新たな視点が新しい発見に結びつくと期待しています。
改めて貝殻拾いをしたことで、少年時代ハマグリを拾えなかったことに気が付けたのもそれによるものであり、なぜ拾えなかったのか、という問いを持ち、それが新たな謎解きの目標
としています。

文章2の筆者は
子供の頃にカラスの鳴きまねをすることでカラスが返答してくれたという経験がありますが、大学院でのカラスの研究の中でそもそも実験の仕方そのものに問題があるのではないかということを考えて研究
をしています。実証研究としてカラスの鳴きまねに対して返答したように見えてもそれは本当に自分の鳴き声に対する反応といえるのかです。それを特徴的な鳴き声を行うことで、またそれをカラスに真似されるところを発見して、さすがにこれは偶然反応したとは言えないのではないかという仮説をたてるに至ってます。
直感から研究を始めなければならない場合は科学者は状況を説明しうる仮説を公平に捉えて、自分に都合の良い結果さえも疑わなければならない。しかしそうやって疑った先に、思いがけず心躍る景色が見えるとしています。

以上から
文章1に基づくのであれば「新たな視点を持つことで新しい発見をすることができ得る」と述べており、新しい視点をもって謎解きをすることを大切にして、より勉強・研究を深めていきたいという話が記載できるかと思います。
文章2に基づくのであれば研究をするにあたって、思い込みに左右されないように注意して公平に仮説を作って、それに基づく公平な実験などを行い、公平な結果が得られるように努力し、時に都合の良い結論も疑う姿勢をもって勉強・研究していく、という話の記載ができるかと思います。

<文章から得られるものに注意する>
上記のとおりこれは適性検査Ⅰに関わらずですが、筆者の言いたいことは何かという要旨を掴む練習が役立ちます。特に都立中受検適性検査Ⅰでは文章内容を踏まえて作文しなさいという問題が多いです。従って普段から私立向け問題集を解いたとしても別途「この文章を要約してみて」「筆者は何が言いたいのだろう」を問いかけて、かつ紙に書かせる練習をしてみてください。頭で何となくわかっても紙に書くと難しいという練習・経験も必要です。実際に上記のとおり文章1か文章2の内容を踏まえてどちらかの研究姿勢を選択しての記述を前提としています。

<頭に入っているネタ帳からネタを取り出してくる>
中高6年間で勉強したいことというネタを持っているとします。できれば問題内容に即して書きやすいテーマを選べるように複数持っていると強いです。都立は理系的な要素が強いので理系分野の方が書きやすいかとは思います。

★作文ネタ(中高で研究したいこと):速く走れるようになるためには
・運動会でリレーの選手に選抜されたくてどうすれば速く走れるようになるかに興味を持った(興味関心)。
・素質の影響が大きそうと思っていたが、実際に本で調べると足の速さは遺伝的な要素が強いものの、ただ脚の使い方、フォーム、筋力のつけ方次第で十分にスピードが上がる余地があることが分かった。足を速くするためには直感的には脚の筋肉を鍛えるのが重要に思えるが、実はそれだけでなく上半身の筋力を鍛えることで体幹力が上がりスピードがあがるという話は驚きの発見だった(調査経験)。
・実際にその方法を試した練習を春から半年間してスピードが上がり秋の運動会で初めてリレーの選手になることができた(実証経験)。
・中高ではよりスピードを上げて走れるために必要な方法を研究したい。そのためには特に生物や物理の知識が必要。生物というより医学に近いとも思うが中学高校の範囲を超えても勉強してみたい。また体の動きのメカニズムを研究するために物理的な知識(その前提となる数学)も必要。

<文章構成を作る>
上記のネタを利用するであればこのような構成案があります。何となく文章2に基づいた方が書きやすい気がしますが、文章1にもつなげた例も記載します。

文章1に基づく場合
文章1の筆者の常に新たな視点を持ち、それにより新たな発見を目指すという研究姿勢を大切にしながら速く走れるようになる方法の研究を中高6年間で行っていきたい。
・学校の運動会でリレーの選手に選抜されたくてどうすれば速く走れるようになるか、足が速い人は速く走れるのかに興味を持った。
・本で調べると足の速さは遺伝的な要素が強いものの、脚のよりもむしろ、上半身の筋力のつけることでスピードが上がることが分かった。下半身ばかりに注目していた中、これは新たな視点だった。
・実際にその方法を試して、走るだけでなく特に上半身の筋力を鍛える練習を春から半年間したところ、スピードが上がり秋の運動会で初めてリレーの選手になることができた。
・中高ではよりスピードを上げて走れるために必要な方法を研究したい。そのためには特に生物や物理の知識をつけながら、生物というより医学に近いとも思うが中学高校の範囲を超えても勉強してみたい。また体の動きのメカニズムを研究するために物理的な知識(その前提となる数学)も必要。その知識を得ながらも常に新たな視点、異なる視点を持つという意識を強くもって研究に取り組みたい。

文章2に基づく場合
文章2の筆者の考えのように検証方法や結果に対しても公平な観点から問題ないかなどの疑問を常に持つ研究する姿勢をもちながら、速く走れるようになる方法の研究を中高6年間で行っていきたい。
・小学校の運動会でリレーの選手に選抜されたくてどうすれば速く走れるようになるか、なぜ足が速い人は速く走れるのかに興味を持った。
・本で調べると足の速さは遺伝的な要素が強いものの、脚の使い方、フォーム、下半身だけでなく上半身も含めた筋力のつけ方次第で十分にスピードが上がることが分かった。
・実際にその方法を試した練習を春から半年間してスピードが上がり秋の運動会で初めてリレーの選手になることができた。ただ考えると速くなれた理由が練習の成果なのか体の成長の影響によるものだったのか。足が速くなれたという結果が練習の成果だったと自分に都合よく見えている可能性もある。
・中高ではよりスピードを上げて走れるために必要な方法を研究したい。そのためには特に生物や物理の知識が必要。生物というより医学に近いとも思うが中学高校の範囲を超えても勉強してみたい。また体の動きのメカニズムを研究するために物理的な知識(その前提となる数学)も必要。その知識を得ながらも常に公平な検証方法か、結果も先入観なく公平に見るという意識を強くもって研究に取り組みたい。

上記のネタについて太文字の箇所が問題文に従って合わせにいったところです。ただしほとんどの部分が薄い文字、つまりすでに予めネタとして持っていた内容だとお分かりになるかと。こうしてネタを予め持っているとそのネタを問題文に合わせて少し変形させるだけで形にできる、本番に余計な時間をかけずに答案を作成できます。これは合格するほとんどの受検生が行っているかと思います。
また必要なスキルとしてきれいな嘘をつくやり方(笑)。上記で例えば本当はリレーの選手にはなれなくて補欠だったとします。それでも選手に選ばれたという方が短く分かりやすく伝えられるのでそう書いてしまうというのはこれは受検テクニックだと思います。

作文の練習=持ちネタを複数持ち、いかにその中で適切な持ちネタ出してきて課題文に合わせてその持ちネタを上手に変形できるかの練習を行うこと

といっても過言ではありません。ただそれは将来の大学受験時の小論文などでも同様ですのでその先にも使えるスキルだと思います。

ここまで構成ができればあとは作文を書くだけです。構成がしっかりできれば時間内に書ききることさえできれば合格点はもらったようなものです。しっかり内容に合わせて段落分けして記載する練習を行います。

<答案の作成>
●文章①に基づく場合
 私は文章1の筆者の常に新たな視点を持ち、それにより新たな発見を目指すという研究姿勢を大切にしながら速く走れるようになる方法の研究を中高6年間で行っていきたい。
  私は学校の運動会でリレーの選手に選抜されたくてどうすれば速く走れるようになるか、足が速い人は速く走れるのかに興味を持った。本で調べると足の速さは遺伝的な要素が強いものの、脚のよりもむしろ、上半身の筋力のつけることでスピードが上がることが分かった。下半身に注目していた中、これは新たな視点だった。実際に走るだけでなく特に上半身の筋力を鍛える練習を春から半年間したところ、スピードが上がり秋の運動会で初めてリレーの選手になることができた。
 中高6年間ではよりスピードを上げて走れるために必要な方法を研究したい。そのためには特に生物(医学的な分野も)や物理の知識をつけながら、中学高校の範囲を超えても勉強してみたい。その知識を得ながらも常に新たな視点、異なる視点を持つという意識を強くもって新たな発見ができるように研究に取り組みたい。

文章②に基づく場合
 私は文章2の筆者の考えのように検証方法や結果に対しても公平な観点から問題ないかなどの疑問を常に持つ研究する姿勢をもちながら、速く走れるようになる方法の研究を中高6年間で行っていきたい。
 私は小学校の運動会でリレーの選手に選抜されたくて足が速くなる方法を調べた。すると足の速さは遺伝的な要素が強いものの、脚の使い方、フォーム、筋力のつけ方次第で向上することが分かった。実際にその方法を取り入れた練習を春から半年間行い、秋の運動会で初めてリレーの選手になることができた。ただ速くなれた理由が練習の成果なのか体の成長の影響によるものだったのか、足が速くなれた結果が練習の成果だったと自分に都合よく見えている可能性もある。
 この解を探すべく、今後中高では特に生物や物理に興味があり、生物は医学的な分野も、そして体の動きのメカニズムを研究するために物理も勉強したい。その知識を得ながらも常に公平な検証方法か、結果も先入観なく公平に見るという意識を強くもって研究に取り組みたい。

<終わりに>
上記は案として記載したものですが、よりよい答案が多くあると思います。ここで大切なことを繰り返すと、
・持ちネタを複数持つ
・構成を作る練習をしつこいくらい行う(持ちネタの変形の練習)
・実際の答案作成の練習を繰り返し行う
です。できればプロの先生にも添削していただきながら良い答案を作成できる力を身に着けて合格答案を作成できるようになっていただければと思います。

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