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【実話】俺はバイト先の女子大生にブロックされている①

人はなぜ恋愛をするのか。恋人同士になることによって付き合う前にはわからなかった相手の嫌な面も見えて来る。私は今まで好きになった人は結婚してもいいと思える人だった。いつだってこの恋が最後だと思っていた。


距離感が近くて指と指が触れて俺に気があるんかと思わせる態度。
もう一人の自称去年までチャラ男・現就活生の大学生バイトに俺には見せない笑顔を見せていた。楽しそうに談笑していた。やはりチャラい奴が好きなのか女子ってのは。
俺は憶測を速攻で見誤ってる節がある。好きになるつもりはなかった。好きにならないようにしてた。でも気づいたら好きになっていた。モップの水を切る時の後ろ姿がちょっとダサいところがいいんだよ。


遡ること4か月前。天丼屋のバイトを4日で飛んでからウーバーイーツで食いつないでいた25歳の僕は新しいバイト先を見つけた。芸人をやってると話すと快く受け入れてくれた。同僚のおばちゃんに「このバイトを売れるまでの生活費を稼ぐために細く長く続けてください」と言われた。俺はこの言葉を噛み締めた。細く長く続けるために必要なこと、、。人間関係でのゴタゴタを起こさないこと。人間関係のゴタゴタで真っ先に浮かぶのがバイト内恋愛。俺はおばちゃんが言った細く長く続けるために「細く」あるべきだと思いこのバイト先で「好きな人」は絶対に、作らないと誓った。

バイト2日目朝4時半に起きる。人もまばらな電車に乗り6時45分に店に着く。「今日からよろしくね!」と言うおばちゃん。そこにもう1人のバイトが来た。「おはようございます」それが彼女と交わしたはじめての言葉だった。白い肌。まだあどけなさが残る瞳。少し色気のある声。失礼な話だが「同い年もしくは年上なのか?」と心の中で思ってしまった。彼女は19歳だった。6つも年下なのは驚きだった。彼女は優しく丁寧に仕事を教えてくれた。床掃除をする時にローラーがついてるバケツの中でモップを絞るのだがその後ろ姿がダサかった。だけど自分に嘘がつけない人なんだと思いその背中がすごく信頼できた。ナチュラルメイクの彼女はめちゃくちゃ美人なわけではないが正直で真っ直ぐな目をしていた。

朝11時になり休憩の時間になった。一人で外に食べに行こうとしたらおばちゃんに呼び止められた。「中華行くよ!」休憩が被ってるおばちゃんと彼女と三人で飯に行った。彼女は黒いロングコートを羽織っていた。おばちゃんと彼女は天津飯を、僕はまぜそばを頼んだ。僕が芸人をしてることがバレた。恥ずかしい。彼女は真っ直ぐな目で「すごい。」と言ってくれた。店を出ておばちゃんが「甘いもの買うからセブン寄るね!」と言って別れた。僕は彼女と2人で店に戻ろうとしたら彼女は「私も甘いもの食べたいんで先行っててください」と言われた。2人で昼ご飯を食べに行ったと思われるのが恥ずかしかったのだろうか。僕はそんな彼女の後ろ姿も可愛いなと思っていた。

店の休憩室に戻って座っていたら2人が帰ってきた。休憩室には飴が置いていて彼女が自由に食べていいと教えてくれた。飴を舐め始めた頃に休憩時間終了の時刻が迫ってきた。音を立てて飴を噛むのが恥ずかしかった僕はこっそり飴を噛んでいた。隣に座っていた彼女が「飴最後まで噛むの我慢できないタイプですか」と笑った。

本当に余談だが、ちなみにこのおばちゃんはバイト先の休憩室で他人のスマホを自分のだと勘違いして必死にロック解除してるところが見つかって口論になったことがあるらしい。

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