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関口房朗「ダービーオーナーは社長失格?」(読書感想)

以前読んだこちらの本を、読み直しました。

2001年発行


かなり古い本です。

今年、「ウマ娘」を世に送り出したサイバーエージェントの藤田晋社長が所有する日本馬・フォーエバーヤングがアメリカのケンタッキーダービーという世界でも指折りの格式高いレースに挑戦し3着に善戦したのですが、この本の著者の関口房朗せきぐちふさおさんは何と2000年に所有馬でこのケンタッキーダービーに勝っており、日本人初の快挙として当時大きく報道されました。
(フサイチペガサスという、日本馬ではない米国産の米国調教馬で優勝。)

しかも関口さんは1996年にすでに日本ダービーにも勝っていたので、日米両国のダービー馬のオーナー。もちろん世界初であり、未だに関口さんだけが持つ記録です。

そして関口さん、この本にも存分に書いていますが、とにかく目立ちたがりで、当時さまざまなパフォーマンスでメディアにも頻繁に登場していました。

有名なところでは、経営されていた会社の入社式で「闘牛イベント」を行ったり、格闘家のボブ・サップを招待して対戦したり。

会社の認知度を上げるため、ひいては社員のため、という事での企画だったようですが、この本を読むと少年時代からガキ大将で「やったもん勝ち」というご本人の性格もあったようです。

本には「やったもん勝ち」エピソードてんこ盛りで、少年時代は戦後まもなく(関口さんは昭和10年生まれ)、混乱の中でスイカや魚を盗んだこともあった、それでも許された時代だった、という話があったり。

また、事業の苦労話、裏話も。自分で設計の会社を立ち上げるための資金作りで運送の会社をやった、その後立ち上げた設計の会社は大手企業から仕事を取り順調に業績を伸ばしたが、労働組合と揉め、挙句倒産したなどなど・・。

この本が書かれた当時、関口さんは新たな挑戦として「第二の自分」、つまり人を残したいという野望に向かっていたようです。

もちろん、馬主としてもまだまだ野望は尽きなかったようです。当時で65歳ぐらいと思いますので、エネルギッシュな方ですね。

ウィキペディアを見ると、この本を書かれたあとは色々あり、馬も走らなくなり馬主登録も2013年にはやめてしまったようです。

しかしながら、ケンタッキーダービーを制したフサイチペガサスは、後に種牡馬となり日本でもウインマリリンという香港でG1を勝った馬に血が繋がり、また他にも、所有馬のフサイチパンドラからは、近年最強馬とも言われるアーモンドアイが出ていたりと、しっかり日本競馬に「フサイチ」の名は残っていますね。

「フサイチ」という自分の馬につけていた冠は、そもそも、「房朗ふさお一番いちばん」というご自身の信条を馬に託したものだそう。

将来、「フサイチ」の名が血統図にある馬が世界一番になることもあるかも。


この本も「やったもん勝ち」精神で書かれたものかと思いますが、馬主うまぬし本って意外と少ないので、楽しく読めました。


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