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食欲がわく読書。〜落合博満(&信子)「戦士の食卓」を読んだ。

今日は、秋の読書欲を満たすべく、何冊かを乱読。

先日より読み始めていた、こちらの本を読み終えました。

2021年発行

本の帯にも映っていますが、ジブリの鈴木敏夫さんの提案で落合博満さんがプロ野球選手の資本である「体」を作るために、どのような「食」生活を送ってきたかを綴った本。

変わった構成というか、落合さんが語る合い間に、奥様の信子さんが登場し、妻として夫を食の面でどのように支えてきたかについて語る、という形になっています。

ただ、本を読むと、落合さんは独身時代、まだ世に出ないロッテの若手時代、それより前の東芝府中に所属していた社会人時代、まあ若者らしいと言えばそうなのですが、かなり無頓着な食生活を送っていたそうです。

ラーメンチャーハン(給料日前にはカップラーメンになる。)を毎日のように食べ、白いご飯に粉末のジュースの素(懐かしの「渡辺のジュースの素」)をかけて食べたり、していたそう。

落合さんと信子さんの初対面のエピソードも披露されており、信子さんは落合さんの顔にニキビのような吹き出物ができているのを見て、食事の管理が行き届いていないのだろう、と看破したそう。

そして、落合さんの食生活を改善したのが信子さん。
その料理の腕は、プロ顔負けだそうです。

落合さんが現役時代夏バテしなかったのも、信子夫人の手作り料理によるところが大きいそう。特に、バランスよく栄養が摂れる「鍋料理」を積極的に食卓に取り入れたそうです。

信子夫人なくして、落合さんのロッテ時代の三冠王三度の獲得や、その後セリーグに移ってからの活躍もなかったと言えそう。

そういう意味では、この本の主役は信子夫人と言っても差し支えなさそう。

本書の中でも、「三冠王の生みの親」と、落合さんが信子夫人に最大級の賛辞を送っています。


あとは、本書の読み応えがある部分として、落合さんの出身地である秋田で、子どもの頃(昭和30年代ぐらい)にどのような食生活を送ってきたか、時代背景と共に綴られているのも面白かったです。

半世紀以上前、秋田では「漬け物」の存在感が大きかったそうで、添え物というよりはメインの食材という位置付けだったそう。

現代のように好きなものを選んで食べるような時代ではなく、とにかく「腹一杯に食べる」ことが食事の主目的だった、という時代的な要因があり、漬け物をおかずにして白飯をたくさん食べ、腹を満たしたそう。

落合さんは信子夫人と出会わなければ、「食」に対してこだわりもなく、また、信子夫人から言われた、もっと食べて体を大きくしてパワーをつけ、もっとホームランを打てるように体を作り変える意識は生まれず、ひいてはプロ野球選手としてそこまで大成しなかったかもしれません。

人生における縁の大切さを思い知りました。


最後に、落合さんの好みの食べ物に対するこだわりを少し引用。

 長年にわたって全国各地で鍋焼きうどんを味わい、私なりに鍋焼きうどんをこう定義した。一人用の土鍋を用い、うどんを醤油出汁のスープで煮込む。具材は鶏肉、麩、生卵、なるとか蒲鉾、長葱、椎茸が必須。さらに、海老の天ぷら、筍、人参、細かく刻んだ揚げを入れてもいい。餅を入れる店もあるが、それでは力うどんと区別できなくなるので、私は違うと感じている。

56pより引用。

鍋焼きうどんを定義してしまうまでに食べることが好きとなってしまった落合さん。

食べることが本当に好きなんだなと伝わってきて、漬け物や鍋焼きうどん始め、紹介される食べ物を食べたくなりました。

白飯に粉末ジュースの素は勘弁ですが・・笑。

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