鋏に対する偏見

我家ではキッチン鋏のことをヘンケルと呼んでいた。家庭内の独自用語(メーカー名)であることを知ったのは社会人になってからだ。

 
小中学校の家庭科の授業で習うのでは?
という指摘もあるだろうが、学校の調理実習で使ったハサミは普通の鋏だった。
よって、用具の名称はキッチン鋏ではなく、単なる鋏と呼んでいた。

無論、調理実習では食材を切るのに鋏は使わない

文科省の想定する調理とは、食材切断の道具は包丁一択なのだろう。

 
しかし、そんな教育を受けて育ったにも関わらず、私は料理にキッチン鋏を多用する。

握力の弱い私にとって、とにかく便利なのだ。
割と指先に力の入りにくくなった老齢の方にもオススメだ!

片手でミリ単位の微調整をしながら食材を押さえ、もう片方の手で包丁の切先に力が入るように圧をかけ、包丁を動かす大変さが無い。 

何より指先に必要以上に力を入れなくても、手のひら全体で楽々押し切れる。最高だ。 

なので、鋏で切れる食材は、ほぼ鋏で切る。
ニラや長ネギなんかは、鋏で切った方が断然楽である。
まな板に臭いも付かない。

 

まあ、ここまで書いて「ハサミで料理キモ」とか、「マジキチ、女として終わってる」と思う人が一定数いると思う。

こういう人種の多くは、大人の女性は料理が出来る前提で「得意料理は何」とか「手料理食べてみたい」などと寝言をいう。


そんな、理想の手料理勢を引き攣らせ、とても嫌そうな顔表情に変える定型呪文に、前述したヘンケルが出てくる。

自分で食べる程度の調理するけど、基本レンチンだし、(ヘンケルで切るから)包丁すら使わない。

手料理警察避けの効果はバツグンだ!
 
 

この手の料理話をした男性の中に、例外的にまともな返しをする方が居て、感動したことがある。

野菜はキッチン鋏で切るよ!
という定型の呪文に対し、

「キャベツは鋏で切りにくくないですか?」
これはキッチン鋏を知っていて、使用した実体験から出た言葉だと思う。

 
そうなのだっ!
大きくて密度のつまった食材を切る時は、包丁の出番だ。


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