2019/11/19 WHY BLOCKCHAIN?
スピーカ:INDETAIL 坪井さん
#最近は 、事業スケールさせず、PoCから大手とJV作って株式保有。株価至上主義の元、売上・利益は関係なく”株式売却”で事業を回すのを試してる
Chapter0 BLOCKCHAINとは
・なぜインターネットは早い/安い/安心? ⇒ 知らなくても使ってる
・なぜブロックチェーンなのか? ⇒ すぐ技術の話にするのはやめよう
みんなが平等で管理者に依存しない
弱い社会や組織でも平和な未来を実現する新たな仕組み
BLOCKCHAINの本質は、技術ではなく、その思想にある。
Chapter1 ブロックチェーンの仕組み(一般的な)
・ブロックチェーンは以下4つを組み合わせたもの
①暗号化技術:1回のやり取り毎に取引を暗号化、それを貯めていく
②コンセンサスアルゴリズム:これが新しい。みんなの合意を得て封をする。それを何度も繰り返して漸近的に信用度が100に近似していく。だからもう「100」って言っていいよね、と。この信用アルゴリズムが新しい。パブリックブロックチェーンの場合、毎回合意メンバーが違うので信用度を高めるのに何度も合意しないといけないのでトランザクションに時間がかかる。一方、プライベートブロックチェーンでは合意メンバーが分かっているので、合意回数を少なくすることができ、トランザクションにかかる時間も短い。
③P2P:ネットワークですべての情報を共有する。取引データを「ブロードキャスト」で全ノードへ通知=ネットワーク型
④DLT:分散型台帳技術、分散管理
Chapter2 ブロックチェーンの思想とは
中央集権を嫌う自由主義者たちが、宗教ではなくITの世界でその思想を広めている。国家、組織に依存せず、世界共通・平等を表現した通貨こそが、ビットコイン。ピーター・ティールによると、仮想通貨は非中央集権、AIは中央集権。
ここに、なぜAIは受け入れられ、ブロックチェーンが受け入れ難いのか、の理由がある。日本は特にブロックチェーンが入り込みにくい(坪井さん)
中央集権の覇者:GAFAと、非中央集権を目指す自由主義者たち。融合か、対立か。Facebookが通貨(リブラ)を発行する宣言して、政府が「いや通貨は国が発行するんですけど!」と怒って騒動になっていた。その直後、中国が「国主導でデジタル通貨つくります」と言ったので、通貨革命の火ぶたが切られた。本来、仮想通貨(分散型社会)を認めないはずの国家(中央集権型社会)が、しかも中国がそれを認めた瞬間に、革命は成立した。
Chapter3 ITの進化
今までtoB向けだった技術が、toCに広がってきたのが今まで。これからはtoHuman=元々、ヒトが持っていた機能領域を技術でカバーするようになってくる。時系列的にはそろそろ、ポストスマートフォンが出てくる。
最近のBazzWordは「データ」にまつわるもの。データの取得(IoT)、データの蓄積(クラウド)、データの保管(ブロックチェーン)、データの分析(AI)はもう用意されていて、これに5Gが来ると完成形が近づく。
しかし、これらの技術と産業が掛け合わさらないと何も生まれない。 (例:Amazon Go=小売業とのかけ算、メルカリ=リユース業とのかけ算)
Chapter4 時代の変化
GDPR、情報銀行、シェアリングエコノミー、働き方改革、キャッシュレスなど、いずれも非中央集権の方向に流れが来ている気がする。
従来、IT企業は価値・情報を集め、非対称性を埋めることでビジネスとしてきた。未来は、個人が自立した「システム」になって価値・情報の非対称性を埋め合う社会になっていく。情報が集まっている「どこか」に行かなくても、「誰か」が持っている情報を個人間でやりとりすればいい。この時、個人間でのやりとりをデジタルの契約書として残しておく=Smart Contractで、それを改ざんできない仕組みがあれば、「どこか」=企業・国・組織はいらない。そしてその「仕組み」の1つがブロックチェーン。
社会と組織は、中央集権型⇒非中央集権型⇒分散型へと移行しようとしているが、今は非中央集権への移行段階。最終的には「自立分散型組織(DAO)」を目指す。各個人がそれぞれの役割を持ち、個人間でビジネスが成立する仕組み。信用第一。
セキュリティが固すぎるが故に、ID/PASSを忘れても再発行できない。その辺が、今に比べると生きづらい世の中になるかもしれない。
Chapter5 仮想通貨がつくる未来
強い国・組織では、お金が余ってるから、強い国の中ではお金が回っていく。でもその好景気の恩恵は、弱い国・組織には回ってこない。弱い国・組織では中央が弱いため、何かに依存することが難しい。
ブロックチェーンの仕組みがあれば、分散型社会の実現、貨幣経済と分離したトークンエコノミーが機能し得る。「だれか」に頼ることが出来ない、中央が弱い国・組織こそ、ブロックチェーンが映える。逆に言えば、強い国・組織は統制が利いているので無用の長物、使ったとしても効果は高が知れている程度のもの。
弱い国、弱い組織で、どうやってブロックチェーンを使うかを考えるべし。日本で言えば過疎地域、世界で言えば貧困国に目を向けるべき。
GAFAが持っているオンライン部分の情報は価値が低い。インターネットにつながっていない、オフライン部分の情報は圧倒的に価値が高い。それを手に入れる手段が、人と人とのつながり=分散型の仕組み。リブラもオフライン、まだインターネットにつながっていない人々のデータを集めようという思想を持っていた。
何かに依存し、境界線の中でつながるのではなく、どこかの誰かが作った境界をまたいで、人と人とのつながりで1つの大きな塊=社会・経済圏・団体を作ることで情報をやり取りしていく。実はIS(イスラム国)もそう。今までは難しかったそういうコミュニティ、社会の在り方が、ブロックチェーンをはじめとするテクノロジーで実現できるところまで来ている。
Chapter6 事例
1.ISOUプロジェクト
ブロックチェーンでトークンエコノミーを構築する「ISOU」プロジェクト。近距離移動のためにお年寄りはタクシー的な移動手段が欲しい。どうすれば使えるか?トークンが必要です。トークンはどうやって手に入れる?お金を町の中に落とすことです。町の人のためになる何かをすることです。
ここでは、トリガー(動機・欲求)=リワード(報酬)を上手く設計している。上手くいかない地域通貨は、このバランスが崩れている。地域の中でお金を回す行為が、報酬として自分に返ってくるように設計し、バランスを取る。
お年寄りは死ぬほど移動手段が欲しい。それを使うには「円(YEN)」ではなくトークンが必要。となれば、何としてでもトークンを稼ぎに行く。この「何としてでも欲しいか」がキモになっていて、円で代替できるなら、そっちの方が楽だからやらない。地域の中でお金を回すから、景気は良くなっていく。これを、中央の力ではなく、個人間での価値のやり取りで行っているところが新しい。
2.RISO TV プロジェクト
視聴者のテレビ端末と、テレビ局/自治体/広告主をトークンエコノミーで繋げる仕組み。災害時、避難したかしてないか・避難勧告を見たか見てないかをトラッキングし、隣のおじいちゃんが逃げたかどうかを近所のみんなが察知できる。自治体も、避難状況を俯瞰して見えるのでサポートが効率的。CMも、実際に見ている人にトークンを払い出す方式にすれば、広告主は払い出されたトークンの数だけ広告料を支払うモデルになる。CMを見た人に払い出したトークンは、リアル店舗でクーポンとして使えれば、お金を回す仕組みになる。
重要なのは、トークンを払い出して流通させることを目的としてアレコレ考えるのではなく、リアル貨幣をより回していくという目的のためにトークンをどう使えるか?を考えること。
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