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ダブルブラインドテストって何だ?

 FCに限りませんが、何らかの仮説が本当に合っているかどうか検証する際に「ダブル・ブラインド・テスト」という言葉が出てくることがあります。日本語では「二重盲検試験」などの訳が使われます。

 これはFCを例にして説明すると、下図のような「テスト」が考えられます。黒が問題を出す人。青のAが自閉症者。オレンジのFがファシリテーター(介助者)です。

ダブルブラインドテスト

 黒の出題者はそれぞれ自閉症者とファシリテーターに絵を見せますが、互いの見せている絵が同じものか、違うものかは知りません。自閉症者とファシリテーターも、互いの見ている絵が同じものか違うものかを知りません。これが「ダブル(見る方も見せる方も)」で「ブラインド(見えない)」な状況ということですね。
 そしてファシリテーターが自分の見た絵でなく、自閉症者にだけ見えた絵をタイプさせることができれば、FCはちゃんと機能していると証明ができるわけです。(図は失敗例)

 なぜ出題者まで「ブラインド」にしなければいけないのかというと、出題者が「これは同じだぞ~」「これは別々だぞ~」と分かっていると、無意識に態度にそれが出て、回答者にヒントを与えたり、回答者の態度に先入観を持ったりという問題が出てしまうからです。
 この「無意識にヒントを与えてしまうことがある」というのは馬の話で紹介した『クレバー・ハンス効果』にも通じますね。

 ただ、FCの問題に限って言うと、上の図のテストは「自閉症者はリンゴの絵を見てリンゴとタイプすることもできない!」という前提がないと成立しないので、あんまり良いテスト方法ではないかもしれません。一口に自閉症と言っても、いろいろな方法での回答ができる人も多いでしょう。

 誤解する人もたまにいますが、FCの問題というのは、自閉症者にどんな能力があるかとは無関係な問題です。私も少しですが自閉症の方と接したことはあるので、彼らがこちらの意図を察して応えてくれることもたくさんあると実感しています。

 しかしFCは、そういった自閉症者の能力を過小評価して見逃し、FCで作った言葉で塗りつぶしてしまう性質があります。それが本当の「FCの問題」なのです。

 ……続きはまた。