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漫画連載の完結に思うこと。

まさに今年を象徴したと言って良い素晴らしい漫画の完結により、今日はTwitterにもいろんな感想が溢れました。
『物語を完結させてくださる漫画家の先生には心からの感謝と尊敬を』と。

私もひとりの漫画を愛する読者として本当にそう思いました。長期連載であれば尚更のことです。

私も、今日は「描き手としては」『連載』のことで色々と思い出したことが有り、
デビュー当時から漫画連載のお仕事もさせてはいただいていたのですが、イラストレーターとしてのお仕事が中心だった関係で毎月数ページほどの読み切りが多く、それも『雑誌の休刊とともに打ち切り、またはリニューアルして再開』になるのが常で、そういうものとして描き続けてきました。

ですから、連載打ち切りか否かみたいな緊張感は、FF11の漫画(Boy meets Girlシリーズ)でほぼはじめて経験したと言って良いと思います。
それまで商業誌連載では『漫画のお仕事が終わった』のであって、『漫画を正式に完結させた』経験が無かったのです。

そしてFF11の時の自分はひたすら漫画を描き続けていたのみで、
『自分よりも、担当様と編集部様、出版社様、メーカー様のご尽力によるところがとにかく大きかった』と記憶しているので、
この機にその時にお世話になった話を書いてみようかと思いました。

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FF11の漫画『Boy meets Girl』は、掲載誌が休刊、連載も打ち切りになった時点で、実は
「Webの漫画サイトが始まるから、次は別のコミカライズとかどう?」と同じ編集部さんからお話をいただいていました。

掲載誌が休刊になったということは売上が当初より思わしくなくなったということで、「次はWebでFFの漫画の続きどう?」という話が先に無かったということは、自分の単行本の売上も同様だったはずで。
ああ、そういうことか、とさすがの私でも察しました。
商業誌なのですから当然です。

『Boy meets Girl』の読み切り時代はいつ終わっても良いように描いていましたので、諦めもついたと思います。
でも、連載になった時点でラストまでの大まかなプロットは作ってありましたので、出来ることなら…!という気持ちが心のなかで勝ってしまいました。
難しい提案になるとは重々承知していました。でも一度は掛け合ってみないと後悔すると思い、

「許されるなら、FF11のほうを終わらせたいです」と私は答えました。

当然、編集会議にかけてみないといけない事案だったと思うので、その場でお返事はいただけませんでしたが、「webで続き描いてもいいよ」となった時は本当に嬉しかったのを覚えています。

ただし、『最後まで描かせていただけるか』はまた別のお話です。

web漫画サイトは無料公開ですから、あくまでその後の単行本が売れないと意味がありません。人気がない、単行本にしても売れそうにないと判断されれば掲載も当然そこで打ち切りです。
私に出来ることは、ただただその時の、物語の最後までの精一杯を画面の上に描き出す作業に専念しながら毎月その結果を待つことだけでした。

無事に最終回を迎えられたとはいえ、予定より2回もオーバーさせて頂いてのラスト。それでもキッツキツ。
「単行本もこれ以上分厚く出来ないから本当にこれが最後ですよ!」と口酸っぱく言われての完結でした(笑)。

なのであれは、私にとって『打ち切り最終巻』でなく『完結最終巻』まで出してもらえたことそのものが担当様、編集部様のお陰としか言いようがなく、それから何より連載期間中に編集部宛のメッセージで応援してくださった皆様のお力添えと、内容の監修と出版のお許しをくださったスクウェア・エニックス様には本当に感謝しています。ありがとうございました。

あれからもう何年経ったでしょうか。
街の書店では当然、ネットでも新品はもう買えないくらいの年月が経ってしまいましたが、ヴァナ・ディールという世界が続いているおかげで、
『まだ持っています』という方と
『最近はじめて読みました』という方と
どちらにもwebやイベント会場でお目にかかることがあります。本当に有り難いことです。
どうかヴァナ・ディールにも、冒険者の皆様にも、末永く幸あらんことを。

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近年、歳を重ねるにつれて、
こうして他の方の漫画に触れていても、自分で描いていても、
一つの作品を最後まで描きあげる難しさと尊さというのを実感します。

近年はSNSを始めたせいも有り、若くして志半ばで病気や事故で素晴らしい才能が失われてゆくツイートを目の当たりにすることも増え、
自分もあといくつ絵や漫画が描けるか、そして最後まで描けるかどうかと、
しみじみ思うようになりました。

そして個人的にですが、今年もいよいよ年末ということも有り、自分自身にも色々なお知らせや節目が有りました。出版社様からお歳暮を頂戴したりもしました。本当に有り難いことです。

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夏に続いて集英社様~~ありがとうございます!!
メタボと血圧に優しい!毎度漫画家向けの素晴らしい贈り物であります!(笑)。゚(゚´Д`゚)゚。ありがたーーーい!!

私に今まで関わってくださった担当様方、本当にありがとうございました。
そしてこれからもよろしくお願いいたします。

読者の皆様も、作家の皆様も、どうぞこれからもお元気で。
私の作品を気にしてくださる方がたまにSNSやブログを覗いてくださった時に自分も健康でいられるよう、
新しいものを少しずつでもお見せ出来るよう、
一枚でも多く絵を描けるよう、
漫画を最後まで描き続けられるよう、頑張って日々精進いたします。

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【後日談】
この続きの記事を書きました。よろしければお時間のある時にお読みいただけたら嬉しいです。↓
続・漫画連載の完結に思うこと。



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