医学部学士編入試験 生命科学対策 kalsの要項集

細胞生物学        ベルの生命科学対策

1.真核細胞と原核細胞の相違点を400字程度で述べよ。また、進化の過程でどのような相互作用があったと考えられているかも記せ。

 真核細胞は核を有するが、原核細胞は核を持たない。真核細胞のゲノムは線状DNAであるが、原核細胞の多くは環状DNAであり、両者のDNA複製機構も相違がある。原核細胞は、真核細胞に存在するミトコンドリアや葉緑体などの細胞小器官を欠くが、主にペプチドグリカンから成る特有の細胞壁を持つものが多い。両者ではリボソームの構造にも相違がある。また、原核細胞には真核細胞には存在しない代謝経路を持つものがある。真核細胞は進化の過程で古細菌に好気性真正細菌や原始的シアノバクテリアが寄生して生じた細胞で、寄生させた細菌はミトコンドリアや葉緑体に発展したと考えられている。この際、寄生した細菌のゲノムにより、真核細胞の祖先のゲノムが不安定化する危機があった。ここで、細胞膜が陥入してくびり切られ、小胞体となり、ゲノムを保護する核を獲得したとされている。核のない原核細胞は小胞体やゴルジ体などの細胞内膜系も欠く。


2.細胞膜の基本構造を500字程度で記せ。

 細胞膜は主にグリセロリン脂質の2重層から成り、その他にコレステロールとスフィンゴ脂質を含む。リン脂質は側方向に自由に動き回ることができ、 細胞膜に埋め込まれたタンパク質も側方向に比較的自由に動くことができる。リン脂質は疎水性の炭化水素鎖と親水性のリン酸基を持つ両親媒性の分子であり、膜においては、 疎水性部分が内側に、親水性部分が外側に向いた構造をとっている。二重層において、内層(細胞質側)のリン脂質が外層へ、あるいはその逆に移動する現象は起こりにくい。そのため、リン脂質二重層を構成する脂質の組成は外層と内層で異なり、一般に外層にはホスファチジルコリンやスフィンゴミエリン、内層にはホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、 ホスファチジルエタノールアミンが多い。糖脂質は主に外側に存在する。膜タンパク質は膜を貫通しているものと、 膜表面で脂質や糖鎖に結合しているものとがあり、シグナル伝達や物質輸送に関わる分子、化学反応を触媒する酵素、細胞接着を形成する分子などがある。また、膜タンパク質は基本的に側方向には比較的自由に移動できるが、裏打ちタンパク質により固定されているものもある。

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