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The Routine to be Strong

私はきっと少しずつ強くなっている


月が雲に隠れ、街の明かりだけが暗闇の中の道しるべになる間、私は私の呪縛の中にいる。一つ道を入ったら、街の明るさと少しの賑やかさは遠くへ行ってしまう。小さな街灯では心許なくて、突然ぽつりと暗闇の中に戻された気分。少し遠くにたつ街灯がやけに眩しく感じて、だから目の前の暗闇がもっと濃く深く見える。

そういうときは、その呪縛からのがれるのは難しい。自分が情けなくて、醜くて。うずくまって、頭を抱えて、涙を流す。


やがて雲は風とともに流れ、月が街を照らす。太陽には隠れる月も、暗闇の中では明るい。やっと、街灯の明るさに目が慣れる。少し明るくなった暗闇に目が慣れて、私は少し怖くなくなる。その頃に涙が枯れてくる。もう流しきったとでもいうように。


私は知っている。ただ泣いただけで、流し切っただけで、何も変わっていないことを。情けない、醜い自分は、ただ泣くという、うずくまるという過程を経ただけで、その情けなさや苦しさから抜け出したわけではないことを。きっとまた今日と同じ夜が来る。どうしようもなくて、ただ泣くことしかできない無力でちっぽけな自分と私が向き合う夜が。

しかし私はこうも思う。暗闇にいる時は見えなくても、雲の向こうには月がいて、目が慣れれば暗闇のなかにも見える何かがある。私は今晩それを知ったのだと。それに、私はこうして暗闇に、自分に向き合うことを覚えたから、自分の弱いことを知った私は、それより前の私よりは、ちょっとは強くなれるかもしれないと。


こんな過程を経なくてもいいのなら、そっちの方がいいのかもしれないけれど、今の私はそういう生き方はできないみたいだ。だから、今日のことを苦しくないくらいに記憶の隅にとどめておいて、また次の暗闇が来る時にカケラを思い出せたらいい。たぶん次はまだ思い出せないけれど、その次はちょっと思い出せる。

私の心は常に波を打つ。高くなったり、ずっと低くなったりする。海の波が落ち着くのには時間がかかるように、凪を迎えるにはちょっと時間がかかる。暗闇はまたきっと来る。でもこの波が、段々と右肩上がりになっていったらいいなと思う。

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