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年の瀬

2月末ぐらいから、新型ウイルスの出現で世界中がパニックになった2020年、もう生き延びているだけで100点満点だとさえ思える。わたし個人の話でいえば、転職したことによって人生が180度変わって、世の中の見え方が一変した。まとめられないこともたくさんあるけれど、やっぱり苦しいことの方が多い一年だった。


選んだ道を正解にする、転職

”選んだ道を正解にする”と決めて、次の仕事も決まっていないのに退職を申し出た2月末日。ちょうど全国一斉休校初日で今後の不安もある中、安定を捨てて身軽な状態になった。その覚悟が功を奏したのか、その3日後に面接に行ったところに決まるのは、また後の話。

教育の仕事が嫌で辞めたわけじゃなかったから、仕事が途切れることが本当に不安で、2月最後の一週間は毎晩泣いていたんじゃないかと思う。わたしには何もない、何もないのにできる仕事なんかない、社会に必要とされてない、って就活時と同じ負のループに入っていた。だいぶマシになった方だけれど、自己肯定はまだまだこれからも課題だなあ…「あんたには無理、できない」って言われ続けてきた呪いを早く全部浄化したい。


4月からは、ずっとやりたかったファッション誌の企画や編集、ディレクションの仕事。始まってみれば、全くマーケティング感覚がなく、マスに受けるものがわからない。わたしのすきなものや趣味は、マス向けから少し離れたところにあり、圧倒的にコンテンツの吸収量が足りてないことを悟った。また、ずっと公務員だったことに甘えていたから、「仕事をつくる」という感覚から離れて社会人をやっていたことの恐ろしさを身にしみて感じた。

情報に溺れる日々の中で、「何がわからないかもわからないぐらい、何もかもがわかりません!」と喚くわたしを鬱陶しがらずに、根気強く指導してくださっている先輩には頭が上がらない。まだまだこれが強みだと言えるものがなくて、学びながらお給料をもらっている状態で、本当に本当に役に立てていないので、早く役に立ちたいと思う。本当に!


わたしを救ってくれた人たち


今年は特に、Special Thanksな人たちがとってもたくさんいる。
本当にたくさんいるけど、その中でも一番は、わたしを掬い上げてくれた今の会社の社長に。

働く上で重視する項目は人によってさまざまだと思うのだけれど、わたしの優先順位の一番上は「人」なのだということを痛感させられた。何をするか、どこで働くか、給与や待遇など色々あるけれど、誰と働くかが本当に重要なのだなと今の環境に来て思う。

採用が決まった時のメールには「今の時代、これしかできません、やりませんというスタンスはナンセンス。河地さんのように好奇心旺盛で、色々やってみて、その中でカスタマイズして提供するサービスが望ましいと思っています」と書かれていた。

未経験で何の知恵もない、ただ「好きでやりたいからお願いします」っていうだけのわたしの能力を過不足なく汲んでくれて、自分なりに100%の力で出しているけど出来栄えがよくわからない企画書も的確にフィードバックしてくれて、みんなの才能を引き出して認めてくれるヘルシーで美しいひと。そんな人の会社に入れて、本当に良かった。


財布をスられて大パニックの2019年暮れを経て、本当に色んな人にお世話になったから、2020年は恩返しの年にする!って意気込んでいたのにも関わらず、恩返しできるどころか本当にたくさんの人にお世話になりっぱなしだった。時には少し重みを預けて、肩を借りてひと休みさせてもらうこともあった。というか肩を借りてばかりだったな。いっぱい励ましてもらって、助けてもらって、支えてもらって、どうにか生き延びることができたと思う。ジェットコースター並みに波のある感情を受け止めてくれた周りの人たち、本当にありがとうね。

「まりちゃんはいつも楽しそうだね〜」と言ってくれる友人たちへ。それはねえ、一緒にいてくれるみんながだいすきだからだよ。楽しくいさせてくれるからだよ。みんなのおかげでどうにか、笑って生きられているのです。


わたしを支えてくれるものたち


今年は例年にも増して、小説や音楽、演劇、ラジオなどに救われることが本当に本当に多かった。密空間が禁止され、お客さんをたくさん入れた公演はできなくなってしまった。そういう美しいものに触れる瞬間がわたしの心の拠り所でもあったので、ダメージも受けた。もちろん演者の方々の精神的・経済的ダメージははかりしれない。

その中でも特にすきだったのが、根本宗子さんの『もっとも大いなる愛へ』というオンライン演劇。本田劇場を貸し切って、全公演無観客配信。本番の前日までは全員リモートでお稽古し、前日リハで初めて顔を合わせる。毎日毎公演生配信し、その後のダメ出しまで全て配信する新しい試み。

「伝えたいことがたくさんあるけれど、言葉が多すぎて伝えられない、伝わらない」ことに悩む伊藤万理華さんの役は、わたしそのものだった。
こんなに天真爛漫でエモーショナルではないけれど、ジェスチャーが多すぎて視覚的にうるさいところも、言葉を重ねすぎて相手に「きみのことばは、いつも半分くらいしか理解できない」と言われてしまうところもそっくりだった。

伝えることの難しさや相手を思いやることの難しさ、傲慢さ、どうにかして救いたいと思う気持ちの空回り感やお節介さ、それでもどうにかわかりたいと思う気持ち…伊藤さんの役に自己投影して苦しくなって、心がぐちゃぐちゃに引っ掻きまわされた。わたしもこんな風に人の心を動かすものを作りたいと思った。
根本さんが今こういう作品を作ってくれて、今観られることにひたすら感謝した。


そして菅野結以さんのサロン内のラジオのような配信も、大きな力になっていた。

”今凪だな、って思ったら、風が吹いていない時にどれだけ準備していられるか。
人生には波があって、必ず風が吹く時が来る”

すきな人の言葉というのはこんなにも効果覿面なのかと思わされるほど。まるで潤いのシャワーを浴びているようだった。すきな人やものをすきでいられるだけで、こんなにルンルンな気持ちで生きていけるのだったら、まだ大丈夫だなと思えた。


周りからどう見えていたのかはわからないけれど、ジェットコースターのように気持ちに波があり、情緒不安定な一年で、それは今も変わらないように思う。
ここまでやり切ったから2021年も明るい未来を連れてくる、って強い気持ちで思えるコンディションではない。それでも、できるだけ毎日”楽しい”を更新して生きていたいから、デトックスして、要らないものは今年に置き去りにして、明るい未来を自分の手で連れてこなくちゃね。


楽しいことばかりじゃなかったけれど、たくさんの人や作品に救われて生きてこれたんだなと思う2020年だった。必要な時に必要な人に出会うことができて、すきな人たちに囲まれて生活できたことは本当に恵まれていたなと思う。やっぱりわたしはこんな時でも本当に運がいいので、来年もたぶん大丈夫だし、縁を繋いでいきたい人にはちゃんと会いに行くから安心して。わたしにできることは本当に微力だけれど、少しずつ感謝の気持ちを渡していきたい。もっとエモーショナルでヘルシーな明るさを身につけて、元気を渡せる人になりたいな。2021年もハッピーにご機嫌で生きていきたい!

少しでも関わってくれた人たちが、みんなしあわせに生きていられますように。
今年一年、大変お世話になりました。来年も、よろしくお願いします。

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