それがSTEREO3なら諦める

あんまり音楽には詳しくなくて、スポーツばっかり見てるので流行りのものは全く知らないのですが。
インターネットもまだ平和だった時代で、量産型音楽が流行っていたころ。
給食の時間で誰かが持ってきた8cmのシングルCD流してたりね、懐かしい。

そんなとき「One more time, One more chance」って曲がCDTVのランキングによく入ってたんです。
深夜、子供にしてはなかなかの夜更かしの時間。
この時間が楽しみでね。
ずいぶん長くランキングに残ってる(50位くらいまでやってたから)けど、そんな良いかなぁ??って思ってて。
そしたら、しばらくして当時毎週見てた「うたばん」にその人出たんですよ。
ギター1本抱えてトークゲストにきて。
頭もじゃもじゃでボソボソしゃべるんだけどギターを鳴らしたときに、水を得た魚のように生き生きとするのね。
なんて楽しそうな人なんだろう、なんだこの人??
ってなって次の週末、すぐCDショップ行ってテレビで歌ってた「アドレナリン」てシングルCDを買ったんです。
それも中古で。お小遣いだったからね。

流行りの売れてる曲ではないかもしれないけれど、やっぱりCDで聴いても本当に楽しそうで。
そのあとの「ドミノ」ってアルバムが出て。
これは中古じゃなくて新品でちゃんと買った。
このドミノは大人になった今も良く聴くし本当に名盤。
そこから過去のアルバムもシングルも一気に買った。
売れなかったからかあんまり中古が出ておらず、売れ残りと思われる新品ばっかりで当時にしてはかなり出費。
HOMEのケースに少しヒビが入ってても買った。

それから何年も何年も経って、「HOBO's MUSIC」までは聴いてました。
でもそれ以降のアルバムは1回聴いて終わり。
昔はよかった、とは言いたくないんだけど本当に変わったと思う。
人畜無害のような風貌から槍を投げ毒を吐くような曲もあったし、月や星や夜空を歌えば右に出るものはいなかった。

アルバムや新曲はあんまりチェックしないので発売されてるのに気付けないから、最近やっと「STEREO3」がリリースされたのを知った。
ステレオってすごく特別なタイトルだと個人的に思うんだ。
それで久しぶりにちょっとドキドキしながら聴いたんだけどね。
こんな感じか、と。
これが今のステレオなのか。

いつかまた、あのときのような鋭さというか生臭さというか、戻ってくるのかもしれないってずっと思ってたのに。
もうそれは戻ってくることはなくて、これを「STEREO3」って名付けてしまったならもう諦めるしかない。
これがSTEREOなんだから。

ファンクラブに入ってるわけでもないし、ライブも毎度行っていない。
だから偉そうなことは言えないけど、たまにライブに行くと会場ですごく悲しくなる瞬間がある。
いつもお客さんを楽しませてくれて気遣ってくれてその場は楽しい。
でも一瞬だけ、もうあのときみたいな曲は出ないのかなってなる。
そうすると眉間にギュっとシワが寄ってしまって泣きそうになる。
だいたい本人登場したら嬉し泣きなのにね。
なので胸張ってファンです!とは言えない。
私が本人の進化について行けず、昔にしがみついてるだけなのかもしれないから。

それでも好きな曲はたくさんあるからドライブしてるときとかちょっと仕事中に気分を変えたいときはよく聴くよ。
昔のだけどね。
今じゃ配信でお手軽に聴ける時代。
音楽に古いも新しいも関係ない時代なんだってさ。
そうか、じゃ私はこれからもずっと懐古厨でいるよ。

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