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ダーツで酒場の夜は更けて


「ベルリン酒場探検隊レポート」

出会いがあれば別れがある。それが人生だ。2人で始めたベルリン酒場探検隊だが、相棒は日本へ帰ることに。隊員久保田とゲスト隊員たちは、酒場ヨナスで彼女の門出を見送った。ラスト酒場でしっぽりとした空気になるかと思いきや、アクティブな一夜を過ごすことに……。

レポート提出者:久保田由希


酒場データ
店名:Jonas(ヨナス)
入りにくさ度:★★★☆☆
居心地:★★★★★
タバコ:禁煙
ビール:Veltins(フェルティンス)0.3L 2.50€、Jever(イェヴァー)0.3L 2.50€、Guinnes(ギネス)0.3L 3.0€ほか。

地に足のついたお客たち

ヨナスがあるのは、ベルリンのシェーネベルクという地区だ。この辺りはグラフィティだらけでもなく、セレブというわけでもなく、地に足のついた人々がいる印象が強い。旧西ベルリン(東西ドイツに分かれていた時代の、西側=資本主義側のベルリン)エリアのザ・ニュートラルだと勝手に思っている。

ヨナスの客は、そんな土地柄を反映しているかのようだ。店内にビリヤード台とダーツがあるのは典型的なベルリンの酒場だが、ギラギラした雰囲気がない

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(酒場につきものの、ビリヤード台とダーツ)


「ダーツをやりたいか」

ゲスト隊員と隊員久保田は、日本へ帰国する松永隊員を囲んで飲んでいた。テーブルの先にはダーツがあり、数人の客が興じていた。われわれがビールを手に語っていると、客のなかのひとりが「ダーツをやりたいか」と英語で声をかけてきた。

「いや、やったことがない」
「やり方がわからない」

と答えるものの、「教えるから大丈夫」と矢を渡され、指定の位置に立たせられるわれわれ。

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(常連客からルールを教わる隊員)

「こう投げるんだ」と言われるままに見様見真似で投げるものの、的(マト)にさえ当たらない。ヒューッ、ヒューッと矢は的の手前で落ちていく。ただ矢を投げるだけのものが、これほど困難だったとは。


目覚ましい若手パワー

6名いたわれわれだったが、交代で矢を投げているうちに、若手ゲスト隊員たちが頭角を表し始めた。矢が的に当たるのである。しかも狙った場所に。

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(的に当たる、当たる)

ダーツを勧めた客は喜び、矢を投げるフォームやゲームのルールについて熱心に教えている。まっすぐ投げろ、点は持ち点から当たった部分の点数を引いて最初にゼロになった者が勝ち、などためになるアドバイスである。

気づくと、的の上にある電子版の数字がどんどん変わっている。なるほど、矢が当たると機械が自動的に計算しているらしい。さすがは電子ダーツだ。


早々にダーツを諦めた松永隊員と久保田は、席に戻りビールを飲むことに明け暮れた。

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(まったりと飲む年長者隊員)

時代は流れる。今後は有能な若手隊員たちが、ベルリン酒場探検隊を支えてくれることであろう。久保田と若手隊員によるNewベルリン酒場探検隊として、今後も酒場探検に邁進していく所存である

ベルリンのさらなる秘境酒場の開拓と報告のために、ベルリン酒場探検隊への支援を心よりお待ち申し上げる。