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そして私は転職を繰り返す。

専門学校を卒業して、10年以上が経った。社会人として頑張って働いている。納税だってしている。しかし、社会人になって幾度となく転職を繰り返している。

転職を繰り返す理由としては、私の性格に問題がある。あまりにも理不尽な言い分や納得できない事があると、とにかくどうしてかを知りたくなる。態度に出る。不満そうな顔をする。私のどうしようもなく悪い部分だ。周りの人と、特に上司とか目上の人間と上手く出来ない自分が本当に情けなくなる。小中高と部活もそんなに真面目に行っていなかったし、美術部などの先輩後輩という縦社会がさっぱり解らなかった。今でも解らない。それなりに慣れてきたと思うが、今でもちゃんと出来ている自信はない。全くない。

転職をする中で、正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトと様々な雇用形態を経験してきた。短期間のバイトも入れれば7社だ。多い。給与はそんなに高くはない。どの会社も嫌になって辞めてはいるが、私がもっと上手に人付き合いができれば辞めなくても頑張って行けたのではないかと何度も思った。これは辞めなければ良かったという後悔ではなく、あの仕事も楽しかったという思い出だ。辞めた会社で覚える事ができた技術などが未だに役に立つ事があるから嬉しくなるというそれだけだ。辞めたことに後悔はない。

ニュースや雑誌やワイドショーなどで取り上げられる嫌な会社がこれまで無かったことはラッキーだと思う。毎日終電で帰る会社もあったし、有給がない会社もあった。年間休日が少ないところもあった。よくある女同士の抗争も一切なかった。どちらかと言えば役職付きの男の人同士の不仲の方が下で働く身としては面倒だったくらいだ。それらの理由はその時は不満に感じていたと思うが、辞めた理由はそのあたりでは無かった。

では、退職を繰り返すのか。それは、どうにもこうにも上長と合わない。最初の頃は猫を5匹くらいかぶって、指示に「はい、わかりました!」と良い返事をしていた私も、半年、1年と経つうちに、指示にそれはオカシイんじゃないか?と感じる事がはっきりと見えてくるようになる。そう思ったら言うのを我慢できなくなってくる。最初はやんわり伝えても、上長はそれを突っぱねる。かぶっていた猫が3匹、2匹と減っていく。最終的にはかぶっていた大人しい猫が暴れん坊の化け猫と姿を変え、思っていた事やおかしいことを全部口に出すようになる。その言い方がまた悪い。

私の仕事はデザイナーだ。チラシなどの紙媒体ばかりを作ってきた。化け猫とはいえ大人なので、最初はきちんと説明をして気になるポイントや自分の考えた事を伝えてお伺いを立てる。それが通らなくともせめて説明をして欲しい。何が違うのか、どこが違うのか。私のアイディアが全く違うのか、それなりに良いけど今回はやめとけなのか。とにかく、ヒントをくれ。それを求めても私が無理だと思う上司が言うことは大体一緒だった「まぁまぁ、とりあえず直して」。直すからヒントをくれ。それでもヒントも説明ももらえない。こちらも考えるのが疲れてきて、果てにはもういいやとなるのだ。

転職をするたびに、家族・友人には「また?」と言われた。そうですまたです。年に1回会うかどうかの友人には「まだ前に聞いた会社?」と聞かれる。そして私は「どこまで喋ったっけ?」と確認する。友人の一部からは「独立した方が良いんじゃない?」と言われる。はっきり言って私は無理だ。まず、独立してしっかり稼いでいけるほどの能力がない。また、独立して自分の稼ぎをゼロから生み出せる気がしない。人付き合いや新しい発想、先を見据える目など、独立できる人にはきちんとあるのだ。情けないが私はそんな自信も勇気もない。ちゃんと働いて、ちゃんと働いた分だけ安定したお給料をいただきたい。媚びる事なく拗ねる事なく仕事をした分貰ったと思いたい。

転職を何度も繰り返して、自分で一つの会社で長く続けられない事が情けなくもなるが悪いことだけじゃないとも思う。色んな会社の中を見れて、こんな事もあるんだ、と知る事ができるのは良かったと思う。色んな会社があるなぁと本当に思う。そして、私が険悪になる人はいれども、どこの会社も良い人ばかりだったと思う。もちろん、こいつクソ野郎だなと思う事もある。わー、この人とは絶対友達になれない、と心から思う人もいる。まぁ、それはお互い様であろう。でも、仕事だからしょうがないや、と適当に受け流せるラインだと思う。

じゃあ、何が嫌なのかと考える。私は仕事の頑張りは、会社への貢献に直結すると思っている。売り上げが上がるとか、問い合わせが増えるとか、そういう目に見えて解るもので還元できればと思う。ただ、事務や雑務を担ってくれる売り上げに直結しないような仕事も大切だしそれを蔑ろにされるのは腹がたつ。仕事柄どうやれば解りやすく伝えられるかを考えて相談しても、適当でいいと返されると腹がたつ。些細なことの積み重ねで、上長に対して「こいつの下で働いていても仕方ない」と思った瞬間から転職活動は始まる。仕事は嫌なことを我慢しても自分の為に頑張ればいいという人の言い分は重々理解できる。それはそうだと思う。それでも私はその会社で良くしようという気持ちのない人間の下に傅いてい働くのは嫌なのだ。みんなで稼いで金を稼いで良い生活しようという上司ほど、下の人間に還元するつもりはないと思っている。人によるとも解っているが、私の会社の社長はそうだ。

うまく転職を繰り返せていたのは20代でまだ若かったからだと思う。30代半ばになり、応募資格の年齢を超えている事が増えてきた。資格がある訳でもない。自慢できるキャリアがある訳でもない。何歳になってもやりたいことに踏み出すことはできる事も知っている。でもそろそろ正念場だとも解ってる。

今日、提携先の企業の方に私の作ったチラシを褒めていただいた。提携サービスに関するチラシだ。電話口でだが、自分たちで作ったものより良いと言ってもらえた。社内の人間が何一つそんなこと思わないのに、外部の人に褒められて凄く嬉しかった。社交辞令だと知っていても涙が出るかと思った。ああ、私は認められたかったのかなと思った。認められるってなんでしょうね。些細なことなんですけどね。この人たちの為に働きたくないと思い始めたら終わりだなと思う。でも、そんなのことももうどうでもいいや、と思ったら転職サイトを見始めるしかないのだ。

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