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JAPAN 漆

先日、漆器を見る機会がありました。
赤、黒、そして金色も入っており
とても艶やかで美しい器でした。

これも日本の赤だなと言う事で、
年明けから赤に夢中の私は漆塗りについて調べてみる事にしました。

漆(うるし)は
うるし科の植物から取れる天然の塗料です。
漆の木肌を傷つけると出てくる液体なのですが、始めは黄色みがかった白い色をしているのだそうです。
そこに”ある”ものを混ぜて赤や黒の漆塗料を作ります。
その”ある”ものとは…

赤色は
弁柄(ベンカラ)と言う赤鉄鉱や赤土から精製して採取した粉末です。

漆の朱色には、明るい朱から黒味がかった朱までさまざまで、洗朱、本朱、古代朱(吟朱)などの呼び方があり、またその中でも色合いによって赤口、淡口、黄口、中口、濃口、紫口といった細かい分類があります。漆は塗られた後もゆっくりと固化して色合いが変化し、時間の経過とともにより鮮明な赤
になっていくそうです。

最近、日本の色について調べるために読んでいる本、
「日本の配色事典」城一夫さんの本の中で
この弁柄の写真と説明が出て来たのですが、この本では浮世絵の色材として紹介されており、
浮世絵の赤と漆の赤は元は同じなんだという事を知りました。

以前、アカについて調べていた際、
日本古代、色は光の認識から徐々に生まれたのであろうと。
アカ、クロ、シロ、アヲ
の4つの色名は、もともと色を現す言葉に由来するのではなく、光の色から生まれたと書かれていました。

明(めい)、暗(あん)、顕(けん)、漠(ばく)
と言う言葉と色の関係は下記の通りです。

明-アカ
暗-クロ
顕-シロ
漠-アヲ

アカ色の原料となる弁柄やクロを作る為の鉄(黒についてはまたの機会に掘り下げます)
など、顔料として使い始めたのも古代からだといいます。
人間が自然の中から、科学の中から色を見つけ、絵や、形にして来たのかと思うと、色々な事が繋がりとてもワクワクしました。

少し余談ですが

漆塗りといえば…
数年前に宿泊した松本市にある
まるも旅館さんの朝食を思い出しました。
まるも旅館さんは1868年創業
古き良き建物と、時代を経て美しくなった
松本民藝家具を体験する事が出来る小さなお宿です。

朝食に出て来たお味噌汁は
大きな朱色の漆椀でした。
随分丸くて厚みのある椀だなと可愛らしく思い、女将さんに「とても可愛いカタチですね、あまり見た事がないです。」と聞いた所、
「これは元々は薄い椀だったんですよ。
かけたり、削れたりした所を何度も修復するうちにこのカタチになったんです」
とおっしゃっていてとても驚いた事を思い出しました。

その椀のアカはオレンジに近い朱色
今回、漆の赤は時が経つにつれ
明るく鮮明な色になっていくという事を学びました。私は数年の時を経て

あの時の椀は長く長く愛され使われてきたものだったんだなと思い返す事ができとても嬉しくなりました。

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