マガジンのカバー画像

語学書の著者のコラム

177
ベレ出版語学書の著者による、本を書くこと以外のお仕事の話、教えること、ことばにまつわること、言語について。
運営しているクリエイター

#中国語

言葉が増えれば世界も広がる —私が多言語に携わることとなったのは

青木隆浩 第四回:多言語を通して見えてくる文化 1.言語から文化を知るみなさん、こんにちは。今回は多言語を学ぶことで見えてくる文化や歴史的背景についてお話いたします。 私はこれまでに中国語、韓国語、モンゴル語、ロシア語などを学んだことがあります。これらの言葉が話されている国は互いに国境を接していることから、それぞれの言語を比較したり、その変遷をたどったりしていくことで、相互の関係が見えてくることもあります。 まず、単独の言語の話から始めましょう。 各言語の語彙から、そ

言葉が増えれば世界も広がる —私が多言語に携わることとなったのは

青木隆浩 第二回:スピーチコンテストへの挑戦 1.大会に向けての取り組みみなさん、こんにちは。今回はスピーチコンテストへの挑戦についてお話いたします。 中国語に夢中だった私は、中国語が学べる高校に進学しました。その高校では、1、2年生は週6時間、3年生は週9時間と、毎日中国語の授業があり、高校3年次に私は学習の集大成として、日中友好協会主催の全日本中国語スピーチコンテストに挑戦することにしました。 スピーチのテーマには、短期留学先の中国で出会ったおばあさんとの交流を選び

言葉が増えれば世界も広がる —私が多言語に携わることとなったのは

青木隆浩 第一回:私を魅了した中国語みなさん、こんにちは。昨年春の連載「言葉は話すためにある —勉強だけではもったいない!」に続き、今月再びnoteを担当させていただくことになりました、青木です。 今回は私が一番初めに外国語に興味を持ったきっかけや、当時の外国語学習方法などについてお話したいと思います。 1.外国語を学び始めたきっかけ私が小学生だった90年代は、出稼ぎや国際結婚などで外国人が徐々に増えてきた時代でした。そうした中、親の仕事で来日した外国人児童の受け皿およ

言葉は話すためにある ー勉強だけではもったいない! #2

第2回 モンゴル国への旅行で感じたカルチャーショック青木隆浩(言語学者) 1.「モンゴル国」と「内モンゴル自治区」の違い 前回は内モンゴルでの出会いを紹介しましたが、今回はモンゴル国についてお話しします。  モンゴル国と内モンゴルは混同されやすいのですが、「モンゴル国」は独立国で、著名な力士を多く輩出しています。一方の「内モンゴル」は中国の領土内にある民族自治区を指します。  では、なぜモンゴル民族は国をまたいで居住しているのでしょうか。  ここで少し歴史を紐解いてみま

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第4集 

林屋啓子 初めての春節中国のお正月である春節は、伝統的に家族で過ごす日です。初めての春節、私は中国人の姉弟に招待され、彼らの故郷で過ごすことになりました。姉の娟(Juān)ちゃん、弟の南(Nán)君は日本で研修したことがあり、特に娟ちゃんは日本語が得意です。私は北京から500キロほど南下した世界遺産「泰山」のお膝元、山東省泰安市に向かいました。 伝統を受け継ぐ暮らし彼らの家は伝統的な建築様式で、敷地は高い塀で囲まれています。門をくぐると中央が庭、周りに平屋の建物が配置され

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第3集 

林屋啓子 中国の休日事情私が留学していたころの中国は単独の祝日がほとんどなく、代わりに年3回の大型連休がありました。1月か2月の春節(旧正月)、5月1日からのメーデー、10月1日からの国慶節(建国記念日)です。メーデーや国慶節は公的には3連休ですが、1週間の休日になるところが多いのです。ただ、この休みを捻出するために、大学では「月、火、水、木、金、金、月、月」という地獄のスケジュールが組まれました。宿題が多い上に出席率も悪くなり、休み前はふらふらです。 汽車は一大社交場1

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第2集 

林屋啓子 中国ではまず話さなきゃ!中国で暮らし始めると、最初は人々の態度に少々たじろぐことがあります。平たく言うと「ぶっきらぼう」、「怒っているのかな」と心配になるレベルです。ただ、そこでめげる必要はありません。中国では一般的に「見知らぬ人」に対する警戒心が強く、最初は愛想良くしてもらえないこともあるのです。ということは、相手と「知り合い」になってしまえば大丈夫。 例えばお店に欲しいものがなかったとき、「もうちょっと大きいのがあると嬉しいんだけど」など、少しおしゃべりする

「社会人」に一休み、中国留学してみれば 第1集 

林屋啓子 外国語の勉強が大の苦手だった私ですが、職場で中国人の女の子と仲良くなったのがきっかけで、中国語をかじってみることにしました。市民講座に申し込むと、中国語は漢字のおかげで手がかりが多く、スタートダッシュをかけられることが分かりました。すっかり気を良くした私は、2年ほど勉強したあたりで、大胆にも中国に留学しようと思い立ちました。当時、正社員でなかったこともあり、ちょっと生活を変えてみるのもいいかなという気になったのです。その頃のレベルは中検3~4級ぐらいでしょうか。