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26w4d 506gの男の子④1日1日乗り越えて

※今回から少し写真載せます。
医療系画像苦手な方は念の為ご遠慮ください。

突然の手術だったので、
私は朝一飲んでしまった水のせいで
術後少し吐き気と戦ったり、
帝王切開の痛みと少しお付き合いした。
まぁ、そんなの一時のことだからいいんだが。

長引いてしまったのは、貧血。
大きめにお腹を切って閉じるのに時間がかかったので、予定より出血が多かったらしい。


ついに夫婦そろってNICUへ呼ばれた。
まだ貧血気味な私の車椅子を、
夫が押して行く。
赤ちゃんの保育器まで案内された。
小さな小さな、でも一丁前に4Sの極小
紙オムツをした赤ちゃんがいた。

手術ぶりの再会。

「よかった…生きてる…」

安心した。
それ以上でも、それ以下でもない。
この子が、今を生きている。
こんなにありがたいことはない。

正直、産まれた我が子を見てこんなに数日「可愛い」という感情が後回しにされるとは
自分でもビックリしてる。
でも、1日1日私はここへ来て
「よかった、今日も生きてる…」
という現実を噛みしめるのだ。
それほどまでに、この子が今生きてることが日々奇跡なのだから。今はそれでいい。
いつか退院して、毎日おうちで
一緒にいられる日がくればきっと、
毎日「可愛い」で溢れる日がくるから。


数分保育器ごしに面会して、
NICUの先生から詳しい説明を受けることに。
説明を聞く部屋に移動したのだが、
保育器の高さをのぞき込むのにさっき
少し立ち上がっていたせいで私の顔から
血の気が引いていく…。
あ、ヤバイかも、でも説明聞かないと…

すかさず看護士さんが私の異変に気付く。
「ちょっとお母さんは部屋に戻って横になろうか!」
車椅子をなかなかのスピードで押されて、
私だけ病室に戻ってきてしまった。
待っていた母がどうしたの?とびっくり。
貧血でね、ちょっと寝るね…

目が覚めて、夫に先生の話どうだった?
と聞くと、だいたい聞いたけどまたお母さんの体調が落ち着いたら一緒に聞こうってことになったと言った。
ひとまず会いに行けて安心したし、
まだ貧血がひどくてその日は寝た。


だいぶ後になって、母が教えてくれた。
この日私が貧血で戻ってきて寝てる間に、
1人で説明を聞いてきた夫の顔は真っ青だったそう。
あんな顔見たことなかった、と。
実は夫は1人で、
「今ある命も、本当に最初の72時間はとにかく何があるかわからない」という話をされてきたらしい。
それ自体もだし、それをお腹を痛めて産んだ私に言えない…言える訳ない…
と抱え込んでいたらしい。

優しいねぇ…言ってくれれば私、
だーいじょうぶだよ、私の子だもん!
って謎の自信で笑ったのに。
あはは…笑
と、私と母は夫に内緒の会話をした。
やっぱり母親たちは強い。


さて、やっと貧血が落ち着いて
私もしっかり説明を聞けるようになった。

·1番最初の山場は越えた。
·これからは1日1日赤ちゃんが自分でできることが増えてきたら、だんだん点滴とかがはずせる
·今後のことは成長していかないとわからない(座れるか、歩けるかなど)
·人工呼吸器を使った子は高確率で新生児網膜症になる事が多い
·ざっくり退院は半年~もっとかかるかも

話が終わると、
「お母さん、大丈夫?」
と先生に聞かれた。
「大丈夫です、治療内容に抵抗とかは全くないので、できることは全てしてあげて下さい。よろしくお願いします。」
と、お願いしてきた。


無理してる訳ではなく本当に大丈夫だった。
だって、助からないかもと思っていた命が
今も頑張って生きている。
これから何が起ころうと、この子が生きてさえいれば全て想定内のこと。
生きていれば、普通に産まれた子だって風邪を引くし、怪我もする。
小さく産まれたこの子が、なにか治療が必要なんて当たり前でしょう?

ここまでポジティブなのは私だけだが、
治療に対する意見は夫婦で一致していた。
できることがある限り、小さな体には負担かもしれないがとにかく今のうちに何でもやってもらおう。
なぜなら、

この先を生きていくうえで、今やってもらえば辛くてもこの子の記憶には残らないから。

極論のような意見だけど、私たちは治療に迷いはなかったし、かわいそうと思ったこともない。
今できることをせずに、何か症状が残った方がよっぽど後悔する。
日々の治療を、全幅の信頼をもって先生方にお願いした。



産まれてすぐは仰向けだったけど、
1週間くらいでおへその点滴がはずせて
うつ伏せデビューした。
丸まっている方がなんとも赤ちゃんらしくて
「可愛い…」
突然の出産から1週間、やっと
可愛いという感情が追いついた日だった。

さて、1日1日乗り越えて頑張ろうか。




•*¨*•.¸¸☆*・゚

⑤へ つづく


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