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the pillows (2023.12.23) at 札幌 PENNY LANE24 / LOSTMAN GO TO CITY 2023-24

「今夜は、君たちが見たかったthe pillowsを見せつけてやる。」

冒頭3曲を歌い終え、なんの躊躇いもなく、そう軽々と言ってのけ、今夜への期待値を自ら高める。そしてそれを優に超えてみせる。山中さわお(Vo,Gt)はそういう人種、ロックスターである。

2015年以来、8年ぶりのLOSTMAN GO TO CITYツアー。
ここ最近は「RETURN TO THE THIRD MOVEMENT!」という過去のアルバム再現ツアーが続いていたため、久々のなんの縛りのないツアー。

昨年11月、「SAWAO SING ALONE」と題し、札幌のBAR STINGRAYで山中さわおは弾き語り公演を行った。自分もそこにいた。
その場で山中さわおは、「再現ツアーも悪くない。それに今後も続けていくと思う。でも、そろそろ縛りのない、色んな曲をやるツアーをやりたい。でないとFunny Bunnyのような代表曲もやる機会がない。」と言っていたのを鮮明に覚えている。なので、本人からしても、もしかしたら待望だったかもしれない。

前置きが長くなったが、今回は札幌2DAYSの2日目の記録を残していく。

定刻を5分ほど過ぎ、場内が暗転、お馴染みのSEが流れる。
山中を筆頭にメンバーがステージに現れる。そして各々スタンバイを始める。しかし、山中は出てきてモニターに足をかけ、客席を見渡した後もギターを手にする様子がない。

「俺たちがthe pillowsだ。」

そう言って、まさかのそのまま始まった衝撃の1曲目『Tokyo Bambi』。シングル曲ながら、収録されていたアルバム「PIED PIPER」のツアー以降ほぼほぼ日の目を見ることがなかったこの曲が待望の演奏。それも山中のギターレス、1曲目という予想だにしなかった展開。そしてこういう選曲が、以前まで通称マニアックツアーと言われていたこのロストマンツアーの醍醐味をどこか感じる。また、Bメロとサビの間の所で山中がとっていたポーズ(右手親指と人差し指でVの字を作るようなポーズ)を見て、「これでアクスタ作れるんじゃね?」なんていらない妄想をしてしまった。ただ、ピロウズの物販には5年経ってもアクスタが並ぶ光景は想像できない。

そしてハンドマイクに持ち替え、2曲目『Coooming Sooon』。これも、収録アルバム「NOOK IN THE BRAIN」のリリースツアー以来。ライブのオープニング2曲続けて山中がギターを持たないという極めて稀な展開。ずっとピロウズのライブを見てきても少し動揺してしまいそうなこの展開。この日初めてピロウズを見る人には、どう映っているのだろうかと少し気になる。そして曲の途中では、早くも客席最前の柵に足をかけ客席に身体を寄せるようにして歌う山中の姿。これでまだ2曲目なのか…。

『Coooming Sooon』のアウトロでついにギターを肩にかけ、次の『Mr.Droopy』のイントロが鳴り始めれば、そのまま勢いよくモニターに再び足をかけギターを掻き鳴らす。「Mr.Droopy」の軽快なテンポとメロディが聴いてて心地いい。

そしてMCが始まり、noteの冒頭にも書いたあの言葉を放った。そして、

「今夜は聴きたかったあんな曲、スタンダードをちょうどいいバランスで演奏していくよ。」

そして佐藤シンイチロウ(Dr)のカウントから始まった『プロポーズ』。個人的にこの曲、ピロウズのオルタナ節が全開にでている曲だと思う。そして中毒性も強く、気づけば何回もリピートしてしまう。そしてこの曲で何を歌っているのか。正解かどうかは別として、それをネットで見つけたとき、とても感動した。下にリンクを貼っておくので、よければ見てほしい。自分は去年見つけたんだが、知ってる人けっこういるのだろうか。ブログのタイトルが「おそらく僕しかテンションが上がらないブログ」って名前だが、ここに確実にもう一人テンションが上がった人間がいます。


そして次もまたまた久しぶり過ぎる『Flashback Story』
失礼承知で書くが、こういうポジションの曲を聴くのがアルバム再現ツアーだと思っていた。なので、今回のロストマンツアーにこの曲が抜擢されたことに驚きつつ、でも嬉しくもありつつ。確か「TRIAL」のツアーの時、この曲の始まりの所、「Moon is mine」みたいに山中のカウントから始まっていた気がするが、気のせいだろうか…。今回はなかった。

『Come Down』『Sleepy Head』と続き、アウトロでは、山中と真鍋吉明がそれぞれ上手と下手にわかれ、ステージ前方ギリギリの所でギターをプレイ。山中は再び客席最前の柵に足をかけ、客席に突っ込む勢いの姿勢をギターを掻き鳴らす。

演奏後、「どうですか!ちょうどいいバランスでしょ!」とどこか誇らしげな表情で客席に問いかける山中の表情に、見ているこっちも最高でたまらない。そして、MCは会場入りする時のエピソードに。

入り待ちをしてくれてた人の中に今日初めてピロウズを見る人がいて、それをお客さんから言われたときに、山中が「おじさんの底力見せつけるよ」と伝えたという。しかし、その後少し考えたのち、年齢的に「おじいさんかな」となり、「やっぱりおじいさんだわ」と言い加えたところ、他の入り待ちのお客さんに「おじさん!おじさん!」と必死な?フォローをされたというお話。

最後に「おじさん、頑張るよ」と言って次の曲にいったわけだが、先日55歳になったとは到底見えない。うん、恐ろしい。

「じゃあ次もこのツアーで久々に演奏している曲」と紹介され演奏された『She is perfect』。この『Come Down』~『Sleepy Head』~『She is perfect』の流れ、本当に2023年のツアーか疑いたくなるほどの選曲。ロストマンツアーここにあり、である。

続くは『Purple Apple』。この曲、イントロの部分でお決まりの手拍子が起こる(山中も促してる)が、一生やっている全員が合う気がしない…爆。そして間奏では山中と真鍋のギターの掛け合いからツインリードに変わる展開に興奮。余談だが、この曲がアルバム「MOONDUST」のリリースツアーで演奏されたとき、1番サビの後にディープ・パープルの「Smoke On The Water」のリフを挟む一幕もあった。そして間奏が終わり、歌に戻ると思いきや、なんとそのままブレイク。そして「昨日~」と徐に山中が話し始め、まるで「ノンフィクション」のブレイクのような展開に発展。

「昨日、一昨日と連チャンで同じ居酒屋に行って。で、2日も同じ居酒屋に行ったもんだから、店員も「昨日も来た方ですよね」みたいな感じになって。そしてカウンターに座ってたら横にいた客も俺に話しかけたそうで…。
でも、俺話しかけられるの嫌だから、完全にシャットアウトしてたんだ。
そうしたら、俺を挟んで、店員とVの字で会話をし始めて…。

そしてその会話を山中が一人三役で再現していく。(以下、店員の言葉は、お客さんが店員さんに話してきて、それを店員が山中に聞くという、店員がお客の通訳かのようなシチュエーション)

店員:「どこから来たんですか?」

山中:「東京です。でも35年前くらいまではこっちにいました。」

店員:「何で来たんですか?」

山中:「仕事です」

店員:「仕事は何してるんですか?」

山中:「…Tシャツ屋さんです」

ピロウズファンなら理解できるかもしれないが、一応間違っちゃいない。しかし、その回答に会場中が笑いの渦に包まれ、完全にオチをつけたところで曲が再開する。もはややることがバンドマンの域を超えている。

そして現状最新曲の『Have You Ever Seen The Chief』
洋服ブランド「インディアン」の25周年に書き下ろした曲で、一定期間中にインディアンで買い物した人にこの曲がダウンロードできる特典が与えられるという、ある意味貴重な1曲。ちなみに自分は持ってません。

続く『Ladybird girl』は、演奏後のMCでこの曲を今回演奏した経緯が話される。それは、この曲を演奏することを実は暫く封印していたということ。

小学生の頃、山中はサイモン&ガーファンクルやYMO、ゴダイゴといった音楽を聴いていて、自身のことを周りとかみ合わない小学生だったと言っている。そんな当時の小学生の自分が聴いても良い曲、と思って書いたのがこの『Ladybird girl』だった。しかし、それゆえに今の自分たちが演奏するにはかわいすぎるのではと。しかし、先日佐野元春さんのコンサートを見に行ってのこと。自分よりも1周り以上も年上の佐野元春だが、そんなことも関係なく、ただやりたいことをやっていて、そこにとても勇気をもらったこと。だから、「Ladybirdb girl」も良い曲だから、今後もやりつづけるということを丁寧に話してくれたのだった。

『Ladybird girl』からの流れを汲むような選曲が次のブロックでは続いていく。『like a lovesong (back to back)』では、最後のサビ前の「これはキミのうた」の部分を確かに客席に託していたし、続く『My girl』は歌詞を見ると結構情けなさを感じずにはいられん気がするが、それすらも超越するかのようなメロディが、そのエモさで胸を突き刺さしてくる。そして切なさを感じてしまう。『Last Holiday』はリリース当時から時間が経過し、なぜだか、より曲の壮大さをひしひしと感じる。そして赤い照明がステージを照らす中、アウトロの真鍋吉明(Gt)のギターの残響が暫く鳴りやまなかったのがまたエモーショナルそのものだった。

そして最終ブロック前のMCは、メンバー紹介兼一人一言の時間。佐藤が「最高気温はマイナスだが、会場の中は暖かくて、なのでその暖かさで最後まで頑張ります」的なことを言った後に、山中に「何か言ってるようで何も言ってない」とツッコまれていたのがツボだった。

また、毎回思うのが、有江嘉典(Ba)の容姿の変わらなさ。ピロウズのサポート当初から本当に変わる気配を感じない。怖い。しかし、勿論この人がいなければこのツアーも成り立たないし、毎回毎回沢山曲を覚えてこうして演奏してくれることに感謝してもしきれない。再現ツアーもあったわけだし、サポートし始めてからもう100曲は優に超えている気もする…。

「C'mon LITTLE BUSTERS!」

最終ブロック、その山中の掛け声から演奏されるは勿論『LITTLE BUSTERS』、そして「About A Rock'n'Roll Band』、『Stroll and roll』、『Ready Steady Go!』と、ロックンロール色の強い選曲で本編を駆け抜けた。

観客の手拍子に応えすぐにステージにメンバーが戻り、アンコール。

「アンコール、サンキュー。」

そして佐藤シンイチロウ(Dr)あのスタンダードのイントロのドラムを叩き始める。

冒頭のMCで言ってた「スタンダード」、『Funny Bunny』を指さずして何を指す。そんな『Funny Bunny』だってここペニーレーンで鳴らされるのはだいぶ久しい。それもそのはず、この曲がこの会場で演奏されるのも実に2018年5月以来のこと。

キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ
風の強い日を選んで 走ってきた

「Funny Bunny」の持つスタンダードの威力をひしひしと感じるし、歌い終わったあとの、山中の客席に向けた、マイクを通さない「ありがとう」まで含めてこの曲の1番のサビだと思っている。そして間奏終わりには、ワム!の「Last Christmas」の一節を挟んでくるというサプライズも。そして、そのまま本来の間奏後のBメロを飛び越え、最後のサビに突入していった。

そのまま『Primer Beat』で駆け抜けたバンドはステージを後にし、最後山中一人がステージに残り、話を始める。

「今やった「Primer Beat」もなんか今やりたくなってさ。(中略)くたばる前にまた会いに来ないとな。」

「Primer Beat」の最後の歌詞がまるで心境そのままであるかのように、客席に言葉を投げかけ、ステージを後にする。

鳴り響やまない手拍子、SEとして「プロポーズ」が流れる場内。曲の途中でメンバーがステージに戻り、2度目のアンコール。全員両手をあげながらステージへ戻ってくる。その片手には、勿論あのサッポロ黒ラベルの350ml缶。そして、全て演奏し終えたあとの楽屋かのようなトーンで「お疲れ様です」とステージ上で乾杯をし、ビールを喉に流し込んでいく。

そして徐にまた話を始める。

「最初はグーを最初に考えたのは志村けんさん、みたいに自分が最初っていうのが自分にもあって、ちょっとゆっくり聞いてほしいんだけど…。」

と、自分が最初に発明した、もしくはまわりよりも早かったんじゃないかという内容のトークが始まっていく。それにしても「ゆっくり聞いてほしい」とアーティスト側から言われるのもとても新鮮で斬新である。このアンコールの緩いトークもピロウズのライブならではの空気感。堪らない。

山中は、「ギターを弾いているときに、ピックで弾いてても、人差し指の爪が剝がれるから、爪を保護するのにアロンアルファで固めている。それが自分が最初じゃないか」という話。

次第に、「皆さん、そういうのないですか。」とメンバーに話を振っていく。

有江は、「ベースでボトルネック奏法を日本でやったのは自分が初めてではないか」という話。ただ、後にも先にも他に日本でやった人を聞いたことがないということで、最初で最後説が浮上。「そうなると話が変わってくる」と思わず山中にツッコまれる。

真鍋は、「周りと比べてダントツでインターネットを使い始めたのが早かった」という話。当時のことを覚えていた山中が「当時何言ってるかわからなかった。ホームページを作るとか何を言ってるんだと(笑)」と当時を回顧する。また、NTTが行っていた「テレホーダイ」の説明をしようとした真鍋だが、その横で両手を頬にあて照れるジェスチャーをする山中がいて「そっちの意味じゃないですよ」と「照れ放題」と受け取られるのではとツッコミをいれる一幕も。

佐藤は、「チェッカーズがデビューする1年前にあの髪型にしていた」というこの話の流れにオチをつけるかのような内容に会場内が笑いの渦に包まれる。当時、知り合いが原宿で美容室で働いてて練習がてらと言ってつきあったらその髪型になったという。ただ、全然流行ることなく、髪型を戻した矢先、チェッカーズがデビューし、その髪型が流行った、だから俺は早すぎたと主張していた。

「次のツアーその髪型にするか?」と山中にツッコまれていたが、その流れから来年35周年の話に。

「一応何かしらは考えている。けど、そんなに張り切ってない。だって気合をいれるのは40周年だろう?。でも来年もそれなりのところで(ライブを)やる。来年の916は敬老の日。ただし、3連休の3日目で、そうなると俺らみたいな規模だと会場側が会場を貸してくれない。ジャニーズが3日間使うって言ったらそれまで。…もういっその事ペニーレーンでやるか?」というと、場内からは拍手喝采。ただそうなると、チケットが取れる気がしない。「お前ら自分がチケット取れる気でいるだろう(笑)」と完全に心の中を読まれているのも悔しいけど面白い。

「そろそろ曲やるか」という言葉を合図に楽器を手に取るメンバー。そして正真正銘この日最後に鳴らされたのは「Movement」。まだまだ前進していく、その意思表示かのようにも受け取れるこの曲がこの日の最後に演奏されたのも、もしかしたら必然だったのかもしれない。


the pillows
"LOSTMAN GO TO CITY 2023-24"
2023/12/23 札幌 PENNY LANE24
1.Tokyo Bambi
2.Coooming Sooon
3.Mr.Droopy
4.プロポーズ
5.Flashback Story
6.Come Down
7.Sleepy Head
8.She is perfect
9.Purple Apple
10.Have You Ever Seen The Chief
11.Ladybird girl
12.like a lovesong (back to back)
13.My Girl
14.Last Holiday
15.LITTLE BUSTERS
16.About A Rock'n'Roll Band
17.Stroll and roll
18.Ready Steady Go!
Encore
19.Funny Bunny
20.Primer Beat
EncoreⅡ
21.Movement


Tokyo Bambiリリース時のアー写が実はけっこう好きだったりする



昨年の再現ツアーVol.4の福岡公演もnoteに殴り書いてますので参考までに載せておきます。

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