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SHANK/KUZIRA (2024.05.28) at 札幌 KLUB COUNTER ACTION / 20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT


SHANKの周年ツアー、待望の北海道シリーズ。対バンにKUZIRAを招いて札幌、苫小牧、帯広、旭川と4ヶ所を周る日程。北海道シリーズ初日、札幌のハコは「KLUB COUNTER ACTION」。後のMCで庵原将平(Ba, Vo)も話していたが、ここはライブを行っていない日でもBARとして営業している。そして、この移転後のカウンターアクションができてからSHANKは何度か札幌には来ているが、その度に足を運んでいたという。昨年10月にASIAN KUNG-FU GENERATIONのフロントマンである後藤正文が、この移転後のカウンターアクションでイベントを行った際、「お祝いしようって思った時に、企画を打ってやることが何よりのお祝い」と話していたのが印象に残っている。なので、このツアーで札幌でココが選ばれたのは、そういったお祝いを兼ねてかもしれない。実際、SHANKとKUZIRAが札幌でキャパ200のハコで収まるわけもなく、SNSでは当日になってもチケットを求める投稿を目にした。

先陣を切るのは、ゲストのKUZIRA。

定刻、暗転した場内にSEが流れ、KUZIRAのメンバーがステージに登場。1曲目は『Snatch Away』。そして末武竜之介(Gt, Vo)の「札幌こんなもんじゃないだろ!」という言葉から、バンドは『In The Deep』、『Blue』を連続投下。アルバム「Deep Down」の1、2曲目でもあり、この曲間のない繋ぎは何度聴いても痛快だし、ライブでの再現度も凄まじい。そしてどこかSHANKと繋がりを感じずにはいられない。「自由に遊ぼうぜ。」という言葉からプレイされるのは『Throw Your Cell Away』。スマホのようなものがあるおかげで、便利ではあるものの、あらゆる情報に縛られ窮屈になりがちだが、そんな時でもライブでは自らを解放できるのだ、ということを歌詞にしているこの曲がライブで演奏されることの意味たるや。

「SHANKに呼んでもらえたよ!!」と両手を上げて喜ぶように話す末武の表情は、もはやただの無邪気な少年のようだが、それが最高なんだ。そして、「『4 Tha Godz』、『Eyez Closed』リリースおめでとうございます!」と、先日サブスクに同名別アーティストの作品が誤って表示されたことに触れ、すかさず熊野和也(Ba, Vo)に違うとツッコまれる一幕も。熊野が「『神に』なんて曲無いし。」とボソッと呟いていたのに少しツボに入ってしまった。

「移転前も移転後もやべー噂は常々聞いております。」と末武。KUZIRAも楽しみにしていたという、このカウンターアクションというハコの存在感たるや。

そして前日に札幌入りし、一人ですすきのの夜の街に行ったという末武。

「そういうお店に行ったら、あたしンちのお母さんみたいな人が出てきて。でも(俺が)紳士なんで、そのまま最後まで終えたんですが、その時言いたくて仕方なかった言葉を次の曲で。『Change』!」

もはや曲に行くまでの振り方までもSHANKのような雰囲気を感じる。Xを見ていて(いまだにTwitterと言ってしまうが)、フォローしている人が下のブログを貼って投稿をしていて、そのブログの中身があまりにもSHANK愛に包まれていたので、ここにも載せておきたい。

コピーをしていたバンドと数年後に一緒にツアーを周るなんてことが実現するあたり、音楽の可能性っていうのは計り知れないものがあるなあと感じる。それを等身大の姿で見せてくれるのがKUZIRAの魅力の一つなのかもしれない。

続く『Clown』では、フロアのあらゆる所でスカのリズムを踏む光景が広がり、バンドは続けて『New Style』をプレイ。

(末武)「俺たち2月に新曲を出しました。その時のリリースツアーでは札幌来れなかったので、1曲演っていいですか。」

という言葉から演奏されたのは、『Wasted Time』。「今日もまた無駄な1日を過ごしてしまった、そんな人に送ります。」と言っていたが、ゆったりした入りから一転、途中から一気に加速し、そのまま最後まで突き抜ける曲の展開が目まぐるしくも心地いい。続けて『Pacific』をプレイ、次第にKUZIRAの持ち時間の終わりが近づいてくる。

(末武)「5年前、地元岐阜県の柳ケ瀬antsっていうハコにSHANKが来て。対バンのスサシ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)のユーキさんが怪我をして出られないって聞いて、不謹慎だけど、チャンスだと思って機材持ってハコの前でSHANKを待った。で、SHANKにお願いしたら『俺らここで断ったらただの悪い人じゃん(笑)」と言って、出演させてくれて、初めてツーマンをやらせてもらった。それからこうして5年経って一緒に北海道周れて本当に嬉しいです。」

先程、熊野のブログのリンクを載せたが、本当に"Punk Rock Dream"の一片のようで見ている側すら感慨深く思う。

(末武)「また札幌来れるように頑張ります。考えたら俺ら自分たちのツアーで全然来てないもんね。」

次のツアーでは北海道が日程に入ってることを願いつつ、最終ブロックは『Backward』からスタート。「ありがとうございました、ラスト!」という言葉から『Spin』を投下し、終わり……と思ったら、ステージ上でメンバー顔を見合わせ、まさかの正真正銘のラスト『Muggy』。そして演奏を終え、SHANKにバトンを繋いだ。

そして、SHANKのセッティング中、次第にステージにメンバーが順々に現れ、自ら確認をする。その中で松崎兵太(Gt, Cho)がしれっと「Silent Vibes」のイントロを弾いていたけど、とてもじゃないけどしれっと弾かないでくれ。心拍数爆上がり案件。個人的にアルバム「Calling」から当時SHANKを聴き始めた自分としては、この曲のイントロに過剰に反応せざるを得ない。他にも「Judy」とかもふらっと弾いていたみたいだが、どちらもそろそろバンドでやってくれて……やってくれて……良いですからね?……

サウンドチェックの最後の方では、メンバー3人ともがステージ上におり、庵原将平の「もうこのまま始めようか。SEいらんね。」という言葉から本編に突入。…かと思えば、いつもSEで流れてくるあのMad Caddiesの「Backyard」を即興で生演奏し始める。恐らくきっかけを作ったのは松崎のギターであろうが、そこに庵原と早川尚希(Dr)の音も加わり、演奏が続けられていくも、歌い始めあたりの部分で「もう曲演っていいっすか」と庵原。

(庵原)「長崎SHANKです。最後まで楽しんでってください。『Time is…』!」

1曲目から『Time is…』を投下してくるバンドに、歓声があがらないわけがない。実際、1曲目に『Time is…』が選ばれるセットリストを最近見たことがあっただろうか。続く『Weather is Beautiful』でも勿論と言わんばかりに歓声が上がり、『620』と冒頭3曲を演奏しただけで完全にフロアを掌握したと言っても過言ではない。

最初のMCでは、北海道に来るのが1か月ぶり(4月のROTTENGRAFFTYのツアー北海道編の帯同)であること、またこの日出演が発表された、ライジングサンへ出ること、そして10月にはツアーのファイナルシリーズでまた来る、というまるで北海道贔屓にも見えるスケジュールに対し、「絶対愛人おるだろ!」といつかの某バンドの某フロントマンを彷彿とさせるツッコミを庵原自らいれていく。

次のブロック、『Surface』からの『Mighty Clash』は、2017年リリースのアルバム「Honesty」の1~2曲目の流れだ。『Mighty Clash』に関しては、演奏されるのが当時のリリースツアー以来実に6年半ぶりということで、待望と思っていた人も少なくないと思う。無論、自分もその一人。

バンドは続けて『Take Me Back』を投下。最後のブレイクの部分では、松崎のギターサウンドのエフェクトに対して、「いらんいらん、そんなん、どこで覚えたんそんなFatboy Slimみたいなん(笑)」と庵原がツッコミを入れるも、「まあ、自分たちのツアーなんで好きにやらせてくださいよ。」と曲を締めくくり、曲間なく『Good Night Darling』に雪崩れ込むのは、もはやSHANKが織りなす芸術。

(庵原)「今年からSHANKをやってくれてる尚希です。彼のおかげでSHANK20周年活動できてます。ありがとうございます。」

と新たに加わった早川を紹介する。そして、改めて言われて思い出すのが、今回のツアーがタイトル上では20周年を記念した周年ツアーであること。しかし、そこに対する言及はライブ中では一切なく、いつものライブと同じ空気感で進んでいくのも、またSHANKらしさだと思う。

「次は尚希が入ってからできた新曲を演ります。だいたい新曲を演る時は、盛り下がる傾向にあるんですが、……見たところ皆さん大人なので、大人な対応をしてください。」と新たな煽り?のような言葉を述べ『Midnight Glow』をプレイ。この日は、全体的に赤や緑、オレンジといった色の照明が主だったが、この曲の時は青と白の照明がステージを照らしており、この日演奏した曲の中でもその雰囲気は唯一だったと思う。続く『#8』を演奏後、早川が『Karma』のリズムをたたき出し、庵原が「こんなんどう?」と曲の世界へ誘う。アルバム「STEADY」の中でも、曲の系統が独特であろうこの曲がこうしてリリース以降も演奏され続けることがとても嬉しい。

「KUZIRAありがとう。1週間くらい一緒にいるので嫌われないように頑張ります。」と庵原は言うも、それも愛情表現の裏返しであろう。「あいつら頼んでもいないのにセットリスト作ってきました!って言ってきて。そうだなあ…じゃあ最後の旭川くらいはセットリストはKUZIRAが考えます。」と突如とんでもない発言をしだす。この一言にフロアが反応しないわけがない。どの曲をチョイスするのかも気になるが、KUZIRAの面々がどんなセットリストを組み上げるのか気になって仕方がない。しかも、「KUZIRAのライブにゲストで出るSHANKのセットリスト」ではなく、「ゲストで呼ばれたSHANKのツアーのSHANKのセットリスト」ってのがまたヤバい。

(庵原)「一曲熊ちゃんが弾いてくれます。」

と、ステージ袖からKUZIRAのベース熊野が登場、庵原からベースを授かる。

「お前らとツアー回ると楽できていいわあ笑。」と言えば、「じゃあちょっとSiMのMAHくんみたいな感じでやってみましょうか。」と、全く似せる気のないWODを促す仕草や表情で取りにいってもない笑いでフロアを盛り上げる庵原。

そして緊張気味の熊野に対し、「大丈夫、失敗したらやり直せるから。やり直せるよ!」と、もはやフォローしているのか、先輩の悪戯な一言なのか(最後にしれっと「間違えろ(笑)」と言っていた)。

(庵原)「ではいってみましょう、『Life is...』!」

という曲振りから曲が始まるも、歌い出し直前のギターとベースの部分では松崎もギターを弾かず、熊野のベースがフューチャーされるという、完全にある意味大人なSHANKの対応。そして、1番サビ終わりのギターソロの部分も前半半分は弾かず、熊野のベースがとにかく目立つ一幕も。

そんな緩い(?)雰囲気も一変、「皆さんご自愛くださいという曲です」という紹介から始まった『Set the fire』では、待ってたと言わんばかりにリフトの発生とシンガロング。そして、間髪いれずに庵原が歌い始めたのは『Candy Cruise』。原曲よりもキーが下がっているこのバージョンは初めて聴いたかもしれない、多分。

次のMCでは、同日出演されたライジングの話に。2019年に本当は出演予定だったSHANK。しかし、悪天候が原因で出演予定の1日目が中止となり、出演が幻になったエピソードを話し始める。

(松崎)「俺たち前乗りしてて、初めてのライジングだしと思って気合い入れに風俗の店に行ったわけですよ。で、待合室で待ってる時に携帯が鳴って中止だと。そのお姉さんに『仕事ですか?』って聞かれて、『観光です』しか言えんかった。」

(庵原)「今年は『仕事です』って言えるように頑張ります。じゃあそういう曲を。」

と、絶対そういう曲ではないであろう、しかし直後に「毎日が人生最後の日だと思って生きろ、という曲です。」と述べて演奏された『Departure』。そして、『Two sweet coffees a day』が続くこの2曲の流れは、SNS上でも「ディパコ」などと言われており、もはやSHANKの「一般知識」に到達しているレベル。実際、『Departure』の終わりから『Two sweet coffees a day』がくるか、こないかとソワソワする。勿論、結果はどっちでもOKだが。ちなみにこの日の『Departure』のギターソロめちゃくちゃ痺れた。

「もう仕事なんかしたくない。家に帰ってオナニーして寝よう。そんな曲です。」

という振りから始まった『Frustration』。そんな曲振りをするものだから、黄色の照明からバナナを想像し、アレを頭に思い浮ばせてしまった自分の頭は中学生レベルかもしれない。けど、この曲を聴くときはそれくらい頭の中が空っぽの状態が楽しい……なんて思っていたら次が『My Special Reason』で完全に不意打ちをされ、頭の切り替えが追いつかないのはただの自業自得。

(庵原)「兵太ちょっとなんか歌ってよ。」

と、突然の松崎への無茶振りをするのだが、来るのを予想していたのかというくらいには滑らかに「北の国から」を弾きながら歌い始める松崎。そして、何故か途中から庵原も歌に加わり、気づけば歌っているのも庵原だけ、という最初の無茶振りはどこに行った、という状況に。更に、自分の歌い方が松山千春っぽいってことで、立て続けに「大空と大地の中で」を歌い始める。またその歌い始めが庵原と松崎の息がぴったりだったと思う。
そして、自分から歌い始めた挙句、「恥ずかしい」と歌うのを辞め、「千春バンザイ」と言って終わらせる自由すぎる雰囲気もまた、SHANKのライブだなと思ったりもする。

『Wall Ride』、『Knockin' on the door』、『Hope』と3曲を立て続けにプレイし、最終ブロックの前では、客席からの「尚希髪切った?」の声から、早川が表参道の美容室で髪を切った話になり、それに対しての庵原の「ロン毛がロン毛のまま帰ってきた」というツッコミが個人的にめちゃくちゃツボに入った。あと、「毛先遊ばせてるんじゃないよ!」はもはや思春期の親のソレ。

「次はライジングでお会いできるのを楽しみにしてます。そしてまた10月にZeppに帰ってきます。」また北海道に戻ることを確かに約束し、冒頭でピースサインを掲げた『Wake Up Call』から最終ブロックは幕を開ける。『Steady』、そして本編最後は『Extreme』。原曲よりもキーが下がり、しかし原曲以上に哀愁漂う中で、加速し、一気に突き抜けてそのまま曲が終わるのが切ないけど良くもあり、それもライブで演奏されるこの曲の持ち味なのかもしれない。

暫くし、メンバーがステージに戻りアンコール。

1曲目は『Cigar Store』。まるで今からSHANKのライブ本編が始まるのか、そう思わせるくらいの曲の威力とそれに反応するフロアの爆発力。途中、フロア前方でトラブルではないが、カバンの紐が絡まるような事態があり、一旦演奏が中断。中断したことで、曲を変えようかとするバンドに、『Cigar Store』アゲインを熱望するフロアの一体感。松崎が『初めてやるような感じで聴いて」と言えば、まるでやり直しとは思えないフロアの熱量も凄まじい。そのまま、『BASIC』、『submarine』と畳みかけ、北海道シリーズ初日、札幌公演は終了。

SHANK
20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT
2024.05.28 札幌 KLUB COUNTER ACTION
Guest : KUZIRA

《KUZIRA》
1.Snatch Away
2.In The Deep
3.Blue
4.Throw Your Cell Away

5.Change
6.Clown
7.New Style

8.Wasted Time
9.Pacific

10.Backward
11.Spin
12.Muggy
.

《SHANK》
1.Time is...
2.Weather is Beautiful
3.620

4.Surface
5.Mighty Clash
6.Take Me Back
7.Good Night Darling

8.Midnight Glow
9.#8
10.Karma

11.Life is... (BASS : KUMANO from KUZIRA)
12.Set the fire
13.Candy Cruise

14.Departure
15.Two sweet coffees a day
16.Frustration
17.My Special Reason

18.Wall Ride
19.Knckin' on the door
20.Hope

21.Wake Up Call
22.Steady
23.Extreme

Encore
24.Cigar Store
25.BASIC
26.submarine

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