馬鹿の花の咲く頃          ~東京都知事VSマンション美化委員~

小池百合子女史との愛と哀楽と蜜月の日々。

そんなもんあるわけねえ、とお思いの皆様。
実は自分と現在の小池東京都知事とは切っても切れぬ過去があるのである。
当時、小池百合子女史は夜の某番組のキャスター様をされていた。

片やワタナベはというと、その日は報道の一兵卒の泊まり勤務であった。
泊まり勤務とは夕方のニュースが終わり、そのスタッフと入れ替えで、夜のニュースを書き、映像を手配し、そしてまた朝のニュースの対応もする。何より報道であるから、24時間体制な訳でちょっとした緊張感も漏れなくついてくる。
当時、原稿は手書きで、現在のようにシステム化されていなかった。
自分は自分の担当のニュースを書き上げると、編集マンと一緒にニュースの映像編集に取り掛かる。
そして夜の番組のオンエアがされている時には、既に次なる早朝のニュースの原稿を書き飛ばしている真っ最中である。
早朝ニュースの原稿を書きながら、自分の原稿を小池女史が読んでいる音声を聞いている。しかしそれは「お?えっ!○×▼☽★課lsjtうぃえtかj」と小池女史らしからぬ、何を言っているか分からない状況。
放送事故じゃね?と他人を装うワタナベであったが、放送終了後、小池女史は「この原稿書いたの誰!?」とワタナベを褒める勢い。
いやまあ、国文科出身のワタナベは「いやあ、原稿がうますぎてすいません」的な気分で「自分であります」と手を挙げた。
小池女史はワタナベのそばに来ると「あなた、これ読んでみて!」と恍惚の眼差しでオレを見つめる。
ワタナベは小池女史のリクエストに応じて、格調高き我が原稿を読み上げる。「アポ愛gあえrg8rq238?」
なんじゃこりゃ?
まあ書いた自分も読めないのであったが、そこは「カイロ大を卒業」という小池女史、アラビア語が出来るのであれば「qwt5q923gzふぁ:l2-」くらいは読めて当然だとワタナベはたかを括っていた。少々の悪筆など坂口安吾付きレベルの編集者は耐えなければならないのである。
そんな高名な悪筆たちの列に自分の名が刻まれることを「まあ、よきにはからえ」と泰然自若とするワタナベ。一方彼女はヒステリックに叫んだ。「書いた本人が読めない原稿を、なんで私が読めるのよっ!」
そうワタナベという大作家を罵倒するのであった。
とは言え、自分でも読めない原稿はプレバトのようにシュレッダーにかけて、今後のワタナベの汚点にならないように始末された。

さもありなん。

そして今、小池百合子女史は東京都知事として、私はと言えば、東京の片隅のマンションの美化委員として、相変わらず辣腕を振るい、互いにしのぎを削り合っているのであった。

お互いの存在を意識しながらも、まだまだ長い闘いは続いて行くのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?