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偏桃体を知ることが感情コントロールの第一歩という話

上司に怒鳴られたり、大勢の前で恥をかかされたりした後に、思ってもない行動をとってしまったり、変な強がりをして失言をしてしまったりという経験はないでしょうか?

それは決してその人の能力が低いからその行動を起こしているのではなく、脳の機能として備わっているため仕方ないといえます。
しかし、一歩社会に出れば脳科学など基礎知識として備えている人間などまぁいません、そのため、叱られた後に同じミスを繰り返そうもんなら「なんでさっき言ったばかりなのにまた同じミスをするんだ!」と再度叱られるでしょう。
ワイのにわか脳科学の観点から言わせてもらえば、「さっき怒られたばかりだから同じミスをする」のである。
普段信号無視なんてしない人が、急いでいるときにたった1回赤信号を無視しただけでも、それを見た人からは「あの人は信号無視をする人」と思われます。
同様に、自分が思ってもないようなミスや失言をたった数度してしまえば「能力のない人」「会話のできない人」「挙動がおかしい人」と言われてしまいます。

社会に限った話をすれば、新入社員がその人らしさや能力を発揮できるのは、その職場に「心の置き所」を見つけてからで、それまでは教わったこと1つ1つを頭で理解していても、行動に移すことは難しいでしょう。

初めて雪山でスキーを教わった人が、基礎を1つ1つ身に着けているのに、なかなか滑りが上達せず困っていたが、ある時、インストラクターに背中を押されて滑るしかなくなったその瞬間、それまで教わった基礎が”全体性”を得て発揮され滑れるようになることがよくあるそうです。
これが「心の置き所」を得た状態だと思っています。

要は身に着けた個別の技術は「技の使い方」ではなく「心の置き所」を知ることによって発揮されるということです。

この心の置き所をなるべく早く発見するために必要だとワイが思うのが
「偏桃体」についての知識です。

なるべく簡潔にまとめていきます。

1,偏桃体とは


偏桃体とは脳内にある15ミリくらいのアーモンド状の器官です。イメージつきやすいように画像張っておきます。

こいつは簡単にいうと、ネガティブな感情に反応する機能を持っています。
そして、それが身に危険を及ぼすと感じたら、「逃げろ!」もしくは「闘え!」と脳に指令を送るのです(これをよく「逃走か闘争か」と言ったりします)
偏桃体について知ることが感情コントロールの第一歩といえます。
それはなぜか、主に2点あげると

・偏桃体は感情や記憶に深くかかわるから
・心理的危険状態ではそもそも脳が機能しないから

です。

以下にまとめます。

2,人間が長期保存する記憶

人が長期にわたって覚えていられる情報にはある条件があります。
それは「繰り返し使用する」か「強い感情を伴うこと」です。
「繰り返し使用する」については脳が重要な情報だと判断するからですが、「強い感情を伴う」ことに関していえば「命にかかわる可能性のある情報」だからです。今後同じようなことがあったときに対処できるように記憶するといわれています。

3,脳機能の優先順位


上司に怒られたことを想定しましょう、肝が据わったベテランであれば怒られている内容のみに注力して聴けるかもしれませんが、新入社員ではそうはいきません。
「怒られている」ということが「ネガティブな感情」と強く認識され偏桃体は活性化し、脳に「逃げろ!」「闘え!」と指令を送ります(以下「逃走か闘争か」とする)
こうなると身体は思考することができなくなってしまいます。

わかりやすく一文でまとめると、「脳は逃走か闘争かの状態に陥ったら、思考することができなくなるのです」

なぜか、これを説明するのにも脳の機能を説明しなければなりません。
まず皆さん経験があるかと思いますが、黒板に向かって勉強していたはずが、睡魔に襲われて眠くなったことがあると思います。
これは脳が「勉強より睡眠を優先しようとしている」といえます。
つまり、「脳は体にとって必要だと認識した行動を優先する」のです。
何を基準に脳は優先するのか、これは理由は明らかになっていませんが「古くからある脳の下部の機能がから優先される」ということがわかっています。
脳は下から「延髄」「大脳基底核・中脳」「間脳」「大脳辺緑系」「大脳新皮質」と構成されています。

「延髄」は「呼吸・心拍・体温」など生命維持にかかわる機能
「大脳基底核・中脳」は「食欲・睡眠」などの欲求
「間脳」は「自律神経系」つまりホルモン関係
「大脳辺縁系」は「記憶定着系の学習」
「大脳新皮質」は「高次機能系」(情報処理系)→クリエイティブな作業など

に深くかかわっています。
つまり、学習よりも睡眠を優先するのは脳の機能として至極当然のことなのです。

4、まともな会話や仕事は無理

では、上司に怒られた時はどうなるか、怒られて偏桃体が活性化し「逃走か闘争か」の状態になると、呼吸が乱れ、心拍数が上がり、脳が燃えるような感覚を覚えると思います。
これは延髄が担当する機能ですね。つまり最も優先される機能となります。
大昔であれば、その状態で対峙するべきは大きな獣だったかもしれません。やるかやられるかもしくは逃げなければ死んでしまいます。
だから最優先されて当然といえます。

しかし現代ではその相手は上司であり、求められているのは「仕事でミスをしないこと」だったりします。
仕事って頭で考えて、いろんな人とやり取りを交わして行われますよね。
要は「情報処理」の部類に入ります。

さきほど脳は下部の機能から優先されると説明しました。
「情報処理」は脳の中でもっとも後回しになる機能ですから、最優先される「延髄」が関わる機能に太刀打ちできるはずがありません。
身体は全力で「逃走か闘争か」の状態になっているのに情報処理をしようとしているのです。
そんな状態でとんでもない失言をしたり、同じミスを繰り返してしまうのはその人の能力が低いからでしょうか?
現実は悲しく、社会に出ればそれらはすべて自己責任、その人の能力と判断されますが、これを見てくれているあなただけでもその人の理解者になってあげられれば、本当のその人と対峙できよい出会いが生まれるかもしれません。

身体が全力で逃げるか闘うかを強いてるときに仕事をしろだなんて、まるで命の恩人に心から頭を下げたいと思っている中、下半身を露出しようとするくらい真逆のことをしています。

そうです、偏桃体が活性化しているときにまともな会話や仕事はできないのです。
もちろん慣れている作業は「小脳」が代わりにやってくれますから、その状態でも普段からやっている仕事はできますし、友人との会話もある程度はできるでしょう。また車の運転なんかもできると思います。

5,偏桃体の活性化を弱める方法

では、「偏桃体を活性化させないためにするにはどうすればいいの!?」
という声が聞こえてきます。

残念ながらそれは不可能です。

しかし、この偏桃体が活性化した時に、それを弱める方法はあります。
それは「感情を声に出す」ことです。

感情を言語化することで、脳の前頭葉が活性化され、偏桃体の活動は弱まります。
たったこれだけのことですがワイも実際に「あー、あのくぞジジイこっちが下手に出るしかないからって高圧的な態度とりやがって、まじきめー、〇ね!」といったところ、それを聞かれてしまい二次被害を生みました。
というのは冗談で本当にある程度は落ち着きます。

脳の機能について知ったからと言って、その機能をコントロールすることはできないですが、対策を打つことはできます。
おなかがすいたときに目の前にあるチョコレートを食べたくなるのは防げませんが、それが手の届かない場所にあれば食べたくなくなると知っていれば、そのチョコをぶん投げることだってできるでしょう。

6,まとめ

・偏桃体が活性化すると「心理的危険状態→逃走か闘争か」の状態になり、情報処理は後回しにされる。

・怒られて、追い詰められたときに、「何も考えられない状態」かつ「それでも行動しないといけないとき」に思ってもないミスを起こす。

・チョコレートは投げてはいけない

・「逃走か闘争か」の状態になったときは、感情を声に出すことで多少偏桃体の活動を抑えることができる。

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以上偏桃体についてのお話でした。
意外と知っている人は少ないのではないでしょうか?
ワイは弁論術を学び、突っかかってきたあんちゃんにそれを発揮しようとした際に、全く思ったような言葉が出なかったけいけんがあり、そこからこの偏桃体に行きつきました。
他にも到底専門家の足元にも及ばない程度の知識はたくさんあるのでまた時間をつくって書こうと思います。

おわり(誤字脱字あったらすいません)






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