答案講評例⑲:平成30年 特許・実用新案

 平成30年の特実・問Iの答案について、偏差値では54点だと考えます。

 問1(1)はOKです。
 問1(2)において、出願公開の請求に際し、外国語書面出願で必要な翻訳文は、「明細書等の翻訳文」ではなく、「外国語書面」の翻訳文です。提出する翻訳文について、国際出願と外国語書面出願とは書き分けが必要ですから注意をしてください。
 また、根拠条文は「64条の2第2項3号」ではなく「64条の2第1項3号」です。
 問1(3)において、分割出願Cが29条の2の「他の特許出願」として先願の地位を有さないことの根拠条文は「44条2項ただし書」です。「29条の2に規定する他の特許出願に該当するため、この場合、A時にしたものとみなされず、29条の2の地位を有さない。」という理由付けの意味が通らないように思えます。
 問2について、「職務」に該当するかのあてはめは、「上司の命を受けて勤務時間中に共同で研究を行ってイを完成させた」⇒「職務」に該当、とするのは、飛躍があるように感じます。職務の定義は、「従業者等が、使用者等の要求に応じて、業務の一部の遂行を担当する責務」ですから、「上司の命」=「使用者等の要求である」という前提が必要です。ただし、問題文には、「設問に示されていない事実をあえて仮定して論じる必要はない。」とあるため、要件検討は深く書かないほうが得策です。
 また、原始使用者帰属については、根拠条文として35条3項に加え、35条2項も挙げたほうがよいです。それ以外の記載はOKです。
 なお、最後の「以上」は、行が余っている場合は、改行して右詰めで書くのが自然です(4ページ目の1行目であっても)。


 平成30年の特実・問IIの答案について、52前後だと考えます。

 問(1)について、「思想上の利用」についての言及は加点です。ただ、72条で制限されるのは、「業として」の実施に限定されますが、「業として」が抜けています。

 問(2)について、製造は「生産」であることをできればあてはめたほうがよいです。また、(ハ)が侵害である理由として、「平成29年11月30日」までが、「Pの存続期間満了前」であることに言及する必要があります。さらに(ニ)について、存続期間満了によってP消滅⇒非侵害、という理由付けを明示したほうがよいです。

 問(3)において、(ホ)についての解答はOKです。一方で、(ヘ)の根拠条文は「33条3項」ではなく「73条3項」であり、この点は積極ミスです。

 問(4)の解答はOKです。

 問(2)で、理由付けが上手く書けていないので、得点ができていませんでした。
 具体的な「日付」に言及するならば、「その日付が条文上何を意味するか」に言及する必要があります。

宗教法人としての法人格は有していませんが、お布施・お賽銭・玉串料・初穂料、いかなる名義や名目をもってするかを問わず、すべての浄財は24時間受け付けています(笑)