【音楽雑記】#30 都会の夜を感じたドナルド・フェイゲンとジョー・ジャクソン (1983年②)
1983年ごろ、ミュージックビデオが流れる番組の多くは深夜の番組だったので、だいたい家族が寝静まった居間で一人、テレビを見ていた。
ビリー・ジョエルやカルチャークラブなど当時のヒット曲が流れる中、時々みかける都会的で夜を感じる、おしゃれで心地いいサウンドが耳に残った。
特に夜中に聴くとトリップ感覚に襲われそうになった曲が、ほぼ同時期にシングルリリースされたドナルド・フェイゲンの「ニュー・フロンティア」とジョー・ジャクソンの「ステッピン・アウト」。
どちらもシーケンサーを使った無機質で一定なリズムパターンに乗ってジャズを感じるコードが展開する曲だ。
ドナルド・フェイゲンの「ニュー・フロンティア」
「ニュー・フロンティア」は1982年リリースの名盤「ナイトフライ」からのシングルカットだ。もちろん「ニュー・フロンティア」以外の曲も名曲ばかり。
「ニュー・フロンティア」のミュージックビデオはリマスターされたきれいな映像でみることができる。アーティステックな映像やアニメーションにこの曲調。夜中にみていると夢の中に吸い込まれそうになった。
ドナルド・フェイゲン(およびスティーリー・ダン)を聴くと、サザンの1989年の曲「女神達への情歌(報道されないY型の彼方へ)」を思い出す。この曲はダウンタウン、ウッチャンナンチャン、清水ミチコ、野沢直子が出演していた伝説の深夜番組『夢で逢えたら』の主題歌だった。お茶の間に最も浸透したスティーリー・ダン的な曲かもしれない。
ジョー・ジャクソンの「ステッピン・アウト」
「ステッピン・アウト」はジョー・ジャクソンの同じく1982年のアルバム『ナイト・アンド・デイ』からのシングルとしてヒットした曲。
シーケンサーのドラム、ベースにのって印象的なエレキピアノの旋律が美しい。都会のおしゃれな夜を感じさせる曲だった。
こちらのベースラインも、米米クラブの1990年のシングル曲「浪漫飛行」を思い出す。「浪漫飛行」があのベースラインでなかったら全くノリの違う曲になっていたと思う。
ちなみに編曲の中崎英也さんは、この曲で日本ゴールドディスク大賞でアレンジャー賞を受賞しているようだ。
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