【海外記】チキンライスとコワモテ店主
2月12日 午前10時 シンガポールにて
ホテルから歩いて5分。
やってきたのはマックスウェルフードセンター。
この時、どうしてもシンガポールらしいものが食べたかった。
というのも、僕がシンガポールに着いたのがこの一日前なのだが、どうやら中国の旧正月と重なってしまっていたようなのだ。
どこもかしこも大混雑で、チャイナタウンに関してはそもそもお店がオープンしていないか、満席のところばかり。
せっかくホテルもチャイナタウンの近くにしたのに大誤算…。
昨夜はやむなくラーメン屋さんに入ったのだが、なぜか麺がそうめんでとてもじゃないけど美味しくはなかった。
そう、つまり、食事へのストレスがだいぶ溜まっていたということで、「今日は朝からシンガポールらしいものを食べてやる!」と強く意気込んでいたのでした。
この時僕は知らなかったが、どうやらこのマックスウェルフードセンターはかなり人気らしい。
そのためか、朝から割と賑わっていた。
なかでも行列をつくる二店舗があり、そのうちの1つに並ぶことにした。
お店の名前は、天天海南鶏飯。
なんて読むのかはわからない。けど、とても人気なお店らしい。
すでに20人ほどの行列ができていたので、僕も並んでみることに。
どうやら1人の店主がお店のすべてを仕切っているようだ。
店主は元NBAプレーヤーのヤオ・ミンを彷彿とさせるようなガタイの大きさ。黒いマスクをしていてコワモテの印象だ。
「オーダァー!」
店主の野太い声を合図に次々とお客さんが注文をしていく。
僕の後ろには日本人の男5人組が並んだ。会話の内容からして社会人なのだろう。
そのうちの1人が「やべー!USJのチケット忘れたわ!」と言い、ホテルに戻っていく。
「オーダァー!」
列は一向に進まない。店主も行列に慣れっこなのか、急ぐ気配もなく注文と料理の提供を進めている。
「オーダァー!」
10分くらいしたら2人目の従業員が登場。60歳近くのおじいちゃんだ。
後ろの日本人たちはヤオ・ミンとおじいちゃんのどっちが店主でどっちがアルバイトなのかを議論していた。なかなかに面白かった。
「オーダァー!」
ようやくメニューが見える位置まで来た。
小さなボードに6つくらいの料理が書かれていて中央ら辺に「chicken rice」、一番下には「add rice」とあった。
「add rice」とはご飯大盛りということだろうか。
お腹も空いているしチキンライス大盛り1つにしよう。
「オーダァー!」
ついに自分の番が来た!
「チキンライス アンド アッドライス プリーズ」
極めてシンプルな英文で注文。
すると「ミディアム?ラージ?」という質問が。
おいおいヤオ・ミンよ、そんな質問があるの聞いてないぜ…。
動揺を必死に隠して「ミディアム」とクールに返答。
店主はこくんと1つ頷き「トゥウェンティー」と一言。
「高くね?」というレイコンマ1秒の思考を払いのけ、スマートに2枚のお札を差し出す。
注文完了。
あとは大盛りのチキンライスを待つだけだ!
無事、チキンライス到着。
「な、なぜチキンライスが2個あるんだ…!?!?」
これだから、海外旅行は難しい。
これだから、海外旅行はおもしろい。
いつ、どの発言でチキンライスが2つということになったんだ?
アッドライス?、ミディアム?、それとも最初のハロー?
考えれば考えるほどわからない。
まあ、いっぱい食べられるということで。
味はもちろん、めちゃくちゃ美味しかった。ピリ辛ソースとチキンの相性も抜群でライスをほおばる勢いが止まらなかったぜ。
気づけば2皿とも完食。
さて、次はどこに行こうか。
ヤン・ミンもとい、コワモテ店主の声を背にフードセンターを後にした。
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