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明細書Lintの請求項チェック機能

1.はじめに

ここでは、明細書Lintの請求項チェック機能について説明し、その性能について評価します。なお、明細書Lint とは、当職が作成したWordアドインであり、以下からダウンロード可能です。

https://github.com/k-ayaki/AppLint_Setup/releases

2.請求項チェック機能とは

 明細書Lintの請求項チェック機能には、前記チェック・引用チェック・マルチマルチクレームチェック・プリアンプルのチェックの機能があります。明細書Lintは、ルールベースで以下のチェックを行います。生成AIなどは特に組み込んでいません。

2.1.前記チェック

前記チェック(先行詞チェック)とは、前記が付されている名詞でありながら、前記されていないものを警告する機能のことをいいます。これは、米国特許審査便覧(MPEP) の2173.05(e) で規定されています。

2173.05(e) 先行件根拠の欠如 [R-08.2017]
意味が不明瞭な単語やフレーズが含まれている場合、クレームは不明確になります。 Packard に関しては、751 F.3d 1307、1314、110 USPQ2d 1785、1789 (Fed. Cir. 2014)。明確性の欠如は、クレームが「前記レバー」または「レバー」に言及している場合、クレームにレバーに関する以前の記載または限定が含まれていない場合、および限定がどの要素に言及しているかが不明確な場合に発生する可能性があります。同様に、2 つの異なるレバーが請求項の前半で記載されている場合、同じまたは後続の請求項での「前記レバー」の記載は、2 つのレバーのどちらが意図されているかが不明瞭な場合には不明確になります。 「前記アルミニウムレバー」に言及しているが、クレームの前半で「レバー」のみを記載しているクレームは、言及されているレバーが不明確であるため、不明確である。(日本語の仮訳)

https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/s2173.html

日本の特許審査基準には、先行詞については何ら規定されていません。しかし、請求項にて、前記が付されている名詞でありながら、前記されていないものがあると、明確性(特許法第36条第6項第2号)で拒絶されます。
 また、複数の先行詞があり、後続の請求項での「前記(要素名)」の記載がどちらを指すか不明瞭であり、よって発明が不明確になる場合にも明確性(特許法第36条第6項第2号)で拒絶される場合があります。

2.2.請求項の引用チェック

請求項の引用チェックとは、特許法施行規則第24条の4関係の様式29の2のうち引用のルールに違反しているか否かをチェックするものです。以下に、様式29の2の引用のルールを引用します。

様式29の2

 頻出する引用のエラーは、請求項が択一的に引用されていないというもので、例えば「…請求項1から3に記載の…」と記載しているものです。これは「…請求項1から3のうち何れか1稿に記載の…」と修正しなければいけません。

 また、請求項が自身を含んで引用しているときや、自身よりも後の請求項を引用しているときも引用のエラーとなります。

 「他の2つの請求項の記載を引用するときは・・・・同一の技術的限定を付して引用する。」と記載されていますが、例えば、異なるカテゴリの請求項を引用した結果、請求項が不明確になるというものを指すと思われます。例えば、物の発明の請求項を方法の発明の請求項が引用することで、請求項が不明確になる場合があります。この場合も、明確性(特許法第36条第6項第2号)で拒絶されます。
 その他、物の発明を引用する場合であっても、異なる物の発明を引用しているときには、同一の技術的限定が付されておらず、エラーとなります。

2.3.マルチマルチクレームのチェック

 「マルチマルチクレーム」とは、「他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項(マルチクレーム)を引用する、他の二以上の請求項の記載を択一的に引用する請求項」のことです。マルチマルチクレームを記載すると、特許庁の審査において、特許法第36条第6項第4号(委任省令要件)違反の拒絶理由となります。
 マルチマルチクレームについての説明はこちらです。

https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/letter/multimultichecker.html

2.4.プリアンプルのチェック

プリアンプルとは、いわゆるジェプソン形式の請求項である 「○○システムであって、・・・を備える○○システム。」のような記載形式のうち、「であって」以前のことをいいます。プリアンプルの発明の名称と、請求項の末尾に記載された発明の名称が一致していないとき、明確性の拒絶理由を受けることがあります。

3.特許庁で審査された請求項の誤記について

 国際特許分類 B05B 1/00 が付与された案件を母集団として調査しました。
2020年に公報が発行された案件のうち、特許査定または拒絶査定を受けた案件は333件です。うち、前記に関わる拒絶理由を受けた案件は32件、引用に関わる拒絶理由を受けた案件は5件です。
 ここでは、拒絶理由通知を受けた特許請求の範囲を明細書Lintがチェックして、拒絶理由通知で指摘された特許請求の範囲の誤記を検知できているか否かを評価しています。

特願2020-139959

令和3年8月24日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

●理由2(明確性)について

・請求項 1-19
 請求項1には「前記流体膨張部材の間に」と記載されているが、この記載よりも前に「流体膨張部材」の記載が無く、「前記流体膨張部材」が何を指し示しているのかが不明確である。
 したがって、請求項1に係る発明、及び請求項1に係る発明を引用する請求項2-19に係る発明は明確でない。

令和3年8月24日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記液体膨張部材」が前記されていないことが検知されています。その他「処理チャンバ」「基板」も前記されていません。

 なお、水色は先行詞を示し、薄緑色は前記付き名詞句を示します。そして、Wordのコメントで誤記を指し示し、誤記の内容を説明しています。

・請求項 12 請求項12には「前記入口直径」と記載されているが、この記載よりも前に「入口直径」の記載が無く、「前記入口直径」が何を指し示しているのかが不明確である。 したがって、請求項12に係る発明は明確ではない。

令和3年8月24日を起案日とする拒絶理由通知書

本願の特許請求の範囲の請求項12の「前記入口直径」が前記されていないことも検出されています。

特願2020-048499

令和2年6月17日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項1~8
 本願の請求項1には、
「前記吐出開口部を形成するシールリング装着部とを」、
「前記吐出開口部に対し前記散水板を」、
「前記吐出開口部に対し水密に」、
「前記吐出開口部に対する前記散水板の」、
との記載があるが、この記載よりも前に「吐出開口部」の記載が無く、「前記吐出開口部」が何を指し示しているのかが不明確である。(いずれも「前記吐水開口部」の誤記か。)
 また、請求項1を引用する請求項2~8にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項1~8に係る発明は明確でない。

令和2年6月17日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「吐出開口部」が前記されていないことが検知されています。その他「散水板」も前記されていません。

特願2020-009185

令和2年10月26日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項5,6
請求項5において、「前記複数の構造」なる記載より以前には、「複数の構造」なる記載は無く、また同項が引用する請求項1-4にも、「複数の構造」なる記載は無いため、上記の「前記複数の構造」なる記載が何を意味するのか明確でない。
 よって、請求項5及び同項を引用する請求項6に係る発明は明確でない。

令和2年10月26日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項5の「構造」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-561353

令和3年12月1日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記とクレーム引用の誤記に関する拒絶理由を受けています。

(1)請求項1には「これにより、前記第2噴霧方向は、鉛直方向及び前記コンベヤ平面の両方に対して傾斜しており」との記載があるが、その記載より前に「第2噴霧方向」は記載されていないため、「前記第2噴霧方向」が何を意味するのかが明確でない。

令和3年12月1日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記第2噴霧方向」が前記されていないことが検知されています。ほかに「前記コンベア」も前記されていません。

(5)請求項10の「卵の列を前記装置の前記長手方向において案内するための複数の経路が規定される」との記載における「前記装置」が何を意味するのかが明確でない。

令和3年12月1日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項10の「前記装置」が前記されていないことが検知されています。

(7)請求項12には「…される、請求項9又は10に記載の方法。」と記載されているが、請求項9には「方法」ではなく「装置」の発明が記載されているため、「請求項9に記載の方法」が何を意味するのかが明確でない。

令和3年12月1日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項12の発明の名称が請求項9と相違することが検知されています。なお、請求項9は「装置」の発明です。

特願2019-552092

令和4年11月10日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

 請求項15に記載の「前記第3の円周流路」、「前記第4の円周流路」が前記されていない。
 よって、請求項15及び該請求項を引用する請求項16~18に係る発明は明確でない。

令和4年11月10日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項15の「前記第3の円周流路」、「前記第4の円周流路」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-547352

令和2年9月23日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項6-8
 請求項6には「前記印刷装置のサービスゾーンの上を」との記載があるが、この記載よりも前に「印刷装置」の記載が無く、「前記印刷装置」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項6に係る発明は明確でない。請求項6を引用する請求項7-8に係る発明も同様に明確でない。

[7]
・請求項6-8
 請求項6には「前記プリントヘッドキャリッジが通過する際に」との記載があるが、この記載よりも前に「プリントヘッドキャリッジ」の記載が無く、「前記プリントヘッドキャリッジ」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項6に係る発明は明確でない。請求項6を引用する請求項7-8に係る発明も同様に明確でない。

令和2年9月23日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項6の「前記印刷装置」、「前記プリントヘッドキャリッジ」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-540005

令和3年2月1日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 1-14
 請求項1には「前記中空本体」という記載(6か所)があるが、この記載よりも前に「中空本体」の記載が無く、「前記中空本体」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項5-6、8、12の「前記中空本体」、及び請求項1、5-6、8、12を直接的又は間接的に引用する請求項2-4、7、9-11、13-14についても同様である。
 よって、請求項1-14に係る発明は明確でない。

令和3年2月1日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記中空本体」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-534646

令和3年10月15日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項4、5
・備考
a.請求項4には「前記フラップが、加圧水が、前記ヘッドを」との記載があるが、この記載よりも前に「フラップ」、「ヘッド」の記載が無く、「前記フラップ」、「前記ヘッド」が何を指し示しているのかが不明確である。
(この記載よりも前に「内側フラップ」、「シャワーヘッド」が記載されている。)

b.請求項4には「前記アパーチャを閉じ、加圧水流入がないときには」との記載があるが、この記載よりも前に「アパーチャ」の記載が無く、「前記アパーチャ」が何を指し示しているのかが不明確である。
(この記載よりも前に「内側アパーチャ」が記載されている。)
 よって、請求項4に係る発明は明確でない。請求項4を引用する請求項5についても同様である。

令和3年10月15日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項4の「前記フラップ」「前記ヘッド」「前記アパーチャ」が前記されていないことが検知されています。

・請求項14
・備考
 請求項14には「前記固体又は液体の殺菌性材料の」との記載があるが、この記載よりも前に「固体」の記載が無く、「前記固体又は液体」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項14に係る発明は明確でない。

令和3年10月15日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項14の「前記固体」が前記されていないことが検知されています。

・請求項15、16
・備考
 請求項15には「前記ヘッドに流れ込むときには」との記載があるが、この記載よりも前に「ヘッド」の記載が無く、「前記ヘッド」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項15に係る発明は明確でない。請求項15を引用する請求項16についても同様である。

令和3年10月15日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項15の「前記ヘッド」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-531944

令和3年5月27日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 1-16
請求項1には「前記バルブ要素(13-15)は、前記閉鎖位置において前記出口開口(1-3)を」との記載があるが、この記載よりも前に「バルブ要素(13-15)」の記載が無く、「前記バルブ要素(13-15)」が何を指し示しているのかが不明確である(全ての請求項に共通する指摘として、「可動バルブ要素(13-15)」、「バルブ要素(13-15)」等の用語の統一をされたい)。
 また、請求項1を引用する請求項2-16にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項1-16に係る発明は明確でない。

令和3年5月27日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記バルブ要素(13-15)」が前記されていないことが検知されています。

・請求項 8-16
 請求項8には「前記バルブニードル(13-15)は、前記膜(19、19…)」との記載があるが、この記載に対応する「バルブニードル(13-15)」の記載は、選択的に引用される請求項6にしか存在せず、請求項8が請求項6を引用しない場合に、「前記バルブニードル(13-15)」が指し示すものが不明確となる(全ての請求項に共通する指摘として、「可動バルブ要素(13-15)」、「バルブニードル(13-15)」等の用語の統一をされたい)。
 また、請求項8を引用する請求項9-16にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項8-16に係る発明は明確でない。

令和3年5月27日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8の「前記バルブニードル(13-15)」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-000637

令和1年11月28日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項5-11、13-15
 本願の請求項5には「前記スプレー軸を中心とする、請求項1に」との記載があるが、請求項5及び請求項5が引用する請求項1には、この記載よりも前に「スプレー軸」の記載が無く、「前記スプレー軸」が何を指し示しているのかが不明確である。(「スプレー軸」は請求項4に記載されているから、請求項5は請求項4を引用するのでは?)
 また、請求項5を引用する請求項6-11、13-15にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項5-11、13-15に係る発明は明確でない。

令和1年11月28日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項5の「前記スプレー軸」が前記されていないことが検知されています。

・請求項9-11
 本願の請求項9には「前記相互作用チャンバは前記ノズルに接続し」、「前記相互作用チャンバからのスプレーを排出する」との記載があるが、この記載よりも前に「相互作用チャンバ」の記載が無く、「前記相互作用チャンバ」が何を指し示しているのかが不明確である。(「相互反応チャンバ」では?)
 また、請求項9を引用する請求項10、11にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項9-11に係る発明は明確でない。

令和1年11月28日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項9の「前記相互作用チャンバ」が前記されていないことが検知されています。

特願2018-568363

令和1年12月17日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項16
請求項16において、「前記シール部材は、プラグを備え、前記感熱性トリガは、感熱性流体を含有する」とあるが、請求項16が引用する請求項1には、シール部材も感熱性トリガも記載されておらず、「前記」が何を指すのかが分からない(「請求項15」の引用間違い?)。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項16の「前記シール部材」「前記感熱性トリガ」が前記されていないことが検知されています。

特願2018-540392

令和1年8月23日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

請求項1には「前記壁内にある、壁(25)」との記載があるが、この記載よりも前に「壁」の記載が無く、「前記壁」が何を指し示しているのかが不明確である。

令和1年8月23日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記壁」が前記されていないことが検知されています。

・請求項 5-9
 請求項5には「前記範囲を限定する停止機構(600)」との記載があるが、この記載よりも前に「範囲」の記載が無く、「前記範囲」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項5を引用する請求項6-9にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項5-9に係る発明は明確でない。

令和1年8月23日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項5の「前記範囲」が前記されていないことが検知されています。

・請求項 6-9
 請求項6には「前記窓」との記載があるが、この記載よりも前に「窓」の記載が無く、「前記窓」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項6を引用する請求項7-9にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項6-9に係る発明は明確でない。

令和1年8月23日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項6の「前記窓」が前記されていないことが検知されています。

特願2018-223420

令和4年2月16日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 4-5
 請求項4には「前記前記導入管」と記載されているが、「前記」が重複しているため、日本語として不明確である。

 よって、請求項4-5に係る発明は、明確でない。

令和4年2月16日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項4の「前記前記導入管」の誤記が検知されています。前記の誤記のなかには、前記の重複がときおり存在します。

特願2018-218256

令和2年1月22日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項7-8
(1)請求項7に記載の「…前記第2の保持部に固定されたホルダ部を備え、」について、当該記載よりも前に「第2の保持部」との記載はなされていないので、「前記第2の保持部」との記載が何を指しているのか、不明確である。

令和2年1月22日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項7の「第2の保持部」が前記されていないことが検知されています。

(2)請求項8に記載の「請求項1乃至7の採水ディスペンサーを備え、」について、「請求項1乃至7の…」との記載は択一的な記載ではなく、引用関係が不明瞭である。(上記記載は「請求項1乃至7のいずれか1項に記載の…」の誤記ではないのか。)

令和2年1月22日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8にて択一的に引用されていないことが検知されています。

特願2018-180256

令和4年7月26日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 11
 本願の請求項11には「前記チャック部材」との記載があるが、この記載に対応する「チャック部材」の記載は、選択的に引用される請求項9にしか存在せず、請求項11が請求項9を引用しない場合に「前記チャック部材」が指し示すものが不明確となる。
 よって、請求項11に係る発明は明確でない。

令和4年7月26日を起案日とする拒絶理由通知書

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項11の「前記チャック部材」が、前記されていないことが検知されています。なお、明細書Lint の(8) の記載は、請求項8を引用したときに前記されていないものになることを示しています。
 つまり、単に前記されていれば足りるのではなく、択一的に引用する請求項の何れかに先行詞の「チャック部材」が記載されていないとき、不明確となります。

特願2018-178319

令和4年7月13日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 1-3
 本願の請求項1には「前記給水源」との記載があるが、この記載よりも前に「給水源」の記載が無く、「前記給水源」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項1を引用する請求項2、3にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項1~3に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記給水源」が、前記されていないことが検知されています。

特願2018-163899

令和4年4月11日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

 請求項3における「前記少なくとも一つの液状材噴霧ノズルチップ」という記載について、「液状材噴霧ノズルチップ」という記載が認められるものの、「少なくとも一つの液状材噴霧ノズルチップ」という記載は認められないから、「少なくとも一つの液状材噴霧ノズルチップ」という記載は、既出の記載ではないので、「前記」と付することで、技術的な矛盾が生じることとなる。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項3の「前記少なくとも一つの液状材噴霧ノズルチップ」が、前記されていないことが検知されています。なお、請求項1にて液状材噴霧ノズルチップA1,…,Anが記載されていますが、それらのうち少なくとも一つであることを表現したかったのでしょう。

 請求項4における「前記液状添加材用開閉バルブ」という記載について、「液状添加材用開閉バルブ」という記載は、既出の記載ではないので、「前記」と付することで、技術的な矛盾が生じることとなる。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項4の「前記液状添加材用開閉バルブ」が、請求項1から3の何れにも前記されていないことが検知されています。

特願2018-162186

令和4年6月15日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

請求項1には「前記吐出ヘッドは、」と記載されているが、この記載よりも前に「吐出ヘッド」の記載が無く、「前記吐出ヘッド」が何を指し示しているのかが不明確である。
 請求項1を引用する請求項3-4についても同様の点が指摘される。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記吐出ヘッド」が、前記されていないことが検知されています。なお、以下の特許請求の範囲は、令和4年3月11日を提出日とする手続補正書に記載されているものです。

特願2018-136811

令和1年12月6日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項12
[1] 本願の請求項12には「前記散水ノズルで閉塞して流出路側に」との記載があるが、この記載よりも前に「散水ノズル」の記載が無く、「前記散水ノズル」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項12に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項12の「前記散水ノズル」が、前記されていないことが検知されています。

特願2018-092974

令和1年12月24日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項2、4、5 
・備考
 請求項2には「前記散水板に向かって流出するものであり」との記載があるが、この記載よりも前に「散水板」の記載が無く、「前記散水板」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項2に係る発明は明確でない。また、請求項2を引用する請求項4、5についても同様である。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項2の「前記散水板」が、前記されていないことが検知されています。

特願2017-547029

令和2年1月29日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項13-15
 本願請求項13には、「前記内部流体経路」と記載されているが、本願請求項13が引用している本願請求項12には、「内部流体経路」なる記載がないため、本願請求項13に係る「前記内部流体経路」が不明確である。
 したがって、本願請求項13-15に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項13の「前記内部流体経路」が、前記されていないことが検知されています。Wordコメントの、(12)は、請求項12から辿ってゆく引用ツリーの何れにも前記されていないことを示しています。

・請求項13-16
 本願請求項13には「及び、前記内部流路は、」と記載されているが、該「前記内部流路」が、流体容器の内部流路を意味するのか、流体噴射チップの内部流路を意味するのか不明であり、該「前記内部流路」が多義的に解釈されることから本願請求項13に係る方法が不明確である。
 また、同様に、本願請求項16には「前記内部流路」と記載されているが、該「前記内部流路」が、流体容器の内部流路を意味するのか、流体噴射チップの内部流路を意味するのか不明であり、該「前記内部流路」が多義的に解釈されることから本願請求項16に係る方法が不明確である。

請求項13が引用する請求項12には、「内部流路を画定する流体容器を含む係合部分・・・」という記載と、「前記流体噴射チップの内部流路と・・・」の記載があります。ここで単に「前記内部流路」と記載すると、2つの先行詞のうち何れを指すかが不明確になります。なお、現在の明細書Lint ver.1.3.2.3 では、この記載をエラーとして検知できませんでした。

特願2016-522846

平成30年12月3日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項1乃至12
・備考
 本願の請求項1には、「前記分配オリフィス」と記載されているが、当該記載の前に「分配オリフィス」という記載はなく、「前記」が何を指すかが明確ではない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記分配オリフィス」が、前記されていないことが検知されています。なお以下は、平成30年11月1日の手続補正書に記載された特許請求の範囲をチェックしたものです。

特願2016-223378

令和2年7月28日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項2-4
 請求項2には「前記陽子」との記載があるが、この記載よりも前に「陽子」の記載が無く、「前記陽子」が何を指し示しているのか不明である。
 また、請求項2を引用する請求項3、4も同様である。
 よって、請求項2-4に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項2の「前記陽子」が、前記されていないことが検知されています。

特願2015-244200

令和1年9月10日を起案日とする拒絶理由通知書で、上記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項1~3
 本願の請求項1には「上記渦列通路から導かれた渦列を」との記載があるが、この記載よりも前に「渦列通路」の記載が無く、「上記渦列通路」が何を指し示しているのかが不明確である。(「上記渦発生通路から導かれた渦列を」の誤記か。)
 また、請求項1を引用する請求項2、3にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項1~3に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「上記渦列通路」が、この記載よりも前に記載されていないことが検知されています。

特願2015-244198

令和1年8月23日を起案日とする拒絶理由通知書で、上記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項1-7

 請求項1の「上記渦列通路」との記載が、それに先行するどの文言を指すものであるのかが不明である。
 よって、請求項1及びそれを引用する請求項2-7に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「上記渦列通路」が、この記載よりも前に記載されていないことが検知されています。

特願2015-244196

令和1年9月10日を起案日とする拒絶理由通知書で、上記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項1~4
 本願の請求項1には「上記渦列通路から導かれた渦列を」との記載があるが、この記載よりも前に「渦列通路」の記載が無く、「上記渦列通路」が何を指し示しているのかが不明確である。(「上記渦発生通路から導かれた渦列を」の誤記か。)
 また、請求項1を引用する請求項2~4にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項1~4に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「上記渦列通路」が、この記載よりも前に記載されていないことが検知されています。

特願2015-100965

平成31年2月6日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 1-9
(A)本願の請求項1には「前記内筒部の前記他端側」との記載があるが、この記載よりも前に、内筒部の「他端側」の記載が無く、「前記他端側」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項1を引用する請求項2-9にも同様の点が指摘される。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項1の「前記他端側」が、前記されていないことが検知されています。

(B)本願の請求項2には「前記内筒部の径方向に弾性変形可能な支持部の前記他端側」との記載があるが、この記載よりも前に支持部の「他端側」の記載が無く、「前記他端側」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項2を引用する請求項3-9にも同様の点が指摘される。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項2の「前記他端側」が、前記されていないことが検知されています。

(G)本願の請求項8には「前記内筒部には、・・・前記側面部外周面および/またはこの前記側面部外周面と」との記載があるが、この記載に対応する「内筒部」の「側面部」の記載は、選択的に引用される請求項2、3、4、5にしか存在せず、請求項8が請求項2、3、4、5を引用しない場合に、「前記側面部外周面」が指し示すものが不明確となる。
 また、請求項8を引用する請求項9にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項1-9に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8の「前記側面部外周面」が、前記されていないことが検知されています。

特願2015-008731

令和1年6月21日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項5~22 
・備考
 請求項5には「前記発電器(1)が、」との記載があるが、この記載よりも前に「発電器(1)」の記載が無く、「前記発電器(1)」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項5に係る発明は明確でない。請求項5を引用する請求項6~22についても同様である。
(「前記発電機(1)が、」の誤記ではないか。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項5の「前記発電器」が、前記されていないことが検知されています。

・請求項8~25  
・備考
 請求項8には「前記電流発生器(1)が、」との記載があるが、この記載よりも前に「電流発生器(1)」の記載が無く、「前記電流発生器(1)」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項8に係る発明は明確でない。また、請求項8を引用する請求項9~25についても同様である。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8の「前記電流発生器」が、前記されていないことが検知されています。

・請求項9~25  
・備考
 請求項9、12には「前記光源(11)」との記載があるが、この記載に対応する「光源(11)」の記載は、選択的に引用される請求項3にしか存在せず、請求項9が請求項3を引用しない場合に、「前記光源(11)」が指し示すものが不明確となる。
 よって、請求項9に係る発明は明確でない。また、請求項9を引用する請求項10~25についても同様である。
(請求項12にも同様の記載があるため併せて検討されたい。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項9の「前記光源」が、前記されていない場合があることが検知されています。
明細書Lintは、前記されていない場合として、((1,2)4,(1,2)5,6,(1,2)7,(1,2)8)と記載していますが、これは請求項1,2を引用する請求項4を引用する場合と、請求項1,2を引用する請求項5を引用する場合と、請求項6を引用する場合と、請求項1,2を引用する請求項7を引用する場合と、請求項1,2を引用する請求項8を引用する場合、前記されていないことを示しています。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項12の「前記光源」が、前記されていない場合があることが検知されています。

・請求項13~25 
・備考
 請求項13には「前記ラウドスピーカーの」、「前記回路基板には、」との記載があるが、この記載に対応する「ラウドスピーカー」「前記回路基板」の記載は、選択的に引用される請求項4にしか存在せず、請求項13が請求項4を引用しない場合に、「前記ラウドスピーカー」、「前記回路基板」が指し示すものが不明確となる。
 よって、請求項13に係る発明は明確でない。また、請求項13を引用する請求項14~25についても同様である。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項13の「前記ラウドスピーカー」が、前記されていない場合があることが検知されています。

・請求項16~25
・備考
 第1行目「前記本体部」が不明確である。
 よって、請求項16に係る発明は明確でない。また、請求項16を引用する請求項17~25についても同様である。
についても同様である。
(「前記カートリッジ本体部」の誤記ではないか。請求項19にも同様の記載があるため併せて検討されたい。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項16の「前記本体部」が、前記されていない場合があることが検知されています。

・請求項20~25
・備考
 「・・・請求項19に記載のディスペンサー装置。」が不明瞭である。
(請求項19は、「水ジェットを注出するための装置」に係る発明であり、一致していない。請求項21~24にも同様の記載があるため併せて検討されたい。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項20の「請求項19に記載のディスペンサー装置。」が、引用している請求項19の発明の名称と相違していることが検知されています。

・請求項21~25
・備考
 請求項21には「前記分配チャンバー(220)から」との記載があるが、この記載よりも前に「分配チャンバー(220)」の記載が無く、「前記分配チャンバー(220)」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項21に係る発明は明確でない。また、請求項21を引用する請求項22~25についても同様である。
(請求項23、24にも同様の記載があるため、併せて検討されたい。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項21の「前記分配チャンバー」が、前記されていない場合があることが検知されています。

・請求項22~25
・備考
 請求項22には「前記第1の外部シーリング要素(34)と」との記載があるが、この記載に対応する「第1の外部シーリング要素(34)」の記載は、選択的に引用される請求項15にしか存在せず、請求項22が請求項15を引用しない場合に、「前記第1の外部シーリング要素(34)」が指し示すものが不明確となる。
 また、請求項22を引用する請求項23~25にも同様の点が指摘される。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項22の「前記第1の外部シーリング要素」が、前記されていない場合があることが検知されています。

特願2019-572151

令和4年7月4日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 5-28
 ・請求項5には、「前記断熱ハウジング」との記載があるが、この記載よりも前に「断熱ハウジング」の記載が無く、「前記断熱ハウジング」が何を指し示しているのかが不明確である。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項5の「前記断熱ハウジング」が、前記されていない場合があることが検知されています。

 ・請求項8には、「前記気体」との記載があるが、この記載よりも前に「気体」の記載が無く、「前記気体」が何を指し示しているのかが不明確である。
 また、請求項8には「前記外気温」との記載があるが、この記載よりも前に「外気温」の記載が無く、「前記外気温」が何を指し示しているのかが不明確である。(「外気温度」の誤記ではないか。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8の「前記気体」と「前記外気温」が、前記されていない場合があることが検知されています。

 ・請求項13には「前記コイル」との記載があるが、この記載に対応する「コイル」の記載は、選択的に引用される請求項11にしか存在せず、請求項13が請求項11を引用しない場合に、「前記コイル」が指し示すものが不明確となる。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項13の「前記コイル」が前記されていない場合があることが検知されています。

 ・請求項21には、「前記前記潤滑コーティング」と記載されており、「前記」が重複している。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項21の「前記前記潤滑コーティング」の前記が重複していることが検知されています。

 ・請求項23には「前記磁石」との記載があるが、この記載に対応する「磁石」の記載は、選択的に引用される請求項12にしか存在せず、請求項23が請求項12を引用しない場合に、「前記磁石」が指し示すものが不明確となる。
また、請求項23には「前記付勢部材」との記載があるが、この記載に対応する「付勢部材」の記載は、選択的に引用される請求項14にしか存在せず、請求項23が請求項14を引用しない場合に、「前記付勢部材」が指し示すものが不明確となる。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項23の「前記磁石」と「前記付勢部材」が前記されていない場合があることが検知されています。

 ・請求項24は、「請求項11または12に従属する先行する請求項のいずれかに記載のインジェクタ」と記載されており「請求項11または12に従属する先行する請求項」が具体的にいずれの請求項を指し示すのか理解することができないから、従属関係が明確でない。

明細書Lint では、このように想定外の請求項の引用についてはチェックできませんでした。

 ・請求項28には、「前記クーラント液貯蔵部」との記載があるが、この記載よりも前に「クーラント液貯蔵部」の記載が無く、「前記クーラント液貯蔵部」が何を指し示しているのかが不明確である。(「クーラント液貯蔵槽」の誤記ではないか。)
 よって、請求項5、8、13、21、23、24、28および従属する請求項6-7、9-12、14-20、22、25-27に係る発明は、明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項28の「前記クーラント液貯蔵部」が前記されていない場合があることが検知されています。

特願2020-512451

令和4年8月29日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 10
(1)
 請求項10には、「前記変位ロッド」との記載があるが、この記載よりも前に「変位ロッド」の記載が無く、「前記変位ロッド」が何を指し示しているのかが不明確である。
 よって、請求項10に係る発明は、明確でない。
 なお、「変位ロッド」について特定しているのは請求項8であり、請求項10は請求項8を間接的にも引用していない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項10の「前記変位ロッド」が前記されていないことが検知されています。

特願2019-063076

令和5年7月11日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 7~10

 請求項7に係る発明は、「前記液体」という特定事項を有しているが、請求項7が引用する請求項1~6において、「液体」の記載があるのは請求項4のみであるところ、それ以外を引用した場合、「前記」として参照するものが何であるか不明である。
 したがって、請求項7に係る発明は、不明確な特定事項を含んでいることから、その特許を請求する範囲はあいまいである。
 よって、請求項7に係る発明は明確でない。
 請求項7を引用する請求項8~10に係る発明についても同様である。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項7の「前記液体」が前記されていない場合があることが検知されています。
 チェック結果 "(1,2,3,(1,2,3)5,6)" では、請求項1~3と、請求項1から3を引用する請求項5と、請求項6のうち何れかを引用したとき、液体が前記されていないことを検知しています。

特願2018-189391

令和4年7月11日を起案日とする拒絶理由通知書で、引用の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 10-11
 請求項10における「請求項1~9に記載の・・・」という記載は、誤記であって、正しくは、「請求項1~9のいずれか1項に記載の・・・」という記載にすべきものと認められる。
 また、請求項10を引用する請求項11についても同様の判断である。
 よって、請求項10-11に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項10において、請求項が択一的に引用されていないことが検知されています。

特願2020-518041

令和4年8月29日を起案日とする拒絶理由通知書で、前記の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項 8~20

 請求項8に係る発明は、前記コントロールバルブという特定事項を含んでいるが、請求項8に係る発明が引用する請求項1に係る発明にはコントロールバルブという文言は含まれていないため、請求項1を引用する場合において、「前記」の何を引用しているのか不明であり、これによって請求項8に係る発明の特許を請求する範囲があいまいなものとなっている。
 よって、請求項8に係る発明と、これを引用する場合の請求項9~20に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8の「前記コントロールバルブ」が前記されていないことが検知されています。

特願2017-135570

令和2年1月20日を起案日とする拒絶理由通知書で、引用の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項15,16
 請求項15の「請求項7~12のいずれかの噴霧装置において、 前記噴霧用の液体は、水であることを特徴とする噴霧装置。」という記載は、引用する請求項7~12が「噴霧システム」の発明であるため、その引用関係が不明確となっている。
 請求項15を引用する、請求項16の記載も不明確である。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項15において、発明の名称または要素が請求項7,8,9,10,11,12と相違することが検知されています。

特願2016-179262

令和1年7月10日を起案日とする拒絶理由通知書で、引用の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項2~5
 本願の請求項2には「請求項1記載のシャワーヘッド」との記載があるが、請求項1には「シャワーヘッド」の記載が無く、「請求項1記載のシャワーヘッド」が何を指し示しているのかが不明確である。(「請求項1記載の吐水装置」の誤記か。)
 また、請求項2を引用する請求項3~5にも同様の点が指摘される。
 よって、請求項2~5に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項2において、発明の名称または要素が請求項1と相違することが検知されています。請求項3から5も、引用する請求項2と発明の名称が相違することが検知されています。

特願2018-218192

令和2年1月22日を起案日とする拒絶理由通知書で、引用の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項9
 請求項9に記載の「請求項1乃至8の採水ディスペンサーを備え、」について、「請求項1乃至8の…」との記載は択一的な記載ではなく、引用関係が不明瞭である。(上記記載は「請求項1乃至8のいずれか1項に記載の…」の誤記ではないのか。)

 よって、請求項9に係る発明は明確でない。

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項9において、請求項の引用が択一的でないことが検知されています。

特願2018-218191

令和2年1月22日を起案日とする拒絶理由通知書で、引用の誤記に関する拒絶理由を受けています。

・請求項8
 請求項8に記載の「請求項1乃至7の採水ディスペンサーを備え、」について、「請求項1乃至7の…」との記載は択一的な記載ではなく、引用関係が不明瞭である。(上記記載は「請求項1乃至7のいずれか1項に記載の…」の誤記ではないのか。)

明細書Lintのチェックにより、本願の特許請求の範囲の請求項8において、請求項の引用が択一的でないことが検知されています。

4.おわりに

 前記の誤記によって拒絶される案件は、すべての審査案件のうちおよそ1割くらいです。明細書Lint Wordアドインにより、このような形式的な誤記を、Word上で容易に検知することが可能です。
 明細書Lint Wordアドインは、他のアプリケーションを起動することなしに、Word上てチェック処理が完結するので、ユーザの皆様に違和感なくお使いいただけるのではないかとおもいます。

明細書Lint の概要は以下の記事にも記載しています。


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