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特許申請書類の書誌事項をチェックするWordアドイン「書誌事項Lint」

1. はじめに

 書誌事項Lintは、特許申請書類の書誌事項をチェックするWordアドインです。主に特許事務所に向けて作成したものです。
 書誌事項とは、例えば出願番号、特許出願人の氏名又は名称、識別番号、代理人の氏名又は名称、識別番号、発送番号などのことです。各書類の必須項目が記載されているか否かと、全体として整合しているか否かを、特許情報取得APIによって取得した情報と比較してチェックします。

2. チェック対象書類

 チェック対象の書類は以下です。特許と実用新案の法域で、かつインターネット出願ソフトにて提出可能な全ての書類が対象です。

・意見書、出願公開請求書、手続補正書、上申書、手続補足書、出願審査請求手数料返還請求書、既納手数料返還請求書、早期審査に関する事情説明書、早期審査に関する事情説明補充書、早期審理に関する事情説明書、早期審理に関する事情説明補充書、優先審査に関する事情説明書、出願審査請求書、国際出願翻訳文提出書、翻訳文提出書、回復理由書、信託事項変更届、信託による特許を受ける権利についての変更届、受託番号変更届、新規性の喪失の例外証明書提出書、優先権証明書提出書、優先権主張書、手続補完書、明細書等提出書、明細書等補完書、明細書等補完書取下書、出願放棄書、出願取下書、請求取下書、審理再開申立書、先の出願に基づく優先権主張取下書、特許料納付書、実用新案登録料納付書、国内書面、優先権証明請求書、証明請求書、ファイル記録事項の閲覧(縦覧)請求書、ファイル記録事項記載書類の交付請求書、認証付ファイル記録事項記載書類の交付請求書、登録事項の閲覧請求書、登録事項記載書類の交付請求書、認証付登録事項記載書類の交付請求書、新規性喪失の例外適用申請書、国内処理請求書、図面の提出書、特許願、外国語明細書、外国語特許請求の範囲、外国語要約書、外国語図面、特許請求の範囲、請求の範囲、実用新案登録請求の範囲、図面、実用新案登録願、実用新案技術評価請求書、要約書、明細書、代理人変更届、代理人辞任届、代理権変更届、代理権消滅届、包括委任状援用制限届、復代理権変更届、復代理人変更届、復代理人受任届、復代理人選任届、復代理人辞任届、復代理権変更届、復代理権消滅届、特許協力条約第19条補正の翻訳文提出書、特許協力条約第19条補正の写し提出書、特許協力条約第34条補正の写し提出書、特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書、審判請求書、期間延長請求書、代表者選定届、代理人選任届、代理人受任届、誤訳訂正書、回答書、弁明書、受継申立書、出願人名義変更届、刊行物等提出書、世界知的所有権機関へのアクセスコード付与請求書、物件提出書

3 インストール方法

・github の以下URL から、インストーラをダウンロードしてください。

・Zipファイルを解凍してください。令和6年1月24日時点の最新版は、ver.1.2.33 です。なお、令和6年1月14日時点でリリースした ver.1.2.32 はインストーラに不具合があり動作しませんでした。申し訳ありません。
・setup.exe をクリックすると、書誌事項Lintセットアップ ウィザードが開きます。

・次へボタンをクリックすると、保護画面が開くときがありますので、詳細情報をクリックしまず。

・実行ボタンをクリックします。

・次へボタンをクリックします。

・以下のダイアログが表示されたら、インストールは完了です。

4.  書誌事項のチェック方法

・書誌事項Lintをインストールすると、WordのAppLintリボンに、以下のボタン群が追加されます。

・設定ボタンをクリックすると、アカウントと代理人を設定するカスタム作業ペインが開きます。
・APIアカウントには特許情報取得APIのアカウントを設定してください。
・代理人には、自身の代理人の書誌事項を設定してください。

・Wordで特許申請書類を開いて、「書誌事項チェック」ボタンをクリックすると、マーカとコメントにてチェック結果が表示されます。

4.1. 手続補正書

・以下は、手続補正書のチェック例です。コメントの冒頭に "OK" が記載されていれば、コメントが指す項目が整合しています。"NG"が記載されていれば、項目が整合していません。

特願2010-265008 手続補正書

・各書類における必須項目が欠落していないかをチェックします。必須項目が欠落していればコメントにて指摘します。

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。

・【補正をする者】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、補正をする者とその識別番号との整合、ならびに、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

・【発送番号】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る発送番号であるか否かをチェックします。

・以下は、【補正をする者】の氏名又は名称にエラーを検出したときの例です。この出願番号の経過情報によれば、補正をする者は「ラピスセミコンダクタ株式会社」であることをコメントで示しています。

補正をする者のエラー検出例

4.2. 意見書

・意見書のチェック例です。コメントの冒頭に "OK" が記載されていれば、コメントが指す項目が整合しています。"NG"が記載されていれば、項目が整合していません。


特願2010-292451 意見書

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。

・【特許出願人】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、補正をする者とその識別番号との整合、ならびに、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

・【発送番号】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る発送番号であるか否かをチェックします。

4.3. 特許願

願書ひな形を修正

・特許願では、必須項目の欠落の他、特許出願人および代理人の氏名又は名称と識別番号との整合性を検査します。

4.4. 明細書

・必須項目の欠落をチェックします。そして、段落番号、数式、化学式、表がそれぞれ追番になっているか検査します。

4.5. 特許請求の範囲

・請求項が追番になっているか検査します。更に、数式、化学式、表が記載されていれば、それらが追番になっているか検査します。

4.6. 要約書

・要約書は、【要約】【課題】【解決手段】【選択図】が記載されていることをチェックします。

4.7. 図面


4.8. 出願審査請求書

1200_出願審査請求書(予納).docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【請求人】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、請求人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。
・なお、予納台帳番号と納付金額のチェックは行っていません。

4.8. 早期審査に関する事情説明書

1220_早期審査に関する事情説明書(外国関連出願の場合-添付物件なし).docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。

・【提出者】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、提出者とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

・【早期審査の種別】は、「スーパー早期審査」「早期審査」の何れかが記載されていることをチェックします。

4.9. 特許料納付書

1500_特許料納付書(予納).docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【特許出願人】と【納付者】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、特許出願人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

4.10. 翻訳文提出書

1700_翻訳文提出書.docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【特許出願人】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、特許出願人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

4.11. 誤訳訂正書

1706_誤訳訂正書(指定立替納付).docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【特許出願人】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、特許出願人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

4.12. 弁明書

1715_弁明書.docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【弁明をする者】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、弁明をする者とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

4.13. 期間延長請求書

1720_期間延長請求書(予納).docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【請求人】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、請求人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

4.14. 出願人名義変更届

1730_出願人名義変更届(予納).docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。
・【承継人】と【承継人代理人】と【選任した代理人】は、識別番号との整合をチェックします。

4.15. 出願公開請求書

1740_出願公開請求書.docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。

・【特許出願人】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、特許出願人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

4.16. 代理人変更届

1750_代理人変更届.docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。

・【手続をした者】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、特許出願人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

・【選任した代理人】と【代理権の消滅した代理人】は、識別番号との整合をチェックします。

4.17. 代理人受任届

1751_代理人受任届.docx

・【出願番号】に係る案件が出願済みであり、かつ公開済みであれば、その旨を示します。

・【手続をした者】と【代理人】は、出願番号に係る案件が公開されていれば、その出願番号に係る出願人と代理人であるか否かをチェックします。非公開ならば、特許出願人とその識別番号との整合、代理人とその識別番号との整合をチェックします。

5. おわりに

  書誌事項リント+特許情報取得APIのアカウントにより、特許申請書類の書誌事項の機械的なチェックが可能となります。
 今後、意匠申請書類、商標申請書類についてのチェック機能、整理番号のチェック機能なども追加する予定です。

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