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生成AIによる曖昧文判定 ~頭の赤い魚を食べる猫~

1.はじめに

 ここでは、曖昧文の「頭の赤い魚を食べる猫」について、生成AIが曖昧文と判定できること。および、これを改善した文章を、生成AIが明確と判定できることを確認しました。

 「頭の赤い魚を食べる猫」とは、多義的に解釈できる曖昧文の例です。詳しくは以下をご覧ください。

2.解釈のパターン

 上記の解釈パターンのうち、3番目と4番目の解釈はやや苦しいように思います。猫の頭と猫は一心同体であるためです。

3番目

・追記です。4番目と5番目のパターンは、「頭」が人の頭であることを前提としているようでした。ただ、この解釈はやや苦しいように思います。猫にも頭はあるため、頭が人の頭であるという限定をつける理由はないためです。

4番目

1番目のバターンは、「頭が赤い」が「猫」に掛かるものであり、なおかつ「頭」を額から上の部分と解釈しています。これを生成AIで生成させてみたのが以下の画像です。

1番目

2番目のバターンは、「頭が赤い」が「魚」に掛かるものです。これが最も自然な解釈のように思います。

2番目

5番目のバターンは、「頭が赤い」が「猫」に掛かるものであり、なおかつ「頭」を首から上の部分と解釈しています。

(追記)5番目のバターンは、「頭」を「人の頭」として読んでいるようです。

5番目

3.生成AI活用

3.1.曖昧文の判定

ChatGPT4oに問いかけてみました。

以下の文章が多義的であるかを判断してください。「頭の赤い魚を食べる猫」

これに対する生成AIの回答が以下です。

「頭の赤い魚を食べる猫」という文章は、多義的に解釈される可能性があります。具体的には以下のような解釈が考えられます:
1.頭が赤い魚を猫が食べる:魚の頭が赤く、その魚を猫が食べる。
2.頭が赤い猫が魚を食べる:猫の頭が赤く、その猫が魚を食べる。
このように、どちらの「頭が赤い」が「魚」を修飾しているのか、「猫」を修飾しているのかが不明確であるため、この文章は多義的に解釈されると言えます。

生成AIは、「頭」の解釈が額の部分を示すか、または首から上を示すかが不明確であることを示してはいません。これは係り受けによる曖昧さの判定だけを行っているためとおもいます。
(追記)生成AIは、「頭」が「人の頭」であることを前提とした解釈は行っていません。

3.2.改善した文章例

一義に解釈される文章として「その頭の赤い猫は、魚を食べる」を作成し、それをChatGPT4oに問いかけてみました。

その頭の赤い猫は、魚を食べる

ChatGPT4oの回答は以下です。

「その頭の赤い猫は、魚を食べる」という文章は、多義的に解釈される可能性が低いです。この文章は以下のように明確に解釈されます:
頭が赤い猫が魚を食べる:猫の頭が赤く、その猫が魚を食べる。
「頭の赤い猫」が一つの名詞句として機能しており、頭が赤いという形容が猫に対してなされていることが明確です。このため、この表現は多義的ではありません。

一義に解釈される文章として「その猫は、頭の赤い魚を食べる」を作成しました。

その猫は、頭の赤い魚を食べる

それをChatGPT4oに問いかけてみました。

「その猫は、頭の赤い魚を食べる」という文章は、多義的に解釈される可能性は低いです。この文章は以下のように明確に解釈されます:
その猫は、頭が赤い魚を食べる:魚の頭が赤く、その魚を猫が食べる。
「頭の赤い魚」が一つの名詞句として機能しており、猫が食べる魚の頭が赤いということが明確に述べられています。このため、この表現は多義的ではありません。

このように、ChatGPT4o が曖昧文(多義文)であるか否かを判定できることが判りました。これにより、作成した文章が明確であるか否かをサポートするツールとして使用可能です。

4.生成画像について

この記事の生成画像は、GPT の Manga Draw を使用しました。

5.参考文献


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