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奴の基本はマウンティング、俺は偉いってのをしたくて、周り中敵だらけになるんだ、外の敵にマウント出来た気分(本当は嘲笑れているんだけど)になれば、次の敵、それがだんだん内側に向いていって、身近な相手を敵に認定して、やっつけにかかるんだ

母の寵愛を奪った息子は格好のターゲットだったろうね
物心ついてから母の目が届かない時は殴られて、毎日毎日毎日殴られて

殴られるのは僕が悪いと抑え込まれ
自分が格好を着けるためには相手を陥れ、騙し、自分さえも騙し

男の嫌な部分をぜーんぶ持ってる奴、それが僕の父親だ

威張る為に嘘をつく、自分を甘えさせてくれた配偶者の寵愛が子に移ると子を潰しにかかる

「母の末期、モルヒネを入れても痛がる末期癌、気丈な人で普段は何が有っても痛いとか言わなかったのに、弱虫に泣きわめいていた」
体中を蝕まれ、浸潤型の上皮内心生物が暴れまわり神経を痛めつける、どんな激痛より激痛で、モルヒネと言う麻薬も効かなくなる

「モルヒネはさ、一定時間開けないと再投与が出来ないんだ、それだけダメージが有るから、でも、その時僕は連続投与を頼んだ」
柔らかくて綺麗だった母の手がヘンゼルとグレーテルの魔女の手みたいにしわになり、冷たくなり、握っている僕の手を時に放し

「連続投与は所謂、安楽死、死期が早まるのは解っていた、僕が付き添う夜中から明け方、母が僕にそれを託したのだと思ったから、ナースコールした、医療従事者なら意味は解っていただろう、黙って投与してくれた」
アヤの手櫛、僕の目をじっと見つめている、小さなライトだけの寝室僕とアヤだけの世界、僕はアヤに甘えている

「投与してもらって、ふぅっと息をついて眠って、僕の手を握った冷たい手が穏やかになって、僕も傍らの簡易ベッドに横たわった5分もしないで、モニターがアラームさ、立ち上がると、おっかぁの喉に痰が詰まって、ナースコール、痰をディスポして貰ったら冷たい手がぎゅううっと握って来た」
アヤの暖かい手が僕の手を握る

「かあさん産んでくれて有難う、育ててくれてありがとう 何も考えないで言葉が出た、モルヒネで朦朧としていた目が開いて僕を見た、おっかぁの慈愛に満ちた目、最後の眼差し、握りつぶすほどの力で手を握ったらモニターがflatになった、ナースコールをして、家に電話した」

アヤが僕の頭を抱きしめてくれた、パジャマ越しの大好きなおっぱいを感じる
「親父は車なら5分の道のりなのに45分かけた、妹達も親父と一緒に来た、死に目に間に合うわけがない、僕が電話してすぐならまだ間に合ったのに、
全部僕の責任らしい、おっかぁが死んだのも僕が殺した、死に目に会えなかったのも僕のせい 親父は妹達にも、そう吹き込んだ」
「おかあさまの死に目から逃げたのか、おとうさまは死を受け入れるのが嫌だったんだね」

「卑怯で頭悪いんだよ、思考のチャートがEQの低さに邪魔されて自分の感情を満たす精髄反射しかしないから周りを傷つけ、反撃されると被害者面で悪気は無かったという」
「それ、きっと男女関係ないと思うよ」
横臥し合ってベッドの上、アヤの手が僕の頬を撫でる、アヤに甘えるのは大好きだ

「涼次に甘えられるのは嬉しい、可愛いと思う、男の子が出来たら涼次は私と一緒に、一緒に可愛がって育てると思う、信じている」
「おっかぁも信じてた筈なんだけど」

「おかあさまのDNA7割の涼次の方が優秀なんだよ」
「そうかな」

「そうだよ、涼次に惚れた私を信じなさい」
惚れてくれた女を信じる 甘ちゃんだけど、なんてステキだ

「それって私を愛してくれてる事だよ、涼次の望みでしょ」
あぁ、僕はアヤに惚れていて愛してて、ずっと愛していくのが望みだし決めている

「そこだよ、お父様と涼次の差は、自分が愛されることを必要にしない、二の次で良い、何でと言うと自分を一番に愛して居るからだよ、変な自己愛じゃなくて、本当の自己愛、本当の意味で自分が優先だから、相手に必要とされることを必要とせず、私を愛してる自分が全てでも無い」
「自分が愛される事を必要とし相手にマウントするのは愛情乞食か」

「涼次は愛情もたっぷりだから、お金もたっぷり入ってくるんだよ」
「そうかしらね」

「そこは良く言う色心不二だと想うよ、心が豊かだと物心豊かになる」
僕のスマホが鳴った、手を伸ばしてベッドサイドから取る

「あら、アヤさんも心が豊かな様ですね」
「なになに」

「鈍通・山本実他より冴子先生の所へ入金、成功報酬をさっぴいて振り込むってさ、所得税は先方で処理、レンガ15個分」
「レンガ?」

「百万の帯封がチョコレート それが10個でレンガ、1万円札の乾燥重量が通常1gなので15㎏だね」
「えええ」

「おめでとう億万長者の世界へ」
「なんか実感が無い」

「札束並べてベッドにする? 僕たちが乗るにはちょっと狭いけど」
「数字のまんまで良いよ、それを望むことに使いたい」

「そだね、お金は使ってなんぼ、何に使うかで、その人の価値が決まる」
「涼次さんに倣って佳き事に使いんしょう」

「何して遊ぼうか」
「マッチングアプリ」

「今更かい?」
「良い女と良い漢が出逢える上等なアプリ」

「あ~なるほど」
「香織ンみたいな良い女が涼次と同等の漢とつがえる様なマッチングを誘導するの」

「アヤ、楽しそうだね」
「私が楽しめそうだもん、香織ンが良い漢と出会ってほしい」

「縁を創造するアプリか」
「プロデュース面白そうでしょう」

「土の時代が終わって風の時代のプロデュースだね」
「犬の時代から猫の時代へだよ 私は恋をプロデュースする!」

「海賊王じゃなくて?」
「時代の変わり目、男も女も思考が迷走してて正しい恋が為されて無いじゃん」

「恋は堕ちるものじゃなくて為すものですか」
「そこだよね、運と縁に任せて堕ちるもんじゃなくて、為すものってのをテーマにプロデュースしよう」

「まず自分の正確な見積もりの仕方から始めないとね」
「自分を知らないからマウントしたり、怖気づいて恋から遠ざかったり」

縁結びを具体的に商いするって楽しそうだ♪


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