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女の子はメイクで化ける
変わるなんて生易しいものじゃない 別人に化ける

あの時、学食に僕を迎えに来たアヤは別人だった
ほーんとに可愛くて綺麗だった、でも講堂で並んだ時 アヤだった

外見がどんなに華美でも中身はアヤ
アルトの声でしゃべって、誰にでも親切で優しい黄金の心を持った女の子

「涼次、褒めすぎ」
格闘技使いでお転婆だけどね

「あら、何を仰りたいのかしら?」
目がきっとしたよきりっと
芯の強いところが有って、戦う時と闘い方を心得ていて 愛しい

「私も愛してる」
僕の膝の上でキス、二人の間には、まだマグネシウムのDynabook

「おまえらなぁ、いちゃこらしすぎ、未成年も居るんだぞ」
香織がカップでたんっとテーブルを叩く アヤが膝から降りてDynabookをしまいに行った

アヤ、エリ、香織の順に並んでいる6人掛けのテーブル、僕だけキッチン側
「悔しいから意地悪してやる、涼次、アヤが浮気したらどうする?」
「アヤは しないよぉ」

「アヤを信じてる?」
「アヤを信じてる自分を信じてる、女と男としてじゃなくて、人同士として信じられる人と一緒に居る 信じるのは相手に預かる事じゃなくて、自分が信じているかどうかなんだ」

「アヤは?」
「私もだな、もし私より好きな人が出来たら、涼次はちゃんと順を踏むと想う、どんなに辛くても」

「くっそぉ、付け入るスキがねえ」
香織はビールを煽ってたんっと陶器のカップを置いた

「お兄さんとおねえはチームワークが良いんよね」
エリが笑っている

「おねぇは初見でダンスが踊れるくらい勘が佳くて、観察が詳細、きっとお兄さんもそうだと想う、そうしたら相手の変化を見過ごす筈が無いと想う」

「互いが互いを観てたら浮気なんかないさ(笑)」
「涼次相手だと性的な不満も出そうにないし、倦怠期になっても、いや倦怠が来ないか ますます気に入らん」
香織は料理をどんどん平らげる、ビールも進む

「いや、たまにお茶漬け食べたくならない? 豪華なのに飽きて」
「涼次はお茶漬けも得意だよ」
アヤが笑う

電話が鳴った、着信音はそれぞれ違う ファイルが届いた音
「私だ」
エリが立ち上がりバッグから携帯を出した、携帯を見て顔色が変わり眉をしかめる 僕はアヤと視線を交わした

ファイルが送り付けられていた、エリを襲う場面を動画で撮っていたらしい、エリの服がまくり上げられ、下着が見えている、胸が揉みしだかれ、ブラがひっぱられて、素肌が見えていた、アヤによく似た胸、エリの悲鳴、左右に暴れている、絶叫、右手が相手のコメカミにフック気味にヒット エリが服をなおして部屋から飛び出していくところまで映っていた

そして音声着信

「スピーカーにして出てごらん」
エリは頷き、携帯をコルクのコースターの上に置いてクリックした

「もしもし」
「このあま ねぶりやがって わしに恥をかかせたな ただじゃおかん」
ん~と スピーカーが割れるくらいの大音声 罵声の合間に卑猥な言葉が混じり、恫喝して支配しようという意図が見え見え 嫌な奴♪

「黙っとったらわからん、どこにおる、わしのところへ来い、動画を拡散されてもええんじゃな?」
おっし、2丁目作戦だ!

「あーら怖い」
僕の発声に電話の向こうが狼狽えているのが解る

「誰じゃおまえ」
「いやぁねぇ誰でも良いじゃない、それより」

「それよりもこれよりもなんで男が出るんじゃ」
「男?失礼ねぇ、これでも女(心は)よ」

「こんな声の低い女が居るもんか、エリを出せ」
「あたしもエリ(源氏名)よ?」

「ふざけんな、俺のエリを出せ」
「あたしがユキオちゃんのエリになったげるわ」

「カマに要はない なんで俺の名を知っちょる」
「あらぁパンツを脱ぐのは同じよ、中身は違うかもだけど」

「医学部のわしが薬学部のバカ女を抱いてやると言うちょるけん」
「只で? あたし安くないのよ、妹のエリはもっと高いわ」

「只で当り前じゃ身分が違う 種付けてやる分感謝されたいわ」
「身分? 士農工商なんてシャグマがこさえたイカサマを信じている無教養の口かしら、国立大医学部にしては教養が無いわねえ」

「バカにするのか?」
「だってユキオちゃんバカでしょう?」

「おまえらくそは、黙ってわしの言う事を聞いてりゃええんじゃ」
「押し倒されたら、素直にパンツを脱がされろ?」

「そうじゃ、大人しくやらしとけば、わしもこんなに怒らん」
「あそこは怒っても10㎝内外でしょ? 短小包茎」

「なんじゃとぉおお(絶叫)俺のエリを出せ、無理やりでもやらせておけば将来 院長婦人じゃ」
「そんな気無いっしょ、可愛い女の子をとっかえひっかえなんて夢見てるだけで 高校時代モテなかったやつは辛いね、あ 医学部入ってもモテないか 今、周りにちやほやされてるのは銭をばら撒いてるから?」

「やかましいわ」
「やーい3寸」

「許さん殺しちゃる」
「はい、恐喝頂きましたぁ」

「なんじゃと?」
「法学部の(源氏名)エリです、今のは恐喝に当たります、録音あります、法的処置を取らしていただきます、鳩山ユキオくん」

「このくらいで法的処置など」
「とれるよ、いろいろ裏は取ってあるし、不同意性交未遂の件も一緒に届けようね」

「そんなん、伯父貴の弁護士が揉み消すわ」
「あのさ、これ録音してるって、動画は入手した ユキオくんのプロフと一緒にSNSで拡散されちゃうよ?」

電話が切れた
香織は爆笑した、アヤとエリはやや不安げ

「弁護士の先生に広島へ連絡とってもらうから大丈夫だよ、動画は消させる」
「どうなるの?」 とアヤ

「ユキオちゃんの伯父さんにちゃんと監督をして貰う様に話をつける、今どき性関係のスキャンダルが起きたら、ユキオちゃんの将来は勿論、病院もやばいから、鎮静化するでしょ」

「涼次からかい過ぎ、エリだなんて」
「いや、まじで源氏名エリ―だったからね」

「まぢっすか」
「まじだ、で、香織、エリちゃんのイメージチェンジ頼むわ」

「合点だ」
外見を替えれば気持ちも変わるし、広島へ帰ってからの面倒も減るだろう

ネットに繋がっているものでハッキング出来ないものは無いと言う友人にクライアントとして電話した、ユキオの電話番号を告げる

たっけぇ・・・僕は請求金額を振り込んだ 同意してない女の子のおっぱいを観るのは高くつくのだ、それが犯罪の証拠動画だとしても

ユキオちゃんと、その一族には、この百倍は払ってもらおう




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