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2~3日後、アヤ・エリを伴って出かけた、小春日和でプランプラン歩く
西新宿、蒼いビルの33階

エレベーターを降りるとホールを挟んで左右に扉 えっと右だったな
Tokyo city法律事務所

受付に入るとセンサーが働き、奥から綺麗なお姉さんが出て来る
「如月先生とアポの阿玖吾と申します」
「お待ちしておりました、こちらの部屋へどうぞ」

細長い部屋にテーブル 椅子は全部で8
「奥へおかけになってお待ちください」

座ってコートを脱ぎ、バッグを置いていたら、さっきのお姉さんが小さいペットボトルを3つ ホットウーロン茶

入室者が二人、長身ロングヘアの30代別嬪とイチローを彷彿とさせるイケメン髭面

僕が立ち上がるとアヤとエリも立ち上がり一礼した
「如月先生、本日はお時間を頂きまして」
「やだ、涼ちゃん、彼女の前だからって他人行儀に」
アヤの耳がピクリと動いた 着席する

「今回は鈴木先生も一緒に交渉に当たってもらったの、先方の病院の上部 瑞穂会関連病院とコンタクトの必要が有ったから」
「健吾先生、大きなヤマっすか?」

「そこは俺も弁護士のはしくれだから守秘義務が有るから言えないけどさ」
「儲かりまっか?」

「ぼちぼちでんな そんなわけで先方からがっちり頂けるので、阿玖吾君からの報酬はそーんなに心配しないで大丈夫」
んっぐっと如月冴子先生が咳ばらいをすると鈴木健吾先生は肩を竦めた

「依頼案件の説明の前に報酬云々なんて」
「だって冴子ちゃん、阿玖吾君は身内みたいなものじゃん コーチングしてもらったし」

冴子先生の肘が健吾先生にどんっ
「お嬢さん方もいらっしゃるんだから控えなさい」
アヤはなんか感づいちまった、きっとエリも まぁ良いか

「んで、先生、首尾は?」
「蓼丸エリさんの件についてですね、先方の鳩山ユキオ氏は今回の件に謝罪を申し出、接見禁止の念書を提出する準備があります」
アヤとエリは真剣に聞いている

「保証人は石橋病院院長と瑞穂会理事長です」
ユキオちゃんはバカが出来ないように徹底的に監視されるだろう、一族から性犯罪で拡散なんてなったら、瑞穂会自体がバッシングを受ける、最近影響力が落ち目とはいえマスコミの好餌にでもされたら目も当てられない 大学病院との提携も切られて人手不足に陥ってしまう可能性が高いからだ

「先方の申し出を受けられますか?」
「両親に相談して」

「ご両親には鈴木からご説明済みで、ご了承を頂いています、エリさんの意志次第だとのご返答を頂いてます」
さすがトラブルスイーパーコンビ、仕事はやっ

「受諾されますと、刑法176条 強制わいせつ 刑法177条 不同意性交罪ともに被害届を出さない事になり、18年の公訴時効を前に鳩山氏は刑法で告訴されないと言う事です、更に強制わいせつ もしくは 不同意性交の現場を撮影した動画についても同様 この一連に関する謝意として民法上の示談金、慰謝料が支払われます」

慰謝料の提示額は8桁3つめ
「レンガ3つか」
「涼ちゃん不満そうね」

「強姦は殺人と同じじゃん、殺人未遂だぜ」
場所を替えて気分を替えて明るく振る舞っているけれどエリの心中いかばかりかと想うと、納得いかないものがある

「でも、それが法律だし、かなり破格だぜ」
健吾先生が言うのはもっともだ 普通なら7桁チョコレートの世界もしくは6桁で泣き寝入りなんてのがザラだ

「こっからは独り言なんだが、ユキオちゃんは勉強タコつぼに入るらしい」
「なに、それ?」

「授業以外の外出禁止、某所に監禁で勉強、勉強、また勉強、ネット関係も勉学に関することのみ、休息は管理者の認める僅かな時間」
「スポーツアカデミーの医学勉強版みたいな?」

「それよりもっと陰険、陰湿、かつ厳しい躾けをするそうな」
「25間際の野郎が叩き直されるかなぁ」

「冬はヨット、夏は遠泳」
「身体IQから上げていくパターンなのね」

「そこへ放り込むから、それがどんなに過酷か関係者に説明してくれとユキオちゃんの伯父上の院長から」
「人格変わって真人間になるか 潜ってもっと強力なヒールになるか」

「そんときは涼ちゃん出番でしょ?」
と冴子先生が余計な一言、またアヤがぴくり 

「お受けします」
エリがはっきりと言った

「慰謝料などお金のことは解らない事も多いと想いますので親に一任します、彼が私に近づかないと確約されるなら、これから学生生活を安心して送れるし、この先、家族に迷惑をかけないで済むなら お受けいたします」

「では、示談で進めさせていただきます、また送られた動画については先方の端末から何故か消えているそうで」
冴子先生が僕をちょっと睨んだ ~♪

「証拠はエリさんの端末に送られたものと経由したサーバーの記録になりますが、これも後日開示請求から抹消するように手配」
冴子先生は僕たちを見回して

「あとは任せて頂戴、悪い様にはしないわ」
僕たちは一礼して立ち上がった

「阿玖吾くん」
健吾先生に話しかけられた

「またコーチング頼むよ、ちょっと倦怠期でさ」
んっんっ 冴子先生咳払い

「座学ならいくらでも」
「え~実践なしかよ?」
とアヤを見る

「あたりまえでしょ、彼女さんが出来たら、実践なんて無しに決まってるし、涼ちゃんは商売 店じまいしたんだから」
「あっクラブやめたんだっけ?」

「実践がお望みなら、タクヤとケンタという良い後輩がいますよ」
「うーん考えておく」
僕は脇汗を感じながら部屋を出てダウンを羽織った

「いろいろ聞かなくちゃね涼次」
エレベーターの中でアヤに言われ、また脇汗

外へ出た、御陽様が隠れ少し寒い 僕らは広い歩道を並んで歩く、自転車や対向の人が来るときは上手に身をかわす
「涼次先生」
「はいアヤくん」

「コーチングって?」
僕が在籍したクラブは女性を楽しませるのをメインに江戸時代の花魁に匹敵する美貌?と教養、閨房術を持った男子がお相手をします

「うん、それは解る」
アヤも、もう解ると想うけど女の人って性感帯、それぞれじゃん

「私は一般的な事と自分の事しかわからないけど、他の子と話すと違うと想うことは有る」
男もそれぞれ差異はあるけど女性ほど顕著じゃない

「そうなんだね」
あの店が流行るのは、その差異を迅速に掌握して個々に一番~

「感じる所を責める?」
そそ、多幸感を大切にしつつ、あと性癖も見抜いて上手にリードしながら
SとかMとか 無理やり系、ラブラブ系 それもTPOで変わるし

「そっかSexも結局は情報と行動なんだね 知識と智慧」
でだ、大抵の男は自分が出すのに一所懸命で、女性が甘い声で喘げば満足してると勘違いする、そこに男女の齟齬が生じる

「それ香織ンと話したときも出たよね」
女性がSexをEnjoyできないのは何故かって言う命題だよね

「如月先生は涼次のお客さま?」
「そだね、結構通ってくださった」

「健吾先生は?」
「冴子先生の元・亭主」

「え?結婚して離婚したの?」
「今でもパートナーだけどね」

「冴子先生が涼次のお店に通ったから離婚になった?」
「いや、彼女が通って来たのは離婚してからさ、あ~Sexってこんなに楽しくて良いんだって、最初に来たときの言葉」

「性の不一致が離婚自由か でコーチングって?」
「もう解るでしょ、ある日健吾先生を連れてきた冴子先生が、女の抱き方を教えてやってくれって」

「えええ?」
「で、健吾さんの目の前で」

「それってなんて寝取られプレイ? パターンだと健吾先生小さいの?」
「いや、男の臨戦態勢なんてあんま見たくないけど、僕より2~3㎝長くてデカい」

「それでも満足しないんだね 閨房術の出番か」
「でかいと想って思いあがってると肝心な事が疎かになる 女体データのとり方が基本でさ、あとは愛情」

「そうだよね」
「愛しさに勝る媚薬は無い、健吾先生、なまじモテるから、どっか散漫なのさ冴子さんに、だから倦怠期になるし そこが解ってないの」

「弁護士さんなのに?」
「勉強できたって、本当を見抜けるかどうかは別問題じゃん、エリちゃんの元彼みたいに医学部受かってもEQの低い奴もいるしさ」

「ですよねぇ 愛だよ愛、大切なのは」



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