白黒

梅雨が明けてすぐジリジリと視界が眩むような暑さが今年もやってきた。
アスファルトの地面は歪み少し先の建物はぼやけている景色は暑さを加速させ、
部活終わりですでに汗まみれな体だが心からも吹き出しそうだ。
こんな日はアイスが食べたい。
最近新商品が出たなと聞いていた音楽が変わったタイミングで思い出すと我慢できなくなったので
家に帰る前にコンビニに寄ることにした。


コンビニの入口の近くに白い花が咲いているのが目に入った。
見たことあるなあ、どこでだっけ？などと思いながらアイスコーナーに向かう。
カップのバニラアイスやかき氷、シャーベットやクッキーサンド、リッチなあのアイスなど種類が多くて目移りしそうになるが、お目当てのものに手を伸ばす。

気づいたらこればかり食べていた。
きっかけは小学生の頃にやっていたテレビCMだったなあと思い出し、少し恥ずかしくなった。
自分はどうも影響を受けやすく、当時好きだった人が教室で、推しのアイドルがやってるCMのアイスがとても美味しかったと話してるのを聞いて下校後すぐに買いに行ったからだ。
芋づる式に記憶がよみがえってきて別の商品に変えようとしたけれど、もう一度見たら目ぼしいと思えるものはなかったのでそのままレジへ向かった。


店員さんのありがとうございましたという声を聞きながら入口を出て、アイスを開封した。
わずかに冷気を感じながらいざ食べてみるとビターな味とナッツの食感を感じて1口、2口とどんどん進んでしまう。
いつもの甘くて滑らかな舌触りのバニラ味とは違うがリピートしてしまいそうだなと思う。

来た時に見た花にまた目が留まった。
そういえばあの時もこの花が咲いていたな。
溶けないうちに食べようと近くのベンチがある公園で食べていた。
公園に入ったらアイスを片手に真っ白のワンピースをきたあの子がいて、一緒に食べようと声をかけてくれるんじゃないかって妄想をしながら。
まあそんなことあるわけもなく学校で美味しかったよと伝えることも出来なかったので片思いをしたまま不完全燃焼で卒業してしまった。
そんなほろ苦い初恋を思い出した。　
CMのアイドルよりも純白のワンピースを纏った色白のあの子に夢中だった。