bengoshikh

愛知県弁護士会所属。 読書と格闘技、護身術。 労働関係、破産・再生、製造・工事に関する…

bengoshikh

愛知県弁護士会所属。 読書と格闘技、護身術。 労働関係、破産・再生、製造・工事に関する紛争、相続、親族関係、損害賠償請求事件。 フォレスト出版『合法的に借金をゼロにする方法』 月刊プレジデント2008〜2013『任意売却』寄稿 新日本法規出版『資本・増資』実務本の法務部門

マガジン

  • 「バカの壁」を超える梯子の作り方

最近の記事

再生

「バカの壁」を超える梯子の作り方(3) 〜動画解説版

動画音声解説版:「バカの壁」を超える梯子の作り方 「バカの壁」とは、養老孟司先生が書かれた、2003年のベストセラーの題名です。  「バカの壁」とは人と人との話が通じない場合を意味する造語です。  『話せば分かる』でなく、『話しても分かり合えない』状態です。  この「バカの壁」は、SNS時代、ますます多く存在し、かつ、それらは高く、厚くなりました。  どうして、「バカの壁」は生まれるのでしょう?  実際、「バカの壁」は、純理性的な説得の場である、裁判においても起こっています。  原告と被告、原告代理人と被告代理人、地方裁判所と高等裁判所、高等裁判所と最高裁判所との間で、全く物の見方が変わっている事件があります。  私は、裁判では、不思議な勝ちも不思議な負けも、あまり経験してきませんでしたので、 裁判において「バカの壁」をどうにかしてやろうと思ったことはありませんでした。  しかし、この数年間で、何件か、ほぼ主張証拠が出尽くしたにもかかわらず、 相手方代理人と全く見立てが違う、 あるいは、裁判官と見立て違う、深刻な事件に遭遇しました。 そこで、初めて真剣に、「バカの壁」について考え、悩みました。  裁判の場で、「バカの壁」が顕在化する、最高裁判所の破棄(差し戻し・自判)裁判例を検討することにしました。  古いものは、後藤勇「続・民事裁判と経験則」「民事裁判と経験則」の2冊(両者それぞれ7〜80件の破棄裁判例があります)を中心に、 新しい平成年代のものは、判例データベースを検索して数十件を拾い出し、自分で図を書きながら読み、メモをしました。  その作業を通じて、「バカの壁」が裁判においてなぜできるのか、理解できました。  そして、その「バカの壁」を、どう超えていくのか。 どんな梯子を使えば良いのか、おおよそ分かりました。  そして、「バカの壁」が裁判においてできるメカニズムと、一般社会で、「バカの壁」ができるメカニズムとは、同じであると気づきました。  その超え方も。  実は、私は、養老孟司先生の「バカの壁」を読んでから、 ずっと「もし『バカの壁』があるなら、それを超える方法だってあるはずだ。その方法を教えてくれないのは不親切ではないか。」と思っていました。  また、SNSなどで、相当に知的レベルが高い人同士が、「バカの壁」に遭遇し、互いに相手を汚い言葉で罵倒し合う様子を目にし、「なぜ、『バカの壁』ができているのに気づかないのだろうか。 なぜ、『バカの壁』を超える努力をしないのだろうか。」と残念に思いもしていました。  私が気づいた、裁判における「バカの壁」を超える方法、梯子は、恐らく、ずっと多くの人の議論、交渉、説得にも役立つのではないかと思い、公開させて頂くことにした次第です。

    • 「バカの壁」を超える梯子の作り方(2)

      【まずは論理が大切、そしてその先にあり、それを支えるもの】 脅したり、騙したりして、一時的に相手を言いくるめるのではなく、きちんと理解させ、納得させた上で、こちらが考えるのと同様な結論に至らせるために最低限必要なものは、「論理」です。 「論理」をもって交渉、説得するには、実際にどうすればよいのか、簡単に触れておきます。 1 三段論法 議論の方法は、ギリシャ・ローマ時代から研究されています。 アリストテレスの「論理学」では、三段論法による議論の方法が記されています。 こ

      • 耐え忍び、乗り越えていく

        東京では、昨日、「要請するなら、金をくれ!」とシュプレヒコールをして、総理私邸までデモをした人たちがいました。 コロナ禍で、密接も3密の1つとして禁忌のはずであり、この時期にデモ行進を行うことは好ましくありません。 しかし、困窮者、不安を抱える市民の声を無視してはいけないのは間違いないと思います。 表題が過激なのでご紹介するのもはばかられますが、三橋貴明さんのブログの一節がズバリ指摘しています。 <以下引用です。> 「政府に頼るな! 金クレクレ乞食が!」 「事前に対策

        • こんな時期だからこそ

          懐かしい友人からメッセージがありました。 メッセージに添えられたリンク。 M.J マイケル・ジャクソンの名曲「Heal The World」でした。 リアルなこともしっかりやりながら、 その後を考えて、 今から良い種を蒔く。 まずは、自分の心の中に種を蒔く。 でも、心が荒んでいれば、良い種を蒔いても、岩の上に蒔かれた種のごとし。 心を耕すには、芸術、音楽や絵画。 そんなことを改めて気づかされました。 友に感謝です。 #きっと良くなる https:

        「バカの壁」を超える梯子の作り方(3) 〜動画解説版

        再生

        マガジン

        • 「バカの壁」を超える梯子の作り方
          2本

        記事

          第2次冷戦構造と「IT全体主義」の浸透(優位)〜読売朝刊ニール・ファーガソン(歴史家)記事より

          読売朝刊ニール・ファーガソン(歴史家)記事。 ①最悪の被害は貧困地域 ②疫病はいずれ終息 ③世界景気は後退 ④主戦場をネットにした米中冷戦の継続 ↑ ①は、残念だが、挽回不能…。 ③も、②同様、いつまでも続きはしない。 いずれ、復活するだろう。 但し、④の関係で違う形で復活せざるを得ない。 ④が重要だろう。 IT技術・機器を駆使し、民衆の行動と思想までも統制する「IT全体主義」の中国。 その中国が、社会的インフラとなったIT技術や機器、物資の生産においても、米国ほか自

          第2次冷戦構造と「IT全体主義」の浸透(優位)〜読売朝刊ニール・ファーガソン(歴史家)記事より

          +5

          春の美味しいもの❗️

          春の美味しいもの❗️

          +5

          今日の名古屋能楽堂前の小径

          今日の名古屋能楽堂前の小径

          議論、交渉、説得の理想形

          議論、交渉、説得は、何のために行うのでしょうか。 なぜ、力づくで無理やり言うことを聞かせないのでしょうか。 基本的に、人は個人として尊重され、自由が保障されているからですね。 その自由、権利、利益は、法律で保障されています。 つまり、いざとなったら裁判所で守ってもらえる、ということです。 なら、法律に反しないすれすれのところで、脅し、騙し、泣き落としをすればよいかというと、昨日書いたとおり、いつかリベンジされる恐れが生まれます。 自分でなくても、他の身内、仲間、会

          議論、交渉、説得の理想形

          小細工は一回的

          脅し、騙し、泣き落としが通じるのは1回限り。 脅され、騙され、泣き落とされて道を譲らされた者は忘れない。 された者からのリベンジを物ともしないだけの圧倒的な力量差があるか、どこまでも逃げて逃げ切る覚悟がある場合でないと使えない。

          小細工は一回的

          交渉術

          脅し、騙し、泣き落としに負ける交渉者はジュブナイル。 脅し、騙し、泣き落としで勝てると思う交渉者もまた同じ。

          +2

          【寄与分について】(受任時配布図解)※医師の初診カルテの役割

          【寄与分について】(受任時配布図解)※医師の初診カルテの役割

          +2

          「バカの壁」登坂(突破)責任の所在

          「バカの壁」が誰かとの間に存在するようだ。 そう気づいたとき、「バカの壁」を超えていく努力は誰がしたらよいのでしょうか。 「どうも話が噛み合わないな。」 「どうして分かってくれないのだ。」 「理解力が無いのか?」 そう感じたときどうしたらよいのでしょう。 裁判では、「主張立証責任」という概念があります。 それぞれが、自分に有利な事実について「主張立証責任」があるとされています。 このことを「主張立証責任の分配」といいます。 「バカの壁」登坂(突破)責任、とで

          「バカの壁」登坂(突破)責任の所在

          議論は何のためにするのか

          話せば分かるはずが、話しても、ますます分からないときがあります。 現代は情報社会。 欲しい情報は瞬時に入手可能、専門家の意見も簡単に聞けます。 欲しい情報を得て有頂天になると、誰かに伝えたくなります。 しかし、自分が容易に得た情報は他の誰もが知っている可能性が高いです。 他の誰もが自分のように、その情報を獲得している可能性を忘れます。 得意満面で情報発信し、少し反論されると、 自分の存在が否定されたような気になり、感情的対立になります。 何のために情報発信する

          議論は何のためにするのか

          「バカの壁」を超える梯子の作り方

          私は、平成7年登録の愛知県弁護士会登録の弁護士です。弁護士生活も25年を超えました。 弁護士の仕事は、対人交渉であり、説得ですが、一番大切な交渉先、説得相手は、裁判官です。法治国家の日本では、紛争の解決は法に則って行われます。当事者間での交渉、解決が行き詰まったとき、紛争を解決してくれる制度が裁判制度です。 裁判所はどんなところでしょうか。一般の取引社会、学校と、どう違うのでしょうか。 裁判所とは、私が習った憲法の教科書には、「純理性的な法原理機関」である、とされていまし

          「バカの壁」を超える梯子の作り方