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退職代行を使うと後悔する?退職代行3つの種類とメリット・デメリット

会社を辞めたいけど伝えられない!そんな労働者の「辞めたい」ニーズに応えたサービス「退職代行」。しかし、退職代行にもメリット・デメリットがありますので、あとで後悔しないようによく理解した上で利用しましょう。

退職代行とはどういったサービスなのか?

退職代行とは、会社を辞めることを本人に代わって会社に伝えるというサービスです。何らかの理由で退職を言い出せない場合に利用されることが多く、近年利用者が増えていると言われております。
しかし、退職代行といっても業者によってサービスの内容が異なりますので注意が必要です。

退職代行3つの種類とメリット・デメリット

退職代行には、運営元によって概ね3つの種類に分けられます。
1 弁護士が運営・対応するもの
2 労働組合が運営・対応するもの
3 それ以外の民間企業が運営・対応するもの

1は弁護士が代理人として対応するので交渉から裁判まで何でもできます。
有給休暇の消化といった細かい交渉や残業代の請求など、専門的知見に基づいた正確で柔軟な対応ができる反面、相応の費用が掛かります。
2は労働組合が団体として対応するので交渉はできますが、裁判まではできません。比較的料金が安い傾向にあり、一応細かい交渉などにも対応できる反面、専門的知見は弁護士に劣ります。
3は一般の民間業者が対応するので「辞める」ことを会社に伝えることはできますが、交渉や裁判などはできません。比較的料金が安く対応も早い傾向にありますが、交渉ができないので細かい調整はできません。

退職代行の注意点

1 必ず即日で辞められるわけではない

会社が応じてくれれば即日退社も可能ですが、そうでない場合、基本的には辞めることを伝えてから2週間は働く義務が発生します。そのため、退職代行に依頼したからといって、必ずその日に辞められるわけではありません。
もっとも、即日で辞めさせてもらえるよう交渉することは可能ですし、有給休暇をその2週間に充てることで会社に出社しないなどの調整も可能です。

2 本人確認を求められることがある

会社によっては本人確認を必要とします。なぜなら、本当に本人が退職代行に依頼しているのかどうか会社には分からないからです。そのため、本人確認のための電話連絡や委任状の提出などが必要になる場合があります。
特に弁護士以外の退職代行を利用する場合は、会社としても慎重に本人確認をする必要があるため注意が必要です。

3 会社が素直に対応をしてくれないことがある

退職代行を利用して辞めることを伝えた後、素直に応じてくれる会社であれば何も問題はありません。
しかし、そうでない会社の場合、不当な損害賠償請求をしてきたり、離職票の発行など必要な対応をしてくれないことがあるため、退職後も不要な問題を抱えることがあります(#そもそも適切な対応をする会社であれば退職代行を利用してまで辞める必要がない)。
もちろん、そうした問題も最終的には解決できますが、適切な対応が必要になるので労力がかかり心労も絶えません。

どの退職代行がお勧めか?

筆者が弁護士ということもありますが、やはり弁護士が運営・対応する退職代行をお勧めします。なぜなら、実際の退職には法的主張を含む交渉が必要になる場合がほとんどであり、そうした交渉は国家資格をもった専門家による対応が一番安心できるからです(#そのための国家資格#餅は餅屋)。
また、不当な損害賠償請求や会社からの嫌がらせなどについても、弁護士がいる場合といない場合とでは抑止力が異なります。
したがって、弁護士が運営・対応する退職代行をお勧めします。
なお、少なくとも一般の民間業者が運営する退職代行はお勧めしません。なぜなら、伝えるだけなら退職届を会社に郵送すれば足りるので、お金を払ってまで依頼するメリットがないですし、それで解決しないのであれば交渉が必要になるので一般の民間業者では出来ないからです。※1

バックレるとどうなるか?

ところで、そもそも会社に辞めることを伝えるのが面倒だ!などの理由で突然会社に行かなくなり、意図的に音信不通になる「バックレ」をするとどうなるのでしょうか?
結論としては損害賠償請求を受けることがありますのでお勧めできません。
上記で述べたとおり、会社を今すぐ辞めたいという場合、即日で辞めるためには会社が応じる必要があります(合意退職)。仮に会社が即日退職に応じない場合は、退職を申し出てから少なくとも2週間の経過が必要です。そのため、その2週間は労働者に働く義務が発生しています。※2「会社の辞め方(退職届の書式付)」
バックレるとこの働く義務に違反することになりますので、ときには会社から「突然いなくなったことで会社に損害が生じた!」として損害賠償請求を受けることがあります。
もちろん、実際に損害賠償が認められるケースは少ないですし、仮に認められたとしても金額としては少額にとどまることが多いです。
しかし、だからといってバックレるのは不要な争いを生みかねないので、たとえ面倒であったとしても、あとで問題になったときの労力や心労と比べれば、必ず事前に辞めることを伝えた方がよいでしょう。

事務所HPーーーーーーーーーーーー
>>林法律事務所 

※1 実際は「非弁行為」といって弁護士資格のない者が交渉まで行っている場合があるため、違法行為として問題になっています(#医師免許のない一般人が手術をするようなもの)。

※2 退職に関する説明はこちら→「会社の辞め方(退職届の書式付)」

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