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現存する日本最古のアブサン

皆様アブサンという固有名詞はご存知


100年前に幻覚作用があるとし、禁止され
かの著名な芸術家達が愛飲したアレ

禁止というが禁止された国は一部

1898年にアフリカの
コンゴでのアブサン飲用禁止を皮切りに
1905年 ベルギー
1907年アルゼンチン
1909年オランダ
1909年ニュージーランド
1910年スイス
1912年アメリカ
1913年イタリア
1914年モロッコ
1915年フランス

禁止された国はたったこれだけだ

アブサンというかアニス酒大国
スペイン、ポルトガル等では生産は続行されたし、禁止国がスペインに拠点を移したりする
わけで抜け道はたっぷりだ
無論日本でも作らていた

アブサンに関してはBenFiddichの
アメブロでたくさん書いてあるので
皆様見てほしい

皆が思ってるほど危険ではない

幻覚作用なんてないも同然の

昨今

ウィスキーが
クラフトジンが
クラフトビールが
ワインが
昨今流動的に流行るように
その土地の特性のテロワールを活かして
その地域でしかなし得ない武器を抱え
たくさんの造り手が
世界同時多発的に増えた
無論、アブサンも。
日本国内でも国産アブサン
が徐々に増えてきている


今回は日本生まれの古酒アブサンについて


日本アブサンの古酒について
鹿山主観の定義がある


古酒国産アブサンにおいては日本の戦後初期もしくは太平洋戦争突入前段階で誕生

1940年代〜
〜1990年代

国産アブサンについては
この期間が古酒としたいとこ

1940年〜1990年代前半まで
国産アブサンは作られており、
その後新しく国産アブサンが誕生するのは
2010年以降。
空白の20年がある


ここで本題
日本において最も
古い国産アブサンは
何か?

【TOMY Extra-Absinthe】 /Japan,
Tokyo Jyozo, ?% vol.

この神奈川県藤沢市にかつてあった東京醸造

現時点ではこのボトルが(中身あり)
現存する日本最古の国産アブサンであり
日本において
最初に国産アブサンを作った
最古の蒸留所である

友人のアブサンコレクターが所有しており
拝借

東京醸造は1924年 (大正13年) に設立
壽屋 (後のサントリー) が発売した
初の国産ウイスキー
『サントリー白札』(1929年) に続き、
1937年 (昭和12年) に国産ウィスキー第2号
『トミー・モルトウイスキー』
を販売した藤沢の蒸留所
竹鶴政孝の現ニッカウィスキーより古い
(1940年)
東京醸造は1955年 (昭和30年) に
閉鎖
東京醸造で『トミー』の名称が
使われ始めたのが
『トミーウイスキー』の販売後、
なので1937年からというのがわかる。
『トミーアブサン』が
1937年-1955年の間に造られたのだ。

さらには裏ラベルの写真を見てほしい
このボトルにおいては
卸売業者『和歌山縣酒類販賣株式會社』
とあるが、
『道府県酒類販売株式会社』
は流通統制のため1941年に設立されたもの。
戦後の1949年には統制が解除され、
別の卸売業者に変わってるので
その間のボトル
すなわち1941-1948年、
上限は1937年

上記写真が東京醸造
1924年〜1955年
下記写真が昭和26年のポスター
『トミーアブサン』も記載されている。
ということは
1951年(昭和26年)には
流通している事実も立証できる

この他にも国産アブサンはあった

サントリーヘルメスアブサン(大阪)
モロゾフアブサン(山梨)
旭興業アリスアブサン(山梨)
東洋醸造ドルフィンアブサン(静岡)


今まではサントリーヘルメスアブサンが
国産アブサン最古というのが定説であった
しかしそれが
2019年に
『トミーアブサン』がオークションに
出品されたことによって
日本アブサン界がザワザワした

BenFiddichにある最も古い国産アブサン

(右)Suntory Hermes Absinthe 1960’s
(左)kotobukiya Hermes Absinthe 1960’s


「寿屋」
から
「サントリー株式会社」
に社名変更したのが
1963年
1963年社名変更以降も2〜3年は
【寿屋表記】を使用していたと
サントリー様からお聞きしたので

(右)Suntory Hermes Absinthe
1965,6年以降~

(左)kotobukiya Hermes Absinthe
1965,6年以前
となる

因みにsuntory Hermes Absinthe
のそれ以降の変換は
度数68度→度数58度に落ちる

58度緑ボトル 1970年代前期
58度茶ボトル1970年代後期〜80年代前期
58度白ラベル1980年代後期〜90年代半ば

因みに興味深い事実がある
Jan Hartmannという科学者であり
アブサンマニアの男が
日本の古酒アブサンを
ガスクロマトグラフィーにかけ
分析結果を出した

①Morozoff 68 (最初期):保存状態 ◎。
ベースはワインアルコール。
Thujone濃度は 1 mg/L (1 ppm)。

**②Santory Hermes 68:保存状態 ○。
ベースはワインアルコール。
Thujone濃度は 14 mg/L (14 ppm)。 **

③Santory Hermes 58 (緑瓶):保存状態 ○。
ベースはワインアルコール。
Thujone濃度は 6 mg/L (6 ppm)。

**④TOMY Absinthe:保存状態 ○。
ベースはグレーンアルコール。
アニスはほとんど含まれない。
Thujone濃度は 1 mg/L (1 ppm)。 **

特筆すべきはHermes Absinthe 68度だけ
しっかりとしている。それ以降のHermes AbsintheはThujone濃度が下がってしまう

しかしHermes Absinthe 68度のブランド価値は立証された

話は戻り

1960年代はヘルメスアブサンだけではない
東京オリンピックで沸いた1960年代
日本の戦後復興の隆盛期
奇跡の昭和30年代
アブサン界も沸いている



[Alice Extrait D'Absinthe] /Japan, Asahi-kogyo (旭興業), 68% vol.
こちらは山梨で作られていたアブサン
1960年代だ


Morozoff Absinthe (1972以前) (山梨)
とある鹿児島のBarにて













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