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G おろうそくを想う(2)

浄土真宗の宗派門信徒団体にご縁が出来たころ、築地本願寺の教務所に誘われ東日本大震災の被災地である福島の田村市に出向き、慰労や激励をする行事について行ったことがあります。ステージで地元の芸能を鑑賞出来たり、我々のように外から出向く団体はブースを構えて模擬店を出し収益を現地に寄付するような行事です。

見出し写真は広い斜面に、亡くなられた方へ奉げる意味や、被災された方々の安穏を祈る意味で灯りをともす儀式の風景です。竹の筒にろうそくを立てて一本一本灯をつけて日が暮れるのを待つのでした。

さきに「灯りはほとけさんの智慧」と書きましたが、この日は日が暮れたあとの様子は「ほとけさんと人間が交わっているような感覚」でした。とくにそれを印象付けられたのは、たくさんの灯りのうちの真ん中に、ひとつの言葉の灯りが表れたのを見た時です。

そこには「がんばりましょう 熊本」と書かれていました。

東日本大震災のあと、熊本でも大きな地震災害があり尊いいのちが失われました。福島の方々はまだ自分たちの地域の復興もなかなか進まないなかで、熊本へのエールを送られたのです。しかも我々参加者が灯した一本一本の灯りが、それに転ぜられる形で文字になって表れたのです。

目頭が熱くなりました。ツーンとなりました。のちに知りましたが福島の方々の行為は「恩送り」という心のはたらきによるものだそうです。ほとけさんと人間が交わっているようなこの感覚については、あらためてまた書いてみようと思います。