22ー23 PL 第19節 エヴァートン対ブライトン 【三笘薫】【Goodison Park】

 プレミアリーグ第19節、前節シティと引き分けたエヴァートンとアーセナルに敗れたものの好調を維持するブライトンの一戦は、イングランド北西部に位置するエヴァートンのホーム、Goodison Parkにて、冷たい雨の降りしきるなか開催された

スタメン

GKはサンチェス

DFは右からフェルトマン、ダンク、コルウィル、エストゥピニャンの4バック

ダブルボランチにカイセドとグロス、二列目が右からマーチ、サルミエント、三笘

ワントップに18歳のファーガソン。4ー2ー3ー1で挑んだ

【前半】
前節エティハドから勝ち点を持ち帰ってきたエヴァートン。その勢いもあってか立ち上がりはホームチームが積極的に出た

4分、敵陣で得たFKの流れからイウォビがPA内でシュートするも、サンチェスが左手一本のセーブを見せ、決定機を防いだ

5分、ブライトン陣内でボールを奪い切ることに成功したエヴァートン。ガラ空きの逆サイドに振って、最後はトム・デイビスがシュートを打つがサンチェスが難なくキャッチした

立ち上がりのエヴァートンの勢いにひるまされながらも、徐々に自分たちのサッカーを取り戻していったブライトン。9分にはマーチがサイドでの一対一を制して右足でクロスを上げると逆サイドで待っていた三笘にピシャリ。先制点かと思ったが、三笘のヘディングは当たり損なって枠内を大きく外れてしまった

13分。先制点が入る。右側でボールを持ったカイセドが大きくサイドチェンジ。このボールが広大なスペースの左サイドで待っていた三笘に渡る。僅か2タッチのドリブルでPAに侵入した三笘は最後はブロックに入ったタルコフスキーの股を抜けていき右足一閃。ゴールネットを揺らした

19分。ブライトンに追加点のチャンス。ボールを奪ってからエストゥピニャンがドリブルで運び、サイドで待っていた三笘にボールが渡る。相手の意表を突いた右足のアウトサイドキックでのクロスに合わせたのは中で待っていたファーガソン。ダイレクトで打ったシュートは惜しくもポストに当たる

24分、またしても中盤でボールを奪ってから、三笘からカイセドへ。数的有利になりながら相手ゴールに迫るブライトン。ファーガソンがゴールとほぼ正対した角度から放ったシュートはクロスバーの少し上を逸れたが、サイドをおとりに使いつつ、良い判断だった

直後、マクニールから右サイドから面白いアーリークロスを上げるがこれをサンチェスが前に出て防いだ。25分にはブライトンの良いビルドアップからグロス、そしてサイドに開いていた三笘へ。パターソンを悠々抜き去りポケットからグラウンダーのクロスを入れるがコーディーがクリアに入った。思わずブライトンサポーターから三笘チャントが流れるほど、ワクワクするシーンだった

前半の終盤にはペナルティエリアの外でサンチェスが手を使ったかに見えた際どいシーンも飛び出したが、主審の笛は鳴らず。ブライトンも追加点を奪うことは出来ずに、1ー0で前半を折り返した

【後半】
後半も押せ押せのブライトン。随所にエヴァートンより好調であることを見せる。開始早々の1分にファーガソンがボールを受けてシュート。惜しくも枠の上を超えた

5分。ブライトンに待望の追加点が入る。右サイドのビルドアップから左のサイドライン付近で待っていた三笘へ。エストゥピニャンに戻して、エストゥピニャンからポケットに巧みに侵入してきたサルミエントへ。三笘、エストゥピニャンの左サイドを警戒しすぎる余り、ボールウォッチャーになってしまっていたエヴァートンの守備陣を出し抜き、グラウンダーのクロスをファーガソンが18歳らしからぬ落ち着きぶりで押し込む。2ー0。トレーニングかと思うほど完璧なゴールシーンで、ベンチのデゼルビも嬉しそうだった

9分にブライトンに3点目が入る。やや集中力の切れたエヴァートンが簡単にファーガソンに前を向かせると、右サイドのマーチへ。最後はタルコフスキーを転がせて、ピックフォードも動けない完璧なゴールを冷静に流し込んだ。11分、ゲームを終わらせる4点目が入る。FKのボールが大きく逸れた後、ゲイエのバックパスが中途半端になり掻っ攫ったグロスが最後はチップシュートでゴール。グロスのゴールに喜びコーナーフラッグに駆け寄るブライトンの選手達とお互いに責任を擦りつけあうゲイエとピックフォードの姿が対照的だった。


【総括】

エヴァートンも試合終了間際にPKで一点を返したが、結果は1ー4でアウェイのブライトンの快勝

エヴァートンは点数ほど悪いパフォーマンスではなかったと思う。それでも細かいところの個の能力と作り込みの完成度の差が違いを分けた気がする

グレイと三笘、マクニールとマーチは総合的な能力ではそれほど大きな差はない。しかしこの試合での活躍の差は歴然だった。理由の一つにはブライトンのセンターバックは相手FWを充分に引き寄せてからパスを出してくれることにあると思う。特にチェルシーからローンでやってきたコルウィルは印象的だ。エヴァートンのFWカルバートルーウィンも良いプレスの掛け方をしていたが、センターバックからボールを奪うまでには至っていない。コルウィルが左利きであることは大きい。左利きだと相手からボールを隠せるから奪われることが少ない。そうして充分に引き寄せてからカイセドやグロス、エストゥピニャンへ、彼らから三笘やマーチにボールが渡るからサイドの二人は良い形でボールを受けることが出来る

逆にエヴァートンの両センターバック、コーディとタルコフスキーはイングランド代表クラスの良い守備者だが、この試合ではボールを持ったら簡単に中盤やサイドに預けてしまうシーンが目立った。サイドはプレスの嵌めどころになるし、ゲイエ、デイビス、イウォビの中盤もボールを持てばカイセドやグロスがすぐに寄せてくるから、取られてショートカウンターをくらうシーンは一度や二度ではなかった。ランパードはセンターバックに関してはエアバトルや対人能力に長けた古典的なタイプを好みがちなのかもしれない。それが功を奏する場合もあるがこの試合のように主体的にゲームを進めようとするとボール運びに障害が生じる

三笘は素晴らしかった。恐らくプレミアリーグに降り立ってからのベストゲームだろう。エヴァートンの幸先が良かっただけに三笘のワールドクラスのゴールシーンは相手に想像以上のダメージを与えたに相違ない。又、エストゥピニャンを助けるプレスバック、ボール奪取等守備での貢献もピカイチだった。それだけに怪我には気をつけてほしい。エヴァートンは要所要所でアフター気味のタックルが目立っただけに(それもブライトンの選手がギリギリまで引きつけてからパスを出すので致し方ない部分はあるが)球離れが早かったのは幸いだった

10日後にはエヴァートンの隣人リヴァプールをホームに迎えることになる。今のブライトンならリヴァプールが相手であっても主導権を握った戦いを展開出来るだろう

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