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まにまに

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感じたままに、つづる。
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2018年10月の記事一覧

風土に息づく、小石原焼。

「こんにちは!」 見知らぬ女の子が、わたしに駆け寄ってきた。 何気ない感じで挨拶をした。 それは、ごくごく自然に。 まるで、息をするように。 緊張なんてことばは、 そのきらきらとした笑顔からは、 まったく感じられなかった。 おどおどしながら、わたしも返事を返す。 言った後は、さっぱり気持ち良い気分になっていた。 日差しが照りつける夏の日に、 おいしい水をごくりと飲んだ、 そんな気分だった。 それと同時に、凝り固まっていた気持ちがほぐれたような気がした。 少

いつも、とくべつ。

いつもの朝が、 とくべつな朝に、 変わるとき。 いまから降るだろう雨の匂い、 少しじめっとした頰を撫でる空気、 まばらに道を歩く通行人。 見える景色も、聴こえる音も、 いつもと同じはずなのに、 まったく、ちがう。 明るく、ちがう。 なぜだか、愛おしい。 すやすや光る北極星、 心地よい鈴虫のメロディー、 ひんやりしたはらっぱの感触。 夜がこのまま明けて欲しくないと、 心の中で密かに願った、永い夜。 あたたかな木漏れ日を纏う感情は、 いつもをとくべつにしてくれた。