すごく田舎に住んでいたときの話

こんばんは。id_butterです。
今日はただの昔話です。

元夫と付き合っていたころ、田舎に住んでいたことがある。
そのときのことを思い出すたびに、じわりと笑いがこみ上げる。
珍妙?という言葉が一番近い。

川のそばに住んでいた。
すぐそこには山がいくつも見えていて、隣の駅はナントカ温泉だった。
いわゆる田舎、だけれど駅のそばだったし、馴染むつもりもなかったし、馴染めなくてもそんなに困らないだろう、そう思っていた。

けれど、それは甘かった。

まずは、仕事探し。
田舎なので、まず選択肢が少ない。
工場で働きたくなかったので、事務職を探すと、月給15万がいいところで、受けられるところも限られていた。

1社目。
筆記試験には為替レートやら日経平均株価が出題される。
その頃ひまだったわたしは、新聞に目を通していたので、うっかり正解してしまった。
面接で、なぜか面接官のおじさまたちに薄ら笑いされる。
「なんで、答えられたの?」
落とされたことは結果を見なくてももうわかった。
点数が低い方が受かるということを初めて知る。
おそらく、出身大学とかも正直に書くべきではなく、詐称すべきだった。

3社目。
受かったには、受かった。
けれど、人事の方は初日から不穏なことを言ってくる。
「たぶん力が、余っちゃうんじゃないかな。本当にここで働くの?」
…働くしかないのだ、あいにく。っていうかなんで受かったの?
素知らぬふりで、笑顔で頷いた。
翌日、早速やらかした。
年下の先輩に教えてもらった仕事を終わらせて、早速反感を買う。
3年間働いてきたその先輩がいつも5日間かけてやる仕事を、わたしは1日かからずに終わらせてしまったらしかった。
部署はざわつき、嫌われているであろうやり手の上司の視線が刺さる。
そうならそうと、早く教えてくれ。

どうやら、ここではわたしは優秀らしかった。
大学でもバイト先でも特にそんなことはなかったため、困惑する。
おかげで、大変な仕事を次から次に押し付けられ、辞めた先輩の仕事のミスを説明するため、役員室にまで連れて行かれた。
そのとき、入社1ヶ月だ。
人事の方の心配は、杞憂ではなかったことになる。


次に、住み始めたマンション。
引っ越した当日、驚いた。
窓ガラスが割れており、ダンボールで塞がれていた。
春先だけど、夜は冷える。
不動産屋に走ったが、1週間以内に直します、と普通に言われる。
風が吹き込む部屋で、5日を過ごした。家賃も同額払えとのことだった。
他をあたろうにも、不動産屋は少なく、みんなお友達なので無駄だった。
わたしがおかしいのか?…困惑。

自転車置き場があると聞いていたが、実際にはなく、これも不動産屋に聞いてみた。場所はないので、毎日自転車を持って3階まで上がって欲しい、と言われる。いや、自転車持って階段上がれないんだけど。踊り場のところ曲がれないしね。
わたしがおかしいのか?…困惑。(再)


極め付けは、マンションの大家さんだった。
大家さんはそのマンションの最上階に住んでおり、いつも飲み歩いており帰るのは深夜だった。

困るのが家賃である。
手渡しで、と言われているのだが、わたしは彼が帰ってくるときにはもう寝ており、わたしが起きている時間は寝ている。
いつ行ってもいないので、延滞しているような状況に陥る。
すると、深夜2時、家のドアがガンガン叩かれる。
「家賃、はらってないよ、〇〇さん、家賃〜。や〜ち〜ん〜!!!」
飛び起きて、酒臭い大家さんに家賃をやっと払う。
「いや、〇〇さん、急いでいるわけじゃないんだよ?でもね?」
話が長いのにも困った。
延滞しているこっちが悪い、と言いたいらしい。

それだけではなかった。
マンションの一階の隅に少し大きめのプレハブ?物置?があった。
広さは二畳くらいだろうか。
ある日、そこにおばあさんが住んでいることを知った。

そのおばあさんは、なんとオーナーのおじいちゃんの愛人だった。
マンションの最上階は、オーナーの別宅なのに、そこには入れてもらえないらしい。オーナーのおじいちゃんとおばあちゃんは、そのプレハブだか物置だかで愛を育んでいた。
いまだによくわからない。

どのエピソードもなんかシュールで現実感がない。
自分の体験なのに、パラレルワールドで起きたことみたいに感じる。
一番不思議なのは、それに耐えている自分自身だ。

今思えば、あの場所はわたしがいるべき場所じゃなかった。
次々とトラブルが起こるのに、我慢強いわたしはなぜか2年間くらい耐えてしまった。

トラブルは、スピリチュアル的にいうとお知らせみたいなやつで、ここにいるべきじゃないよ、と教えてくれていたのかなと思う。

でも、思い返すとそのトラブルがありえなすぎた。

その街で唯一?のよき思い出は、パン屋さんのメープルメロンパンと食パンがものすごくフッカフカでおいしかったこと。
宇宙人と地球人にも食べさせてあげたいけど、あの店は今でもあるかなぁ。

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