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18禁じゃないスピリチュアル 緑のドア 〜忿怒

こんばんは。id_butterです。

突然ですが。
怒りには、4種類あるらしいです。
赤(憤)・青(怒)・白(忿)・玄(怨)
アンの怒りは、真っ白に見えたので、「忿怒ふんぬ」というサブタイトルをつけました。
彼女がどうか癒されて安らかに生きられますように。

▼前回

内容が、自分で書きながらお腹痛くなりました。
性的・暴力的な表現を含みます。
自分の中にあったものが怖くなってしまったので、途中から有料設定にさせていただきました。すみません。
今回がなしでもなるべく話がつながるように短めで終わります。

▼次回はこちら。続きます。


●アンside

アーニャ様が何度も何度も自殺を繰り返している、そう気づいたのはトイレに起きた夜がきっかけだった。
泣き叫びながら、窓から身を投げ、その姿は窓の外に消えて見えなくなる。
驚いて、窓に走った。

何も見えなかった。
振り返って誰もいないベッドを見て、現実だと確信する。
その日は、呆然としてそのまま朝を迎えた。

城と薬師に連絡をしなくては、とやっとのことで立ち上がり、振り返ったわたしの全身から力が抜ける。
ベッドに、アーニャ様が横たわっているのだった。
驚いて駆け寄って、鼻に手を当てる。
手に息があたり、生きているのがわかって、安堵すると涙が止まらなくなった。よかった。素直にそう思えた。

夢を見たのだ、そう思えたのは一度目だけだった。

その「自殺」は毎晩続いた。
それでやっと気づいたのだ。
毎日残される食事が切り刻んであるだけで、実は一口も減っていないこと。
水すら、取っていない。
背筋が凍った。

目の前のこの女は、一体誰なんだ。
何者なんだろう。
少なくとも、普通の人間でないことは確かだった。

アーニャの形をした誰かは、わたしの前で油断しているようだった。
自殺未遂の翌日は、必ず違う誰かが入っている。
ボソリと呟く。
いらなければ、殺してしまえばいい。
わたしに聞こえるか聞こえないかというギリギリの声量だった。
油断ではなく、牽制がしたいらしい。

このひとは、わたしの罪を知っている。
アーニャ様が知らない、わたしの罪を知っているとそう言っている。

わたしは、アーニャ様に嫉妬していた。
あの頃のアーニャ様は、わたしが欲しいものをすべて持っていた。
陶器のような白い肌にきらきらと朝日に光る髪、びっしりと生えたまつげに縁取られた濡れたような瞳、すんなりと伸びた脚。
笑うと花が咲いたようで、誰からも当然のように愛されていた。
すべてが完璧だった。
密かに憧れていたヒース様はいつもアーニャ様を目で追っていたし、サキ様がわたしと仲よくしてくださるのも、結局アーニャ様のお世話をわたしがしているからに過ぎない。
けれど、そんな嫉妬すら吹き飛ばしてしまうくらいかわいらしく、何よりわたし自身がアーニャ様を大好きだったのだからしょうがない。

だから、自分の中で折り合いはついていたはずだった。
実際あの時まではうまくいっていたし、わたしは自身の中の嫉妬にも気づいていなかったくらいだった。

きっかけは薬師といって現れたあの男の一言だった。

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