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クレーム社会が日本を壊す ~サービスの現場にリスペクトを取り戻したい~


私は18歳で社会人になってから、ずっと現場の叩き上げです。駅員、車掌、土産物屋店員、ツアーガイド、旅行会社。今、自分で会社を経営しています。サービスやクレームに関する講演や研修も引き受けています。

現場の最前線にいますから、クレームと無縁ではいられません。残念なことですが、現場ではクレームが必ず起きます。サービス業だけではなく、公務員であれ、病院であれ、技術系職場でもクレームは起きます。

会社では研修を行ったり、先輩が後輩に指導したりして、クレームに対応しますが、根本治療にはなりません。なぜなら、クレーム対応の多くは「対症療法」だからです。今、起きてしまったクレームに対して、誠心誠意お詫びして、納得のいく謝罪と対応でその場をいかに収めるか、みたいな話です。

おまけに、

「とにかく謝っておけ」「誠心誠意、お話を伺え」

のような精神論が蔓延していて、現場のスタッフは疲弊し、心が折れ、精神を病んでしまったり、退職してしまうケースも多いです。一度きりの人生を、理不尽やクレームや会社の援護や上司の保護もなく、現場の最前線のスタッフが使い捨てにされてしまう現実。

心が折れてしまったり、燃え尽きてしまう人は、真面目な方が多いのです。クレームを真正面から受け止めてしまい、組織のバックアップもなく、個人攻撃をされてしまって、精神が持たない。

先日もある場面で、高齢の男性が、自分の孫くらいの年齢の女性スタッフを怒鳴りつけているのをみて、本当に不愉快でした。

あるホテルのカフェではいい歳をした身なりのよい年配の女性が、若い男性スタッフに暴言を吐いていました。年配の女性、興奮して感情爆発し、カフェ全体が騒然となったので、これはいかんと、私は女性を静止しましたが、感情をコントロールできない年配の女性は私にも目をひん剥いて、怒鳴りつけて来ました。70歳はゆうに超えているであろう、もうおばあちゃんですよ。

この老婆(身なりは良い)私に「お前は関係ないだろうがー」と言うので、「お前みたいな迷惑客こそ出ていけ!」と私は怒鳴り返しましたよ。

あとで、カフェの責任者が、私のところに謝りに来ましたが、これはカフェの責任じゃないです。理由はどうあれ、こんなお客をのさばらしてはいけない。言葉は悪いかも知れませんが、この手の人は必ず他でもやるんです。

これが生まれて初めての大声じゃない。だから、対応を間違えてはいけないのです。コメ付きバッタみたいに、へこへこ謝るから、調子に乗って、他でもやるのです。単なるストレスのはけ口です。

もちろん、まともなクレーム客をクレーマー扱いしてはダメです。そこを間違えて取り換えしがつかなくなる事例もあります。

いったい、日本はどうしちゃったのでしょうか。良い年をした年配の、人生経験も豊富な高齢者が自分の孫くらいの歳のスタッフ、店員さんを怒鳴り散らす。後進国ならいざ知らず、欧米ではおよそ見かけない光景です。

自分の孫も、もう働いているでしょうから、同じように他人様から怒鳴りつけられていたらどう思うのでしょう。

私はこのような場面を見ることが増え(もちろん、私も数え切れないくらい、現場で同様の経験をしています。

「このままじゃ、日本は壊れてしまう」と危機感を覚えて、ユーチューブ動画で「サービスの本質チャンネル」を開設して、サービスとクレームに関する本質的な考え方をアップしています。

最大の閲覧回数を頂いている、

「いきなり大声を出す人への対応」(ユーチューブ動画)

は今日現在で10万回以上再生されています。

クレーム系動画では最大の再生回数です。皆さん、本当にお困りなんだと思います。日本を何とかしないといけない。

クレーム対応には注意すべき点がいくつかあります。特に経営者の方や個人事業主の方には、次の点をご留意頂きたいのです。

・守るべきはスタッフ
・クレームによる損失は計り知れない
・クレーム対応はサービスではなくリスク管理
・クレーマーの素性と心理を知れば怖くない
・クレーマーを撃退するために必要な3つのこと
 ~気力で負けない、諦めさせる、近寄らせない~
・クレームは、ほぼ撲滅できる
・お客様を選ぶことから逃げない
・おまけや値引きに注意する

クレーム客とクレーマーは明確に区別する必要がありますが、どちらにせよ、クレームが起きてしまうのであれば、そこには「原因」があります。原因がなければ、クレームという現象は起きません。

クレームで失う時間と信頼、精神的な疲弊を考えれば、場当たり的な対処はせずに、本質的なことをきちんと学んでおいてください。自分の身を守るためにも。

現場のスタッフの「働きやすさ改革」をクレーム撲滅の観点から進めて頂ければと思います。


高萩徳宗


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