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サンガサポ浦和潜入記

浦和レッズサポーター。
それは尊敬すべき好敵手であり、唾棄すべき邪悪なる軍団であり、畏怖の対象である…


お久しぶりです。マルモと申します。
京都サンガF.C.のサポーターとなって9年目、今年から就職で京都を離れ、今は東京にいる者です。

さて、関東に都落ち引っ越すにあたって私は思いました。
浦和の応援を体験してみたい…と。

浦和ゴール裏のヤバさは、まあ皆さんご存知かと。
平日アウェイもなんのその、サウジ遠征もなんのその。圧倒的な人数とクオリティが相手に与える圧力は多くのJサポが恐怖を感じてきたことでしょう。
(ついでに定期的に何かやらかしてドン引きされる)

去年のヤツ。たしか平日やぞコレ…

かくいう私も昨年と今年のアウェイ浦和戦で埼玉スタジアムの南に参戦し、それを肌で感じてきました。
それでずっと思っていたのは、「何をどうすればあんなゴール裏ができるのか」という疑問です。
我らが京都サンガのゴール裏も、新スタジアムとJ1昇格の効果もあってかここ数年人数も増えてきて、圧も出てきたと感じます。が…まだまだ敵わない要素が多くあると素直に思います。
サンガのゴール裏をさらに良くしていくために、他所のいい部分は学んでいくべき…というわけで、サンガの順位に影響しなさそうで、時間の被らない浦和の試合を選んで短期留学です。

6月1日 2024年J1第17節 浦和レッズ対ヴィッセル神戸

感じたこと思い出せる限り書き出していきたいと思いますので、なにかの参考になれば幸いです。よろしくお願いします。

本題に入る前に。
本記事では京都サンガサポの目線で浦和のゴール裏を分析しています。ただ京都・浦和のゴール裏がこうあるべき、などという意図はありませんのでそこのところはご了承ください。これを読んだサンガサポが、ご自身の思う理想を実現する際の手段の参考になればと。
それと今回の潜入はどちらのサポからもいい顔をされない内容と理解はしておりますが…寛大に見ていただけると幸いです。

入場まで

浦和美園駅に到着。違和感のない服装として近くのユニクロで黒無地のTシャツを購入し、スタジアムに向かいます。
相変わらずちょっと遠いんだこれが…

晴天の埼玉スタジアム

スタジアムに到着しグッズショップで安めのタオマフを購入。グッズショップはなんかとんでもないことになっておりました。グッズ展開の内容的にはあまり特別なものはないように見えましたが…これも人数のなせる技でしょうか。

やべえ列と映り込むダンマク

何はともあれ、黒のTシャツに浦和のタオマフ。これが今回の戦闘スタイルです。

赤がベースかと思ったら黒やんけ!

今まで立ち入ることのなかった北門から入場。いきなり巨大な一枚幕がお出迎えです。
驚くべきはこの幕、どうも手描きっぽいんですよね…浦和にはお抱え芸術家でもいらっしゃる?もう壁画じゃん。
入場してからも多くの手描き大型フラッグを見かけました。

よく見ると手描き

入場。さいたまスタジアム、やっぱりデカいですね。最前列から最後列の距離はサンガスタジアム下段の6倍近くあるんじゃないか…?


今回の席はこの辺りにしました。中央の黒い円の辺にメインのコールリーダーがいるので、そこが見える席を選びました。
コールリーダーはこの位置でしたが、サブリードみたいな方は各ブロックに複数人いたんじゃないかな…相当な人数いました。

そういえばこの先ほとんど写真もありません。試合中携帯触ってたらぶっ飛ばされっかなって思って…ご了承ください。

試合開始まで

ウォームアップ時に関しては特に言うことがありません。というのも、1つもチャントやってないんですよね。ウォームアップ入場時にやった長い「浦和レッズ」コールの後、結局試合直前の選手入場までチャントはおろか選手コールなどもなかったと記憶しています。
もちろん選手への声援や神戸へのブーイングも散発的に聞こえましたが、コルリからの動きは特になく、反対側にいる神戸サポのチャントがやけに響いてるように感じられる時間でした。「お前らの応援が選手に届くのは今だけだからな」的な心の余裕があるんですかね…

ただ、1回だけやった浦和レッズコールでも感じられるものがありました。
手拍子、半端なくキレイです。全員のタイミングが綺麗に揃ってるとかではないんですが、とにかく手の位置が全員高いです。これは前から見るよりも後ろから見た方が感動できるかもしれません。視界に映る全員の手が上がってると、強烈な同調圧力というか自分も高く掲げないといけない気分になりますね。

これを実現する浦和の工夫として、コルリさんの「タメ」の入れ方があったように思います。
他チームと同様、コルリさんの「浦和レッズ」の後に手拍子、そして声が続くわけなんですが、コルリさんの「浦和レッズ」は6秒くらいかけてたでしょうか。(京都サンガコールは多分2秒くらい)
ゴール裏が広くてコルリからの情報伝達に時間がかかるという浦和特有の事情もあると思いますが、この6秒でサポーターの手が徐々に上がってきていました。いわば予備動作の時間になっており、これによって手拍子の1音目から全員の手が高く揃った状態になっているのだと思います。

スタメン発表も終わり、選手入場前。神戸側はもちろん「神戸讃歌」から始まります。
意外だったのは、団体主導で神戸讃歌の1番に被せるようなチャントなどが入らなかったことでした。もちろん相当人数が大ブーイングしてるんで静かに聞いてるわけではないんですけども。
神戸讃歌の1番が終わってからコルリさんの「俺達も行くぞ」の声が入り、浦和レッズコール、そしてチャント「仕掛けろ浦和」となりました。
意図は分かりませんが、神戸讃歌は神戸に歌わせてあげる形だったのでしょうか…もしかして案外優し

前半

前半は神戸優位の試合展開となりました。(戦術や詳細は特に触れません。分からんですし。)
印象的だったのはやはりブーイングでしょうか。神戸がボールを保持しているとき、特に攻め込んできているときはチャントの途中であってもゴール裏全体がブーイングモードに素早く切り替わり、ピンチを脱するとまた元のちゃんとに戻る、というサイクルになっていました。
ただ、神戸優位になっていた前半は必然的にブーイングの時間が長く、選手もゴール裏もその状況を打開できないままなんか勢いがなくなっていた…というのが率直な感想です。ブーイングのサイクルはこのケースでは裏目に出ているように感じました。

そして15分、フリーになった井出に決められ失点。
失点直後は意外なほど静かでした。ゴールの前の時間帯がチャントだったならそのまま歌い続けてたんでしょうが、長い神戸の時間にブーイングに徹していたためか、ゴールの瞬間からしばらく呆けたような無音の時間に。井出のゴールパフォーマンスが浦和側で行われたのでそれに対して意識を取り戻したかのようにブーイングが始まったのですが…時間にしてわずか5秒の沈黙がずいぶんと長く感じられました。

部外者の分際で何をと思われるでしょうが、この時点での浦和ゴール裏、多分ベストな状態ではなかったんだと思います。京都のゴール裏論争でよく言われるもののひとつに「いい流れの時にしか声が出ない」というのがありますが、程度の差こそあれ浦和でもそういうのあるんだな…っていうのはひとつ発見だったと思います。別に全員が試合展開を超越してるわけじゃない。少なくとも私がいたゴール裏後方エリアはそんな感じでした。

あとこの時点で気づいたのは音域の話でしょうか。
チャントを歌っていた感じとして、京都で使われる曲より低いとか高いとかはあまり感じられませんでした。
浦和の応援は「低音が響く」とか「声が太い」という印象を持っていましたが、これは曲の音程に由来するものではなく、声の出し方、あるいは男女比なんかに由来してるんでしょうか。この辺ははっきり分かりませんでした。なんならこれが1番知りたかったけど…
単純にみんなが大声出してるってだけの話な気もします。それが一番難しいんですけどね。

前半はあまりいいところなく終了。
最悪この時点でブーイングとかあるんだろうか、と思ってたんですが、なかったですね。というかこの日は浦和の選手へのブーイングは結局一つもありませんでした。
ブーイングするとしても試合が終了してから、みたいなこだわりはありそうです。

この前半だけで浦和の応援が大したことないなんて言うつもりは全くありません。実際声量に関しては後ろの方の席だった都合上分かりにくかっただけで相当出てたと思いますし。
それでも、試合の流れを強制的に引き寄せるような芸当は浦和でもできない、ある種の夢物語だってことは改めて感じましたね…

後半そして試合終了

流れを変えるべく選手交代もはさんで後半が始まります。
後半は浦和に流れが傾き、ゴール裏のボルテージも上がってきました。
相手ゴールに近づく度にテンポが上がるOi!コールも限界まで速くなり、相当の盛り上がりを見せるようになります。

そして後半16分、後半から出場の中島翔哉がミドルを突き刺し、浦和が同点に追いつきます。
この瞬間はどこのチームでも良いものだあ…
つい先日敵として聞いた地鳴りのような歓声は、味方のものとして聞くと否応なくテンションを引き上げられました。

興味深かったのは、中島コールもほぼ無しに、ゴール直前まで歌っていたチャントがそのまま続いたことでしょうか。
こういったパターンは流れそのままにもう1点を狙いたい場面のサンガでも過去に例がありましたが、豊川や原大智のような個人チャントが浸透した選手のゴールではあまり見られないんですよね。
これは浦和が選手チャントを多用しないことに起因してるんじゃないかな…という推測。

その後も様々なチャントが繰り出され、浦和が主導権を握って優位に試合を進めるも勝ち越しはならず試合終了。
1-1のドローで勝点を分け合う形となりました。

その他まとめ

この日使われたチャント・コールは選手コールを除いて12、3種類くらいでしょうか。
それなりに予習もしていったのでそれほど戸惑いはしませんでしたが、予習漏れで聞き取れなかったのは「Boys in Red 浦和レッズ」コールですかね…
これ以外は初見でも歌詞が聞き取れました。やっぱりそれほど難しい歌詞は使われてないですね。

それと特筆すべきは飛び跳ねるのと手拍子の切り替えでしょう。
選手入場でも使われた「仕掛けろ浦和」をはじめ、浦和のチャントの多くはいわば振りが結構明確に決まってます。

京都のチャントで複数の振りの使い分けを明確に定めているのは「タイトルつかみ取れ(旧:壁を乗り越えろ)」くらいでしょうか。ただそれとも結構大きな違いがありまして、図にすると以下のようになります。


要は同じメロディで違う歌詞、違う振りが入るんですよね。
これは結構難しそうに見えますが…実際難しい
歌いながら次の振りは何か、歌詞がどう変わるかを考えないといけないので単純に頭の中のタスクが1つ増えます。間違えずにやるにはそれなりの慣れが要るでしょう。とはいえ、他所のゴール裏に慣れた人なら3、4周で慣れます。
このシステムのいいところは疲労を腕と足に分散できることですね。無限に飛び跳ね続けたり、頭の上で強く手拍子ができるのはほんとトレーニング積んだ人ぐらいだと思うので…この疲労分散は高い位置での手拍子と多くの飛び跳ねの持続を実現させる要因の一つと言えると思います。敷居が多少高くなる一方で、高いクオリティを保つ効果がある、といったところでしょうか。
あと、「みんなが跳んでるだけ」よりも「跳ぶのが振りとして決まってる」方がより多くの人に跳んでもらえるのかもしれません。あえて飛び跳ねる以外のパートを作ることで、飛び跳ねる部分を「そういうもの」として認識させるというか。

あとおまけですが、南ゴール裏(神戸サポの隣)にこんな旗がありました。

試合中はただ立っているだけで振るわけでもなく、ただ高い位置にあるので風になびく三色旗。
見ていた限りでは試合中どころか試合1時間前からずっと降りていませんでした。
試合前から試合終了後までずっと立つこの旗の出し方、覚えがあると思ったら学ランを着るタイプの大学応援団の団旗の出し方ですね。
…さては浦和高校応援団出身者か?

最後に

1日浦和サポを体験して、非常に勉強になりました。
(ついでに、最近フラッグばかりで全然跳んでなかったので筋肉痛です。)
シンプルに楽しかったですね。最初は大いに違和感を感じた浦和レッズコールも後半頃には口に馴染んで、中島のゴールも素直に喜べました。
前にも書いた自分の持論ですが、「好きだから応援する」だけじゃなく、「応援するから好きになれる」、やっぱりあると思います。
それでも多くの人が応援するクラブを変えられないのは、これまでの積み重ねなんだろうと思います。

浦和の応援の秘訣を求めて色々考えて書き散らしましたが、結局のところどんな工夫もサポーターの意欲が高くないとあの応援は成り立たないわけで。
そして、あの応援ができるからこそ、それに惹かれた意欲ある若者がまた入ってくるというサイクルができているのだと思います。

これに対抗できるようなゴール裏を作り上げるのはもちろん簡単じゃありませんが、今回の潜入で浦和サポも同じ人間だってことは分かりました。ならやってやれないことはないはず。
自信を持って応援すること、少しでも良いと思える応援をすること。そして、その姿をしっかりと発信し、応援の輪を広げていくこと。地道に進んでいくしかないと思います。

ただまあ浦和の良さをまるっきりコピーする必要ももちろんないですよ。ええ。

オーガ範馬勇次郎もこう言ってる

京都には京都の良さがあります。とはいえ応援において声のデカさは正義。あと手拍子のデカさ・美しさも割と正義。
自分たちの応援が他と比べてどういう状態なのか、どんな特色や強みを持っているのか。そこらへんは他所も参考にしながらもっと良くしていきたいですよね。

一歩一歩いきましょう。
まずは今季の残留を目指して…

お読みいただきありがとうございました。

おまけ

試合後は池袋のHUBでセレッソ戦を観戦。
きちんとメンタルをサンガサポに戻しておきました。
次の現地は多分磐田…京都ははるか彼方…

早く有給自由に取れるようになりたい。
それでは( ^ω^)ノシ

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