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初心者の普段着物ことはじめ 後篇

普段に着物を着てみたい。でも、どうしたら良いかわからない。

普段着物には普段着なのに少しハードルがあるのは事実です。多くの初心者さんの前にはこんなハードルが待っています。

ハードル①どんな着物が似合うかわからない

ハードル②どこで、何を、お値段いくらで買うのかわからない

ハードル③どうやって着付けをしたらいいかわからない

でも大丈夫。足掛け3年も右往左往した着物ビギナーの私が、初心者目線でナビゲート致しますよ。

普段着物に興味あるけど初めてなの、という方、この記事を読んだらハードルがぐっぐっーと下がること、請け合いです。

私と同じ着物ビギナーの方、うんうん!と頷いていただけたら嬉しいです。

着物ベテランの方、あらあら!と優しく笑っていただけたら幸いです。

さて。前篇では「普段着物で最初に迷うこと」をテーマにお話ししてきました。

今回は、その後篇。

カジュアルな着物を買うときの、お店、予算、その他の必要なこと。そこで私が迷って困って、辿りついた事をお話したいと思います。

私にぴったりな普段着物ってなんだろう

前篇で、いつ着物を着るか、どこに着ていくか、たくさん妄想してください!とお話ししました。

どうでしょう?順調に妄想は進んでいますか?

私は漠然と、お呼ばれじゃなくても着物を着たい。毎日の中で、自然と着物を着られるようになりたい…と思っていました。

着物って素敵です。本当にどんな着物でも。雑誌やネット、あれこれ見れば見るほど、たくさんの素敵な人たちが、素敵に着物を着こなしています。

ある人は、奥ゆかしくはんなりと。またある人はカジュアルで活動的。アンティークも素敵。和洋ミックスコーデも可愛い。

私は、たくさんの可愛い、綺麗、粋、はんなり…といった着物写真を眺めては、こんなふうになりたいな、と思っていました。

そして、あれもこれも可愛い!そんな風に気に入ったアイテムだけ集めていると、とても幸せで楽しく、気分が上がります。

しかし、いざコーディネートする時に愕然としました。あまりにテイストがバラバラで。

そこで、私は悟りました。洋服と同じで、素敵なものは世界にたくさんあるけど、自分のテイストというのは自ずと決まってくるのじゃないかと。

それは着物の世界でも。

私みたいにテイスト迷子になると、心とお財布が痛みます。

そうなる前に、あなたらしいテイストはは何か、ちょっとした心理テストをしてみましょう。

問題1。

あなたは、普段着物を着てお出かけしました。そうしたら、出会った人にすごく褒めてもらえました。あなたはその言葉を聞いて、とても嬉しくなりました。普段着物を着てよかったな、またお出かけしたいな、と思いました。

さて、どんな言葉で褒めてもらえましたか?

可愛いね

粋だね

エレガント!

雅やか

カッコいい!

そのほか、いろいろバリエーションがあると思います。

その褒め言葉こそ、あなたが目指すスタイル。

エレガントが好き、個性的でユニークなアイテムが好き。はたまた、シンプルイズベスト!あなたのなりたいスタイルは、あなたが見て欲しい、褒めて欲しいスタイルと同じじゃないかと思うのです。

そして。どんなに素敵だと言われても、自分の好みと違ったら居心地が悪いのですよね。

次に、洋服のタイプ別に普段着物のバリエーションをいくつかご紹介しましょう

王道シンプルカジュアル

Tシャツとジーンズ、シャツにチノパン。クラスアップしたいときは、ピアスやプチネックレスを。着心地がよく、活動的なものが好き。そんな方がジーンズを選ぶように着物を選ぶなら…

シンプルなストライプやチェックの木綿着物が良いかもしれません。着心地よく、軽やかで柔らか。基本的に裏地をつけないのでハンガーに吊るしておいても平気。

木綿の着物は基本的に複雑な柄はついていません。先染の糸を織って柄を出すものが多いです。洋服ならギンガムチェックと呼ばれる柄も、着物の世界になれば弁慶格子と名前が変わります。縞と格子の木綿着物は、これぞ江戸の粋の集大成です。

毎日着物を着て家事もできる、スーパーに買い物にもいける。もちろん、カフェや映画館、ショッピングに行くのも良いですね。

メリットは、何しろ気軽。清潔感があって自宅で洗濯もできます。

デメリットとしては、シワになりやすいかも。

こういう木綿の着物は、あんまり呉服屋さんに置いてなかったりします。

私はweb通販をしているお店をさがしました。木綿着物で検索すると、たくさん見つかりますよ。リアル店舗なら、木綿着物を扱ってることをウリにするようなカジュアルな着物屋さんがあります。webショップのリアル店舗が近くにあるなら、見に行ってみてください。お店はフレンドリーで明るい雰囲気のところが多いです。

レトロな古着、アンティーク

ほかの人と同じ着こなしはイヤ…個性なものが着たい。古着屋さん巡りやフリーマーケットも好き。魅力的なアイテムは一期一会の出会いだと思う。ヒトクセあるものを自分らしく着こなすのがファッションの楽しみ。そんな方が着物を選ぶなら…

少しレトロなテイストのアンティークやユーズドの着物は、いかがでしょう。大正から昭和初期のものは鮮やかで大きめの柄が入っていたり、現在のセンスとは少し違って面白いです。

ショッピング、ギャラリー巡り、街歩き。個性的な友達とのお出かけ。ライブやコンサートも特別感があって良いですよね。

洋服だと少し意外な色の組み合わせも、着物ならしっくりくることもあって、ファッションセンスの見せ所。

メリットは、個性を出せること!ブーツやシャツ、帽子など洋服とのミックスが似合うのもこのジャンルかと思います。

デメリットは、自分に合うサイズは基本的に見つからないこと。小さいサイズが多いこと。生地が弱っていたり、しみがあったり。古着なので気になる方には難しいですね。お手入れやメンテナンスも気を遣います。

こんなアンティーク着物は着物専門の古着屋さん、もしくは全国でアンティーク着物イベントがある時に探してみると良いです。イベントに出展してるお店で気に入った所を見つけたら、InstagramやTwitterをフォローしてみましょう。次のイベント情報をチェックできますよ。

ちょっと豪華にハイクラス

ドレッシーなワンピースやシャープなジャケットでお出かけしたい。素敵なレストランや美術館、ちょっとしたパーティー、観劇、バレエや歌舞伎。そんな趣味のお出かけが多い方が普段着物を選ぶなら…

ご自分のテイストに合う絹の着物がおすすめです。

もし、とろけるようにエレガントなワンピースがお好きなら、柔らかな絹の小紋。小紋は着物全体に柄がついていて、はんなり優しいイメージです。

もし、ジャケットやパンツスタイルがお好みなら、紬の着物。糸を紡いだときのポコポコした繊維がナチュラルでかっこいい。色柄もシンプルなものが多いです。

メリットは、何しろ絹だということ。光沢、着心地、なめらかな肌触り。うっとりするほど素敵です。

デメリットは、お手入れやメンテナンスにコストがかかること。新しく購入するときも、ある程度の出費が必要です。

こういう着物はいわゆる呉服屋さんに置いてます。反対に、webショップではわかりにくいです。価格がはっきり書いてない事もありますし。ビギナーさんにおすすめするならデパートの呉服売り場。なにしろ定価がしっかり書いてありますので、それだけで不安が少ないです。

下見したい時でも、「今日は見せてもらいたいです。今後の買い物の参考にしたいので」とはっきり伝えれば快く見せてくれますよ。ポイントはお店が忙しそうな時に行かないこと。上得意さんらしき人が入ってきたら、「考えてまた参りますね」と言って、ささっと店を出てしまいましょう。

そうすれば、デパートは素敵なものが見たい放題です。

初めて着物で絶対に必要なもの。お値段も。

着物と帯のほかに、着物を着るために必要な小物たちがあります。

着物や帯の種類によって少し変わりますが、これが揃っていればなんとかなる…というものを考えてみました。私が購入した時の参考価格も入れておきますよ。

まず、着付けに絶対に必要なアイテムから。

1、全身が映る鏡。(ニトリで2000円くらい)

私が読んだことのある初心者着物の参考書には書いてありませんでした。だから、私は最初に書きます。

裾の長さ、襟、後ろ姿。どうしても全身を見る必要があります。小さくても細長くて構いません。全身鏡はマストです。

2、腰紐 3〜4本(3本セット1000円くらい)

滑らない紐と滑る紐があります。滑らない紐は必須、滑る紐はあると便利です。

着物は平面の布ですから、身体に巻き付けて紐で押さえる必要があります。その時には滑らない紐。モスリンは滑りにくいです。滑る紐は仮結びの時に。帯をいちど紐で押さえて、きちんと帯が完成したら後で抜き取ります。抜き取る時しゅるっと取れると便利です。絹やポリエステルは滑りやすいです。

3、帯板 1枚(800円くらいから)

いろいろあります。お好みで。

私はメッシュのペラペラのと、ゴムベルト付きのもの、回せるタイプのものを持っています。出番が多いのはペラペラの安いのです。でも使いやすさはそれぞれ。いろいろ試してみてください。

4、伊達締め 1〜2本(1本2000円くらい)

着物の形は帯ではなく、伊達締めでキープしています。縁の下の力持ちです。

5、着物と帯と襦袢(お値段いろいろ)

いわずもがな。着物と帯です。そして襦袢。

長襦袢は着物の下に着る物ですが、下着とは少し違う。洋服なら、スーツが着物だとするなら、長襦袢はワイシャツといったところです。

肌襦袢は下着です。スリップ型のもの、上下セパレートのもの。ブラ機能付きのものなど。お安いものなら3,000円くらいからあります。


今回は私の経験に基づいて、お値段別に松竹梅の3コースを紹介しましょう。

もちろん、この通りである必要もないですし、「私はこうしたい!」という気持ちがあれば、もちろんそちらが優先です。どうぞご参考まで。

梅コース ジーンズみたいな着物でとにかくリーズナブルに始めたい

こんな方におすすめです

 できるだけ節約したい

 何しろ手軽に始めたい

 できるだけ回数をたくさん着たい

 汚れるかもしれないから、洗濯したい

木綿着物をネット通販で。サイズはとても大切なので反物を仕立ててくれるところで、自分サイズに誂えましょう。最初にぴったりサイズで着物を着ると、早く綺麗に上手に着られます。スタイルよく見えます。そして、値段も大して変わらないです。(25,000円くらいから)

長襦袢は省略して、肌着に襦袢の衿がついた、衿つき半襦袢(3,500円くらいから)と、裾よけ(巻きスカートみたいな下着3,000円くらいから)にしてしまいましょう。ステテコといわれる長ズボンみたいなのでも大丈夫。

帯は気軽に半幅帯で。簡単な結び方や、可愛いの、かっこいいの、いろいろな結び方ができます。お値段はピンキリで木綿やポリエステルのもありますが、初心者さんなら絹のものがいいです。軽くて巻きやすいので。(6,000円くらいから)

楽天とAmazonをひとまわりして、Googleで「木綿着物」「普段着物」で検索すれば、一通り揃えられると思います。

アイテムが揃ったら、YouTubeで好みの先生を見つけて動画を見ながら着てみましょう。最初はうまくいかなくても大丈夫です。練習あるのみです!

着物が着られたら、足袋や下駄、草履がなくても大丈夫。靴下にサンダルでも構いません。近くのカフェや、ベーカリーに行ってみてくださいね。普段着物生活の始まりです!

竹コース ほどほどのコストでおしゃれ着物でお出かけをしたい

こんな方におすすめです

 アンティーク着物やユーズド着物を着たい

 譲られたりいただきものの着物を着たい

 お茶やお花など習い事をしたい

着物はアンティークショップ、古着屋さん、実家のタンスから発掘するなどしてみてください。お母さまやおばあさまの持ち物でも、意外と可愛いものが見つかったりします。コツはサイズができるだけ近いものにすること。

羽織って見た時の、袖は手首のくるぶしちょっと手前くらい。着物の丈は身長くらいが良いと言われています。なので、羽織ったときに30センチくらい引きずるようになります。

これらはお値段様々。実家のタンスならゼロ円かもしれませんし。ものによっては1000円とかでも見つかります。ユーズドなら3万円くらいで状態が良いものがたくさんありますよ。

ここで注意!

出来上がっている着物は魅力的です。特にユーズドのものは、新品なら手が出ないものも、お手頃価格になっています。

しかし、一呼吸おきましょう。問題はサイズです。お直しすることになれば、裏地を変えたりして、あっという間に数万円かかってしまいます。さらには、直すつもりで買ったとしても、実際にお直しできないこともあります。

私も、気に入って購入したユーズドの着物を順番に直しに出してますが、着物代と直し代を合計すると、まあまあの着物が新品で誂えられたりするのです。お直しには35,000円くらいを見積もっておきます。

次に長襦袢です。自分サイズに着物を作らない場合、長襦袢はきちんと自分サイズにすることを強くおすすめします。

長襦袢の着姿が、着物を全て着た時の仕上がりに直結するからです。

長襦袢は洗えるポリエステルのものはどうでしょう?東レのシルックというブランドが有名です。(自分サイズに仕立てて30,000円くらいから)

東レのシルックなら、ネットショップでもデパートでも扱いがありますよ。

シルックは決してお安くはありません。同じくらいの価格で絹の長襦袢を作れます。

でも、絹の長襦袢は自宅で手入れできません。肌着の上に着るので汚れやすいにもかかわらず。クリーニングを考えたら洗える長襦袢は最終的にリーズナブルです。

竹コースの帯はユーズド商品を丁寧に探してみましょう。安ければ数千円で可愛いものも見つかります。

また、実家のタンスもチェックを忘れずに!

竹コースでいちばんリーズナブルに仕上げるなら、着物と帯はサイズ直し不要のいただきもの、長襦袢はオーダー、帯が半幅ではなく、お太鼓を結ぶ場合は、帯枕、帯揚げ、帯締めという帯周りの小物が必要になります。

着物や帯が古いものでも、小物を新しいものにすると、今っぽい雰囲気になります。

それぞれ、800円、3,000円、3,000円〜くらいから見つかります。

ただし。帯締めだけは金額と品質はほぼ正比例します。帯締めがしっかりしていないと、帯結びが崩れてしまいます。文字通り大崩壊します。

最初の投資だと思って、奮発して良いものを購入することをおすすめします。(目安として10,000円くらいかな?)

足回りは足袋(2,000円くらいから)に下駄か草履(5,000円くらいから)を用意しておけば完璧です

梅コースのようにYouTube先生に着付けをおしえてもらったら、小さめのバッグをもってお出かけしてみましょう。

近くの神社、お寺、ギャラリー、観劇やコンサート、バーで1杯飲むのも素敵です。

松コース 上質な着物をちょっと贅沢に普段遣いしたい

こんな方におすすめです

 パーティーやお呼ばれが多い

 ワンピースドレスを着る機会が多い

 観劇が趣味

 お茶やお花の習い事をしたい

着物、長襦袢、帯、帯締め、帯揚げ、一式セットでお求めになる事をおすすめします。

お店に実際に行って、顔写りを確かめながらプロの手でコーディネートしてもらいましょう。

単品であれこれ悩むのはもちろん楽しみのひとつですが「これなら完璧コーディネート」がひとつ出来上がっていれば、それはまさに安心なホームグラウンド。

それを軸足にして少しずつ冒険していく事もできます。

私は、ここでもデパートをおすすめします。デパートカードをお持ちなら、ご優待の時期に行くのも良いですね。

あれこれ反物を顔に当てていくと、似合うもの、似合わないもの、しっくりくるもの、苦手なもの、本当によくわかります。

同時にお値段も確認していけば、相場感も身につきます。着物の値段って、不思議ですからね。

松コースの場合、選択肢が広いのでお値段のお話しは難しいですが。

デパートの呉服売り場では初心者さん向けのコーディネートセットなども扱っています。自分サイズにお仕立てした絹の着物と帯をセットにして(10万円くらいから)そこに自分サイズの長襦袢(30,000くらいから)、帯締め、帯揚げはお好みで各10,000円くらい予算を取っておくとクラス感が合うと思います。

竹コースと同じく、足袋と下駄、もしくは草履を揃えたら、どこにでもお呼ばれできるスタイルです。

さて。この場合は着付けはYouTube先生よりも、いわゆる生身の着付けの先生をおすすめします。

どこにコストをかけるか、というのはたしかに大切な問題です。

YouTube先生はたしかに素晴らしいです。動画を見ながら着付けの練習をするのも楽しいです。

しかし、時間をコストに考えてみると、やはり教室に習いに行くのは大幅な時間の節約になるのも事実です。

着付け教室についてはいろいろと思う事があるのですが、それは別の機会に譲りますね。

大手の着付け専門校、駅ナカのカルチャーセンター、地域の公民館、呉服屋さんの着付け教室、いろいろなタイプの教室がありますが、私は「近所で教えてくれる個人の先生」がいいかなと思います。

先生によりけりですが、1レッスンマンツーマンで5,000円から10,000円くらいでしょうか。カリキュラムによると思いますが8〜10回くらい通うことを想定したら良いかと思います。

さてさて、着付けができるようになったら、素敵にヘアスタイルをキメて、颯爽とお出かけしてください。きっと季節の風をいつもより気持ちよく感じられるはずです。

今日のまとめ

まず着物を着よう!そして街に出よう!

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