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初心者の普段着物ことはじめ 前篇

ここ数年、街中で着物を着てる方が増えてきたと思います。

以前から、着物が好きだった私は、結婚式のお呼ばれ以外でも、普段着で着てみたい…と欲求がむくむく。

とはいえ、何から始めていいのかさっぱりわからん。

そこで、今回はカジュアル着物を着たいと思ってから、足掛け3年ほど右往左往した着物ビギナーの普段着物奮闘記です。

着物って、私たち初心者にはわかりにくいんです。なぜなら身近で着てる人が少ないから。

なので、この記事では着物、つまり和服と洋服を比べながら、私が悩んできたことを、わかりやすく解説していこうと思います。

これから始めてみたい方には「ふんふん」と予習していただけて、普段着物のハードルがぐっーと下がるはず!

私みたいなビギナーさん方には「あるある」と言って貰えるかも。

そして、長く着物をお召しの方は、やさしく「あらあら」と仰ってくださいませ。

普段着、つまりカジュアル着物ってどんなもの?

さて。私が着たことのある着物は、振袖と訪問着。両方とも友人の結婚式に着たのが最後です。

結婚式のお呼ばれは、当然ながら普段着ではありません。

だから、普段着物はこう言うのじゃ無いはず。そして調べてみると…出てくる出てくる。高級な趣味の着物が。30万円とか、普通です。普段着で30万円て!

そうかと思うと、ネット通販では仕立てあがりで1万円くらいのもあります。40代も後半の私が着るのは…見るからにどうだろう?ときめかない。。。

普段着の着物って、幅が広すぎませんか!?

初心者さんが、最初に当たる壁がこれじゃないかと思います。

普段着物といっても、価格からデザインから、幅が広すぎて、わけがわからない。という問題です。

これを少しずつ整理していきましょう。

まず、着物は横に置いといて。

カジュアルな服…と言われたら何を想像するでしょうか?これは、100人いれば100通りのカジュアルスタイルがあると思うのです。

友達と会うならジーンズで。おしゃれなレストランでデートなら少し上品なワンピース。ライブに行くなら思いっきり個性的に!クラシックコンサートならドレスアップして。

いろいろなシチュエーションで、いろいろなテイストの服を着るはずです。

それは着物も同じこと。

それぞれのシチュエーションにぴったりな着物がそれぞれにあるのです。

着物を始めたばかりだと、それがイマイチわからない。

私は、1枚の着物ですべての「カジュアル」をカバーしようとして失敗しました。

どこにでも着ていける洋服が無いように、どこにでも着ていける着物も無いのです。

だから、最初の着物を買う前に、ちょっとシュミレーションしてみましょう。

この時のコツは「洋服だったら何にするか」を一緒に考えること。私と一緒にワクワク妄想してみましょう!

① 着ていきたい場所

さて、素敵な着物を見つけました。ネットの情報や着物ブロガーさん達にも人気があるみたい。これを買っちゃおうかなー!

お買い物のなかで、いちばんワクワクする瞬間ですよね。

でも、ちょっとだけ待ってください。

私の最初の失敗は、「着物を買ったけど、着ていく場所がない」という失敗でした。

着物自体は気に入ってるので、買ったことに後悔は無いのですが。まるまる一年以上、一度も袖を通さないまま保管してあります。

それは、裏地の無い紬の着物。よく一枚あると便利と言われるカジュアル着物の王道アイテムです。

でもね、私の生活スタイルとはあまり合っていなかった。

「その人が教えてくれた便利なアイテム」って「その人がよく行く場所やシチュエーションでは使いやすいアイテム」なんですよね。

その人と私の生活スタイルが違えば、便利なアイテムも変わるはず。

そこに気づいたのは、タンスに眠らせてからです。でも、いずれはこれを着てお出かけ出来るように頑張りますよ!

もし、あなたがお店で洋服を見て、可愛いな、欲しいな、と思ったら。最初に考える事はなんでしょうか。

私なら、まずは「どこに着ていくか」考えると思います。

例えば、素敵なジャケットを見つけたら、着ていくシーンを想像します。

オフィスで仕事している人なら会社に来ていくかな?お子さんがいらっしゃるなら、保護者会などの行事?ちょっと素敵なレストランはどう?

もし、とろみ素材のロングスカートなら、どこに着ていこうかな。

同性の友達とカフェに?それなら、どんなアクセサリーを合わせようかな?

デートで映画?それならとろみスカートはシワになりにくいし、フェミニンに見えてぴったりだな。

また、シーン別に目的を持って洋服を買いに行くこともありますよね。

例えば、彼の実家に行くことになった!とか。子供の遠足の付き添いとか。おそらく選ぶ服どころか、探しに行くお店も違うはず。

こんなふうに洋服の買いものをすると思います。それは着物も同じです。

ただ、着物の場合はどんなシチュエーションで使う着物も同じ店で扱ってる、ということ。

1万円から100万円以上まで、同じお店にあるのです。なので、欲しいジャンルの着物をしっかり描いてからお店を訪ねましょう。

お店に行く前に、どんなシーンで普段着の着物を着たいか、それを妄想(!)してみると、「買ったけど、着ていく場所がない!」という初心者にありがちな失敗を防げます。

そこで注意。

洋服でも、買ったけど着ていく場所がない…ことがありますよね。

私の場合、大抵の失敗はこのルートを辿ります。

まず、セールの時です。素敵なものが特別価格になっています。

そこで、自分好みの少し高価なアイテムが手の届く価格になっています。

見つけてしまうのは、着る場面を選ぶドレッシーなワンピースとか。

かなりテンションが高くなってるので、セール価格に背中を押されてお買い上げ。

家に帰ってみると。合わせる靴がないことや、色や素材で季節が限定されるのに気づく。活用範囲が狭いことに気づく。ありがちなのは、その服を着る場面で会う人は同じ人だし。何度も同じ服で会うのは抵抗がある。そして、一度着たあと、新品でなくなってからクロゼットに仕舞われる。

私はこういうパターンがありました。むしろ繰り返してきました。最近はセールにも行かないので失敗は少ないですけど、着物でも、まんまと同じルートにハマりました。

着物もまずは、自分の得意なテリトリーから攻めていきましょう!

②着物は季節や場所のルールが多くて面倒

1月から5月までは裏地のある着物、夏の7〜8月は裏地のない透ける着物。中間の6、9月は裏地なしで透けない着物、10月以降は裏地ありにもどる。。。さらに、ここに素材やら柄やら色やらのルールが出ててきて。

この着物と帯、色は合うけど別の季節のものだから、一緒に使えないの?

格が違うって何?この着物と帯と小物は一緒に使えないの?

ちょっと待って。そんなに揃えられませんから!全部をまかなえるスーパーアイテムって無いの?

これは、私たち初心者を一番悩ませる部分と思います。

でもね、普段着なら、こだわらなくても大丈夫。それよりも、暑い時期には涼しく、寒い時期は暖かく。そういう着こなしを工夫すれば良いのです。

だって、洋服だってそうですもの。

いくら秋だといっても、9月からトレンチコートは暑いです。季節のルールというより、その日の天気や気温によって着るものは変えますよね。

機能とは別に、おしゃれとして色だけは深みのある秋色を取り入れたくなったり。コートの日でも軽やかな春色を差し色にしたり。そうやってファッションを楽しみます。

初夏の肌寒い日に、ニットのカーディガンを羽織りたいなら、誰の許可もいらないです。

それは着物だって同じです。

でもね、着物の本などには、ガッチリとルールが書いてあるのです。それを見るとついつい「自分のこの着方は正しいのかな」と思ってしまう。それで迷ってしまうのです。

このルールが必要なのは、フォーマルの場合です。洋服でもフォーマルはきちんと決まりがあります。

例えば、ブラックフォーマル。御葬儀に参列するときのアクセサリーは真珠かジェット、必ず一重で。黒のストッキングで。ノースリーブやミニスカートはだめですよ。

結婚式に呼ばれたら。花嫁のような白のドレスは着ないし、ジーンズやパーカーでも行かないです。

地域差はあれど、おおむねルールがあり、それを普通に守ってますよね。

着物のルールも、そんな時に使う物だと思っておけば大丈夫。

洋服の正式なフォーマルのルールと比べたら、着物ルールは少ないくらいです。

洋服のマナーブックがありますが、着物のマナーブックも似たようなもの。困った時には頼りになりますが、普段は見ないものです。

③一緒にいる人

一緒にいる人が心地よいかどうか。これも大切なことだと思うのです。

着物を着られるようになると、あちこち着物で出かけたくなります。

私も、こんな格好で行って大丈夫かな?最初はドキドキそわそわしてました。

そんな時は、思い切ってたくさん行動範囲を広げてみたら良いと思います。そして、一緒にいる人が「この人は着物も着る人」という認識になれば、目が慣れてきますので、最初の違和感はあっという間に無くなりますよ。

そうなってくると、頭をよぎるのが着物だけでどこまで生活できるか?ということ。

私はおそらく着物で仕事に行けると思いますし、仕事に支障も無いでしょう。

でも、一緒のオフィスの人は居心地悪くならないかな?着物を着てるせいで気をつかわせないかな?

実際には誰も気をつかったりしないかもしれません。

でも、私は同じオフィスに着物で仕事をしてる人がいたら、きっと気をつかってしまうと思うのです。

そんな事を考えて、私は着物で仕事に行くことはありません。もちろん、着物でオフィスワークをしてる方々がいらっしゃる事は知っていますし、実際にお会いした事もあります。特に支障が無さそうなのも知っています。

これはルールでなく、自分の考えかたひとつです。

例えば、小さなお子さんと一緒なら、少々の汚れも大丈夫な素材の着物があります。

それは普段着に大活躍の木綿の着物。自宅で洗濯できますし、アイロンもかけられます。丈夫ですから、スレたりひっかけたりも気になりません。

これが絹の着物だと、汚れたらクリーニング、1滴でも水に濡れたら染み抜きが必要です。それではお出かけしても気が休まりませんよね。

例えば、カジュアルスタイルの男性とのお出かけなら、活動的なスタイルの着物を。足元も軽い下駄や、汚れても水拭きできる素材の草履をおススメします。

そんな感じで、一緒にいる人とのバランスを考えられると、独りよがりファッションにならなくてすむのじゃないかと思います。

④普段着物のメリット

さて、普段着物ビギナーの私が感じるカジュアル着物のメリット。

メリット1、一枚の着物で暖かくも涼しくも、タイトにもラフにもなる。

着物は畳まれた状態は平らで同じ形です。でも、着付けるときに立体にしますので、巻き付けかた、ひもの締め具合などで、シルエットが変わります。

これはパターンで裁断された洋服には真似できないこと。

着付けひとつで着心地も変わります。暖かくも、涼しくも着られるのです。

ゆったり着てもよし、ぴったりシャープに着てもよし。1着で無限のシルエットが実現します。

メリット2、コーディネートが楽しい。着物や帯などの大物は変わらなくても、エリやヒモ、足袋などの小物をカラフルな可愛いものを選んだり。白襟、白足袋でキリッとさせたり。差し色が得意な方なら、とても素敵なコーディネートができます。

シンプルな縞の木綿着物は、例えるなら「リトルブラックドレス」一緒にシンプルな帯を用意しておけばコーディネートは無限です。しかも、ドレスとちがって、シルエットすら変えられるのです。

⑤普段着物のデメリット

メリットがあればデメリットもあります。

最大のハードルは初期投資がかかること。

こればかりはどうしようもないです。

洋服なら今までの人生で、下着、靴下、トップス、ボトムス、羽織りもの、上着、靴、バッグ。すべてが揃っています。

買い足すとしても1アイテムずつ。

でも着物を始めるなら、着物は当然ですが、帯、長襦袢、下着、足袋、履き物、羽織もの、着付け用の小物(見えないけど紐や芯があちこちに…)いろいろ必要です。

最初は家にあるものを上手につかいながら、気軽な洗える着物からスタートしてみると良いと思います。

とはいえ、小物は専用のものがおススメです。紐ひとつとってもよく考えてあります。数百円で着付けが楽になりますよ。

後篇で、初期費用についてもお話しますね。

そして、二つ目のハードル。

それは着付けです。

何しろ、日常的に着物を着ていた世代が少なくなってきています。

何も問題なく着付けが出来る人の方が少ないはず。

私は個人でやっている着付けの先生のところで習いましたが、カルチャーセンターや着物屋さんでも着付け教室がありますよね。

私の意見としては、普段着物なら教室に行かなくても大丈夫と思います。

今はYouTubeなどに着付けのレッスン動画もたくさんアップされています。

それでも足りなくなったら、教えてくれる先生を探すのでも良いと思いますよ。

最後にポイント!

その1 カジュアル着物と一口でいっても、洋服のカジュアルウェアと同じくらいの種類がある

その2 自分の得意なカジュアルのテリトリーから、着ていくシチュエーションを妄想する。

その3 着物はリトルブラックドレス。小物と着付けでびっくりするほど着こなしの幅が広がる


後篇では、カジュアル着物をどこで買うか、情報を得るか、買い物で気をつけること、ご予算、などのお話をしたいと思います。


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それでは、またね。










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