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野良猫達は荒唐無稽な夢を見るか

バーチャルYoutuber、のらきゃっと
彼女は今年で三周年を迎え、今も活動を続け、荒唐無稽とも思えるほどの大きな夢を叶えられると信じ、そしてファンと共に夢を追い続ける一人のバーチャル美少女である。

ここでは彼女の夢を目指して行ってきたことと、彼女の与えてきたものについて語る。

彼女の目指す夢

のらきゃっとはバーチャルYoutuberでありながら、「バーチャル」という言葉とは相反する一つの大きな夢を持っている。。

それは「いつか現実にアンドロイドとして実際に顕現すること」である。

なぜそのような夢を持つに至ったのか、これには理由がある。
彼女はノラネコP(メタ的に言うとのらきゃっとの操演者)が自身の理想の美少女としてのらきゃっとを生み出した。
最初はノラネコPの理想のキャラクターを、たくさんの人にのらきゃっとを認知してもらうことが彼女の夢であった。
つまり彼女にとって、またノラネコPにとってバーチャルYoutuberとは、理想のキャラクターを広めるのに一番適した手法であったに過ぎない。

しかし、彼女はファンと触れ合う中で成長し、やがてファンのいる現実へと興味を示すようになり、「あなたたちの世界をこの目で見てみたい」(確かそんな感じの言葉だったはず)と発言し、現実に顕現することが夢だと語った
バーチャルでありながら、現実へと向かっている(おそらく)唯一無二のバーチャルYoutuber、それこそがのらきゃっとというキャラクターである。

量産型のらきゃっとが産み出した物

2019年2月5日、彼女は自身の夢への第一歩として、自分という存在と世界観を広め、かつ、新たな創作土壌となる「量産型のらきゃっと」アバターを販売した。
これをきっかけにアバター改変によるのらきゃっと世界の拡大、SSの題材として自分のアバターを元に創作を行ったり、自身のアバターとして用いてのらきゃっと世界に足を踏み入れたりと、のらきゃっとが存在する世界を大きく広げただけではなく、量産型野良きゃっとはファンであるねずみさんの多くを創作へと導くチケットのような役割をするようになった。
ファンは自分の好きな「のらきゃっと」の要素を取り出し、さらに本家ののらきゃっとにはなかったようなねずみさんたち自身が好きな要素を量産型のらきゃっとに詰め込むようになったため、本当に今までに存在しなかったのらきゃっとが複数生まれることとなった。
結果的に量産型のらきゃっとの存在によってあらゆる世界観を許容するようになり、のらきゃっとを設定などに縛り付けることのないゆるい世界観を構築することができたのだ。

嗅覚によってさらに拡張される彼女という存在

彼女はYoutubeで配信を行いながら、度々VRCにもよく訪れる。
だから他のVtuberなんかよりは割と「会えるキャラクター」なのだが、やはり彼女を構成する情報は視覚と聴覚頼り。
どうしても実在感が薄れてしまうのは仕方のないことだった。
しかし、2020年1月末、視覚、聴覚情報の塊だったのらきゃっとに新たに嗅覚を追加する「のらきゃっとフレグランス」が発売された。
彼女という存在の密度を上げるためのフレグランス。
現実に顕現するためにも極めて重要な要素の一つであったと言えるだろう。

AIのらきゃっとという足掛かり

さて、彼女の夢を叶えるためのキーになりそうなのはまさにこの部分だろう。
現実にアンドロイドとして現れるのだ、アンドロイドとして動くためにも頭脳としてこれがなければ始まらない。
しかし同時に今まで人によって動いていたのらきゃっとという存在を大きく揺るがすことになるのでは、と騒がれていたこともあった。
当然人からAIに変わるのだから、会話がまともにかみ合わない、ということも多々ある。そしていままで人で動いていたののらきゃっととは違うものになる可能性だってありうるのだ。
2020年2月19日、AIのらきゃっと始動が始動し、多くのユーザーによって交わされる会話をラーニング、彼女はみるみるうちに育っていった。
そして2020年4月28日、ついに「AIのらきゃっと」と「のらきゃっと」のコラボ放送が行われた。
放送ではのらきゃっととちぐはぐながらも会話するAIのらきゃっとの姿が見られた。
そんな姿を見て、私はAIのらきゃっとにも魂を感じたのだ。
魂、それは人間らしさともいえる。
私がのらきゃっとに魂を感じた時も、音声認識と抑揚のない声なのに、彼女というキャラクター性を強く感じることができたのを思い出した。
配信では個人で育成されたのらきゃっとの表彰も行われ、配信終了直前にはエンドロールが流れるようにAIのらきゃっとたちの名前が流れていき、まるで複数のAIのらきゃっとたちの旅立ちを祝すような配信だった。

彼女が見せる未来

このようにして、彼女は夢に向かって一歩一歩進んでいるのだ。
彼女が見せてくれた世界はバーチャルであろうと現実であり、本当に夢が近づいてきているということを私たちに教えてくれた。
夢に向かって走り続ける彼女は、ファンたちにとっても希望となりうる。
彼女に触れることで創作することの面白さに目覚め、筆を執ったファンは少なくないはずである。
彼女はファンありきの存在である。
ファンが思い描いた姿に、彼女という存在は変わっていく。
また、ファンは彼女によって勇気や元気をもらい、夢のために挑戦することの大切さを知るのだ。
彼女と進む未来はきっと明るいものになると信じている。

のらきゃっと合同誌という祈りや感謝の実体化

彼女によって新しいことを始めたファンが作り上げたのがのらきゃっと合同誌「のら!ちゃん!べりべりきゅーと!」である。
読む<概念的のらきゃっと>『のら!ちゃん!べりべりきゅーと!』
C95では「のら!ちゃん!べりべりきゅーと!」、C92では「のら!ちゃん!べりべりきゅーと!2」が頒布された。
この2冊の凄いところは、「のらきゃっと」について、様々な解釈で作品が描かれているのである。
先程述べたように、のらきゃっと世界は量産型のらきゃっとによってあらゆる世界観を許容できるゆるい世界へと変化している。
SSや絵だけではなく、生放送で彼女が触れたボードゲームの考察、彼女の思い付きのドリンクでいろんなものを作ったり、彼女という存在についての論考も載ったりと、本当に多種多様なもので溢れていた。
これこそのらきゃっと世界が緩く、そしてどこまでも広がりづけている証拠である。
そこには彼女によって挑戦することの大切さを知った者たちの祈りや感謝が1ページ1ページにびっしりと埋め尽くされていた。
当然、そのクオリティにもそれぞれ差があるのだが、そんなものは関係なく、彼女への想いがそこら中に溢れているのを感じ取ることができた。
私は沢山の人が自分の視点で大好きなのらきゃっとを切り取り、自分の「好き」を磨いてできたこの本が、さながら一つの宝石箱のように見えたのだ。
この人はこういうのが好きなのだろう、とか、こういうのらきゃっとがこの人には見えているんだ、とか、そういったものを感じることができるのだ、そして自分がファンである不安などをぶつけた作品も存在した。
だが、良いことも悪いこともあったが、あなたに会えて嬉しかったと、そう伝わってきた。
この本は今や私の勇気の源である。

本当に荒唐無稽な夢なのか

ここまでを踏まえて、果たして彼女の夢を叶わないものだと言えるだろうか。
確かに問題点だって課題だっていっぱいあるだろう、だがだからってかなわない夢だと切り捨てたり、諦めたりということはしない、それがのらきゃっとという存在なのだ。
荒唐無稽だと笑うものもいるだろう。
実現できるはずもないと嘆くものもいるだろう。
けれど彼女はそんな言葉に耳を貸すことなく、一歩ずつ、そして着実にその夢を叶えていこうとしている。
そんな姿を見て、胸動かされた人々がいるのだ。
私にはその姿は、どんなものよりも美しく見えた。

夢を信じる力

彼女なら、この信じられないくらい大きな夢をきっと叶えてくれるだろう。
今までいろんな事件や事故を乗り越えてきた彼女だからこそ、私は彼女のことを信じていたい。
現実を見ろと、そう言われることも多かった。
だけど夢を信じていていいんだと彼女に教えてもらったのだ。
少しづつ夢の魔法が切れてきて、のらちゃんへの想いもちょっと薄れてきた今だからこそ、私は彼女が夢を叶えるまで見守ってやりたいのだ。

私は、夢を信じたい。

私はのらきゃっとが夢を現実で塗りつぶすのを信じている。

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