ほとんど片想い

恋を経由しないと、人間関係を築けないんじゃないか?
幼い頃からそう思い込んで生きてきたので、人生の長さで言えば、おそらくその辺の人よりたくさんの人を好きになってきたと思う。

そこに加えて、とにかくたくさんの人間に愛されないと命が危ないという恐れがハッキリあったので、私はいつも四方八方に媚びていた。
無意識の生存戦略だったと思う。
性別や年齢で対応を変えている場合ではなかったので、私としては満遍なく…のつもりだったが。

クラスメイト全員に好きと言っていても、異性の子には優しさをもらえたが、同性の子たちは渋い顔をされてしまうし、
職場の全員に好きと伝えたら、異性の上司に好かれ、同性の先輩にひどく嫌われてしまった。

同じ分量で接してみても、同性に愛されるのは特別難しいような気がいつもした。

今は幸い、恋心を誰にも抱かなくても無事に生きていける自信がある。
愛されていなくても大丈夫だし、本当に愛されてるかも確かめようがないし、生活のために媚びる必要もなく、嫌われてなければ100点だと思える。

でもこれまで常に頭いっぱい抱えていた、同性と繋がりを持ちたいという渇望、仲良くなれたときの嬉しさ、あれはほとんど片想いの感覚だったなあ、むしろそれ以外の何なんだったろうかと思い返している。


#忘れられない恋物語

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