突起
書道家の米早食です。
私がマイホームを建てたときに妻は反対したのですが…庭に竹を植えました。
青春時代を過ごした師匠の家は和風の塀に高く伸びた竹がとても美しく…私も師匠への憧れから竹を植えることを強行したのでした…
妻には日当たりが悪くなる…と春が来るたびに竹の子を目ざとに見つけては引き抜いておりましたのでなかなか竹が広がらず…毎日たけのご飯が食卓に並んでおりました…
私も竹の子は好物でありますがこれ程までに食べさせられると流石に飽きが来てしまいます…
ある日妻に「君に竹の子を食べさせられたおかげで…黒い斑点ができそうだよ…」というと「どういうことですか??なんにせよあなたが植えた竹ですからとっても美味しいでしょう…」と言われたので「これだけ竹を食うのはパンダだけであろう…黒い斑点はできないが最近、口の中がキシキシとして不快だしそろそろ竹を採るのはやめてくれないか…」と懇願したのですが…どうしても日照権を守るのだと又、次の日も竹の子を刈ろうと半日を外で過ごしておりました…
今日も妻は庭に生えた竹が広がらないようにと竹の子狩りに精を出しておりましたが…
今のうちに竹の子以外のものを食べようとこっそりとキッチンの床下収納を物色しに行きました。
妻はお歳暮でもらった缶詰をここに隠す習性がありましたが…久しぶりに床下を開けますので「カニやあん肝の缶詰があればうれしいなぁ…」と期待に胸を膨らませておりました…
床下を開けてみると大きな竹の子が目に飛び込んできました…
毎日、竹の子を刈るだけでは飽き足らず…こんなに大きな竹の子を保存しているとは…許せない…!!と怒りに震えていたのですが竹の子の周りには缶詰が散らばっていましたので竹の子をどこかに捨ててやろうと引っ張るととんでもない重さでなんど引っ張ってもびくともしません…
おかしいなと思って床下収納の中を覗いてみると…竹の子は保尊されていたのではなく床を突き破って生えてきたものだったのです…