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パチンコ

書道だけでは食べていけない時は色んなバイトをしました…その1つにパチンコの打ち子というものがありました。
日当8000円をもらい13時間も回る台を打ち続けるというものでよく海物語を打たされました。
私は元々ゲームが好きでしたし、パチンコの光や音は大きな音とミラーボールが輝く…まるでディスコのようでした。
ただ何も考えずに打っていると頭がボーっとしてきてフロー状態とでも言うのでしょうか…どこからともなく書のアイデアが浮かんでくるのです。
ただ、仕事としてやるパチンコは趣味とは違い厳しいものでした。
まずパチンコは完全確率ですのでボーダーというものがあり大体1000円で20回以上(多く回れば多く回るほどいい)回る台を永遠に打ち続けると利益が出るというものでした。
台には浮き沈み…俗に言う波というものがありますのでボーダーを越えていても出ないときは出ないわけです。
そこで、打ち子を頼み数を増やせば分母が増えるので分母を増やして長時間打って確率を収束させようという発想でした。
昼の休憩が45分与えられるのですが私は45分の休憩を取らず1000円を日当に上乗せしてもらっていました。
このボーダーというものを上げるために捻り打ち(玉を時間差で飛ばし出玉が出る場所が閉じてしまう前に規定以上の玉を入れる)や止め打ち(時短中にチューリップが開くタイミングに合わせて球を打ち出し無駄玉を出来るだけ使わないようにして玉を増やす方法)などのテクニックを駆使しておりました。
もちろん、通常時も保留は4つ溜まってしまうとそれ以上玉が入っても無効になりますので3つ入ったら打ち止め(球の流れによって一気に2つの玉が入ってしまうことがあるため)そして図柄が回り始めた瞬間に打ち出し出来るだけロスタイムを減らすという打ち方をしていました。
海物語には突確というものがあり、突然確変の略なのですが確変中に当てると出玉がない大当たりがありました。
私たち打ち子は不正が行われないように何回転で当たったか、その当たりは単発か確変か??など全てをメモしていたのですが(この作業はボーダーの見極めなどにも使われる重要な作業でした)ここで悪知恵を働かせた仲間がいます…
鮫のように鋭い眼光とシャープな顔立ちをした…楓ミキ(我々のグループではシャーク楓と呼ばれていました)でした…
彼女は確変を突然確変と偽り彼氏とグルになって玉を横流ししていたのです。
1日中打って5万発(20万円)ほどだしても手に入るのは8000円のみ…魔がさすのも仕方ないのかもしれません…
しかし、データを管理していた班長の目はごまかせませんでした…
「楓くん換金したら残ってくれないか…」シャーク楓は全てを悟ったのでしょう…その日も絶好調で3万発ほど玉を出しておりましてが…こっそりと玉を全て流し21時にはいなくなっておりました…
私はその後も海物語を1年ほど打ち続けましたが4のサメ図柄が止まるたびにシャーク楓のことを思い出したのでした…

※打ち子集団は当時は1玉が3円交換から4円交換になったお店を狙っていました。
4円で玉を買って3円しか払わなければゲームを始めた時点でお店の取り分が高くなるのでバランスを取るためにお客様有利なように1000円あたりの回転数を上げることができました。
4円に交換したばかりのお店はその甘い釘の状態から調整をしなくてはならないのですが釘というのは複雑なもので少しいじっただけで全く回らなくなってしまってはお客さんもすぐに去っていってしまいます。
ジワジワと釘を閉めていかなくてはならないので我々打ち子集団にとっては格好の餌食…まさに入れ食いだったのです…

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