♯9 耳管開放症という障害。

大人の場合

前の記事で説明したガッコウと言うポリツェル法は大人になるとまた治療法が異なる。

鼻に差し込んでいたひょうたんのような器具を使うのではなく、単純に今度は鼻から通気管を入れ耳管に空気を送り込む。
患者はガッコウと言う代わりに今度は唾を飲み込む。

先生は通気管を通して耳管に送る空気の量を、互いの耳を繋ぐ管で音を聞き指先で調節する。

私はどちらも経験済みだ。
そしてどちらも苦痛の違いはない、どちらも酷く痛い、酷くうるさい。

もちろん治療法は他にもある。
あくまでも私が経験した治療法の一つと思って欲しい。

滲出性中耳炎になってからきっと一番やった回数が多い治療法だった。
この耳管に空気を送りファイバーという耳の中を見るカメラで膨らんだ鼓膜を確認した後は必ず

『またなんかあったら来てください。
もうこれで大丈夫ですよ、膨らんでるんで。
もう治ってますからね』

毎回、必ず

『もう大丈夫ですよ』

再診に行けば

『また痛くなっちゃいました?
じゃあやりましょうか』


次は中耳炎の患者が最もやってはならない、しかし最も楽になってしまう耳抜きの話をしよう。

聞こえる世界が絶対的に良いとは限らないと未だに私は思っている。
もちろん痛みもなく不快感もなく薬も治療も必要のない世界なら話は別だけれど。


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