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メカニクス: タイル配置ゲーム(Mechanics: Tile-laying games)

本記事は、イギリスのランカシャー在住のボードゲーマーBrian Moore氏のブログ(BATs Cave of Games)に投稿された記事「Mechanics: Tile-laying games」を翻訳したものである(結構な具合に意訳をしている。)。

Brian氏は、50年以上にわたり、ボードゲームを趣味としており、4000個を超えるボードゲームを所持している生粋のコレクターである。前記ブログをざっと見渡しただけで、とんでもない数のボードゲームがあることがわかる(ざっと見て、Alea全シリーズKosmos2人用ゲームTony Boydell作品(日本の開拓王が紹介されている。)、Avalon Hill作品等がある。。

タイル配置とリソースマネジメント系ゲームを愛するようだ。彼の息子がオーストラリアに移住するまでは一緒にゲームを楽しんでいて、妻は見向きもしなかった。けど、感染症が拡大した関係で、彼の妻もボードゲームを楽しむようになったそうだ。誰も羨むような話であろう。

前記ブログには、ゲームメカニズムごとにボードゲームを紹介する一連のシリーズがある。本記事はそのシリーズ中の最初の記事となる。メカニズムに興味がある方やそのメカニズムが搭載されたゲームを知りたい方が対象となる記事である。また、メカニクス別に整理された、果てのないボードゲームのカタログという側面もある。ゲームの所有欲を刺激するという面もあるし、過去の名作を取り上げるという面もある。
高尚な内容を含む文章ではないが、ある程度の需要があれば継続的に取り上げようと考えている。

日本でも、ボードゲームのメカニズムごとに紹介する著名なブログとしてゴクラクテン氏の「ゴクラキズム」がある。併せて参照していただければ幸いである。

元記事は以下のリンクを参照されたい。ヘッダー画像はみんなのフォトギャラリー機能を利用させていただいた。

ゲームに使用されるメカニズムは色々な種類がある。
つい先日(※2020年12月15日時点)、2020 Mechanics Challenge(※BGGの企画。1年を通してどれだけ多くのメカニズムに触れたかを数える。複数のメカニズムを持つゲームをしても1個メカニズムとして数え上げらる。目標を達成した人にはBGGの称号が与えられる。)をやってみたんだ。
なんとか、85種類のメカニクスのうち45種類まで達成したんだけど、残りの40種類を見つけてくるのはちょっと苦痛だった。私が、幅広くメカニクスに触れているというよりも、いくつかのメカニクスを中心に見ているのが主な原因だった。

例えば、はじく(flicking)というメカニクスがあるけど、関節炎の私には、ちょっとできそうにはなさそうだ。
プレイヤーが脱落していく(Player elimination)というのも、私は1ミリも好きじゃない。
BGGの説明文が、適切なメカニズムが指摘されてないと思うゲームもある。けど、膨大な数のゲームと膨大な種類のメカニクスがあると、(※正確な記載をするのも)難しくなってしまうのは仕方ない。
これから話していくこのメカニクスは、"Tile placement"というのが正式なんだけど、“Tile-laying"と好んで呼んでいる(※本記事では区別なくタイル配置と訳す。)。

早速、タイル配置ゲームを見ていこうか。 

クレジット: 左からHammock Backpacker
Ron Dwan

まずは、このメカニクスで最も有名だと思われる「カルカソンヌ」から始めようか。「カルカソンヌ」は、BGGが立ち上がったのと同じ年である2000年に初めて出版された。長年にわたり、「カルカソンヌ」は、10個の主要な拡張、数え切れないほどのミニ拡張、プロモ、ファン拡張が出版されただけでなく、"世界中を巡って"(Around the World)という見出しのついた5個の派生的なゲームがある。それに、「Carcassonne: Winter Edition」(※「カルカソンヌ・冬」や、「カルカソンヌ 原始の営み」というのもある。もちろん、完全なリメイク(facelift)というのもあります。ふー、ガチもんのカルカソンヌファンということもあり、私はこのほとんど全てを持っている。持ってないのはどれかって?「Carcassonne: Wheel of Fortune」(※カルカソンヌ 運命の輪)と「Carcassonne: Expansion 7 – The Catapult」(※「カルカソンヌ カタパルト」)だ。
運命の輪のほうは、持ってないことを後悔しているし、手に入れるには高すぎる。カタパルトのほうは、絶対に遊ばないとわかってるんだけど、コンプリート欲を満たすには手に入れるべきとは思っている。

クレジット: 左から@a_travelerKris Ardianto

テラフォーミング・マーズ」は、主にカードドラフトゲームだと思われるが、プレイヤーが火星をテラフォーミングする際に、タイル配置の要素がある。BGGには11種類のメカニズムが載っており、その1つがタイル配置だ。
このゲームも何個も拡張が出版されており、全部で5個あったと思う。今までに27回遊んでいて、本当に楽しめている。「上級拡張 動乱」に付属していたダブルレイヤーボードは、探し出す(seeking out)価値があるし、個人的には基本ゲームに入っていてもよかったんじゃないかと思っている。
今年の夏にかけて、Anne(※Brian氏の奥様)にこのゲームを紹介したんだ。彼女は、このゲームのカードドラフト要素を好んでくれたけど、2時間経過すると、ちょっと長すぎるという感じだった。ただ、もう1度遊ぶことを拒否まではしなかった。

クレジット: 左から@a_travelerJacqueline Chao

キーフラワー」は、BGGには15個のメカニックスが記載されており、その1つがタイル配置だ。タイル配置は、ワーカーを置いていく競りの後、自分自身のモジュラープレイエリアを作る際に行われる。「キーフラワー」は、2個の拡張と個別タイルのミニ拡張が12個ある。どうにかこうにかして、それらの拡張を基本ゲームの箱に全部収めることができた、本当にギリギリだったよ。「キーフラワー」は、多くの種類の課題を突きつけてくる。各ゲームでは、村タイルが混ざって出てくるおかげで、プレイ感が異なってくる。ゲームを通じて、プレイヤーは、様々な資源、輸送、能力、スキル、ミープルのアップグレードを行う最善の機会を逃さないように警戒しとかなきゃいけない。「キーフラワー」は、R&D Gamesから出版されている中世の"キー“ランドを舞台にした"キー"シリーズの7作目となる。 

クレジット: 左からW. Eric MartinAbel Renuncio

ギャラクシートラッカー」は、宇宙船建造と宇宙航行の2フェーズで構成されたタイル配置ゲームだ。宇宙船建造はリアルタイムで処理し、プレイヤーはテーブルの中央からタイルを手に取ってそれぞれの宇宙船を建造していく。
そして、宇宙航行が始まる。カードを1枚ずつめくっていき、順番にプレイヤーに影響が与えられる(interact)。カードには、宇宙海賊、廃船、病気の流行、流星群、プレイヤー同士の戦闘地帯等の様々なバリエーションがある。このゲームは、3つの大型拡張と4つのカード追加があった。

クレジット: 左から@a_travelerDeb J

グレンモア」は、2010年にドイツ語版のみが発売され、その後、英語版がRio Grande Gamesから出版された。「グレンモア」は、特徴的な手番に関するメカニズムが実装されていた。プレイヤーは、ロンデルから領土タイルを獲得する。タイルを取ることで、領地内に接続しているタイルにより得られるアクションに影響が出るだけでなく、次の自分の手番がいつくるかも決定されることになる(そして、あと何回手番が残されているかというのもわかる。)。ただ、多くの手番をこなすことが、必ずしも成功した族長になるための最善の戦略とは限らない。そういうところが本当に好きなところだ。
このゲームは、2019年に「グレンモアⅡ: クロニクルズ」としてリメイクされた。変更点は、タイルが大きくなったこと、コンポーネントの質が上がったこと、新しいアートワークになったこと、各プレイヤーがゲームの終了をコントロールする能力が搭載されたこと、プレイヤーがドキドキするような曲線を描くように(for better suspense curve)タイルのバランス調整が行われたことに及んでいる。いつかには、手に入れないとと思っている。

クレジット: 左からKevin WoodChris

Games Workshopが本格的なゲームを製作し、ノルウェーでDrakborgen(Dragon's Keep)として売られていたゲーム(※「DungeonQuest」)の英語版を出版した1985年に戻ってみよう。プレイヤーは、Dragonfire城の廃墟を探索して、ドラゴンを起こさないようにダンジョンの中心部にある財宝の部屋に到達することを目指し、できる限り多くの財宝を持って生還しようとする。時間切れになってもダンジョンに残ったプレイヤーは死が待っている。つまり、ゲームには運試し(push your luck)の要素がある。このゲームは、2010年にFantasy Flight Gamesが再ライセンス契約をして、同年に3版が発売された。オリジナルゲームには、HeroesとCatacombsという2つの拡張がある。

クレジット: 左からW. Eric MartinMichał Cabak

アズール」では、プレイヤーは交代でサプライからカラータイルをドラフトして個人ボードに配置する。ラウンドの後半では、宮殿を装飾するためにどのようにタイルを置いたかによって得点を得る。特定のパターンやセットを完成させることで追加の得点を得る。タイルを無駄にすると、減点されてしまう。ゲーム終了時に最も得点を得た者が勝者となる。
このゲームは人気を博したので2つの続編が生み出された。「アズール:シントラのステンドグラス」と「アズール:サマーパビリオン」だ。今のところ、3番目を手に入れる衝動を抑えているが、いずれも遊んで楽しいゲームだと思う。

クレジット: 左からSimon LafranceCatherine Nguyen

オーディンの祝祭」は、ボードゲームの形をしたサーガだ。今日ではヴァイキングとして知られている部族の文化的業績、商業的遠征、略奪を追体験する。ヴァイキングという言葉は、第1千年紀(※西暦1年から西暦1000年まで)の終わりとは全く異なる意味で使われていた。
プレイの最初は、与えられる選択肢の多さに圧倒され、勝利への道筋がたくさんあるだけでなく、それぞれがうまく機能する自由度の高い(wide-open)多様な選択肢も実装された"箱庭"ゲームのように感じられる。私の感想では、このゲームがUwe Rosenbergsの傑作の1つといえ、「アグリコラ」よりも素晴らしいと思う。この大きな箱に膨大な選択肢が搭載されているが、間違いなく良いゲームだ。ゲームの夜会を断る(pass up an evening's gaming)にはうってつけのゲームだ。

クレジット: 左からBen HamiltonOliver Peery

Xia: Legends of a Drift System」は、そんな"箱庭"形式の素晴らしいゲームだ。プレイヤーは思うがまま自由に探索をすることができる。拡張である「Xia: Embers of a Forsaken Star」を使えば、1人から5人まで遊べるようになる。
プレイヤーは、自分の船で宇宙(the system)を飛び回り、様々なミッションを達成しながら、新しい区域を探索し、ほかの船と戦う。危険な環境を航行しながら、プレイヤーは採掘するか、救助するか(salvage)、貴重な貨物を取引するかを選ぶ。「Xia」の本当に楽しいところは、ゲームごとに異なる展開となり、プレイの方向性が定まってないところだ。本当にお気に入りのゲームだよ。

クレジット: 左からSotos TrapEric Brosius

タイル配置ゲームを話す際には、最低でも1つの18xx系のゲームに言及しないといけないと思うので、おそらく最もプレイ回数の多いこのゲームを選んだ。18xx系のゲームは、線路を敷設し、最もお金を稼ぐために株を獲得するという重量級の経済ゲームだ。「1846: The Race for the Midwest」は、アメリカ中西部を舞台にしている。ほかの18xx系ゲームとの違いは、企業、プライベート企業、銀行の数をプレイヤーの数に応じて増減させていること、金額を釣り上げたり、プライベート企業の能力を使ったりする点でオークションの制限が少ないこと、プライベート企業の初期分配や事実上の全路線の敷設に支払が生ずること等がある。
気の弱い人には向かないゲームで、遊ぶのに何時間もかかる。ただ、遊んでる時間ずっと夢中になれるし、時が経つのも忘れてしまう。18xx系のゲームが好きで、何個か所有しているよ。

以上

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